カイロタイムズ098号
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(4)2014年8月1日発行 カイロタイムズ 98号 大学入学後、「大学はライセンスを取るために必要最低限の知識を学ぶための所で、カイロプラクティックの本質や技術、診療現場でのノウハウ、ましてや卒業後DCとして成功するための秘訣は決して学べない」という実情を知り、「一流になるために、何かやらなければ!」と思い参加したのが、大学内の研究会「ガンステッド・クラブ」でした。そのうち、クラブの先輩達や、教えにきてくださる地元のドクターたちの熱意、そして小野先生と松久先生の影響もあり、頻繁に参加するようになったのがガンステッド・セミナーでした。 当時何も分からなかった一学生の僕に、セミナーのスタッフDC達が熱心に何度も繰り返し教えてくださったことは、診療現場は決して華やかな世界ではなく、弱くなってしまった目の前の一患者の生命力を、呼び起こし開放していくという千載一遇の瞬間に、慈愛と忍耐を持って向き合っていく、地道な作業の繰り返しだということでした。 ガンステッドがあれだけの規模のクリニックを建て、偉大な功績を残せたのも、56年間この地道な作業を休まず続けてきた結果であり、それこそが激動の時代を乗り越えてきた、筋金入りの超一流ドクター達の生き様そのものでした。 ガンステッド・セミナーは、上辺だけのテクニックを学ぶ所ではなく、巨匠たちと師弟の絆を結び、ひとりの人生を180度変えてしまう力「That Something」を受け継ぐことができる数少ないセミナーです。 帰国後のカルチャー・ショック、法的制限や震災など、様々な逆境を乗り越えて自らのヴィジョンをカタチにするため前進できているのも、巨匠たちが手渡しで受け継がせてくださった「That Something」のお陰であると確信しています。 来年のセミナーで、一人でも多くの国内のカイロプラクターの皆さんが、来日される巨匠達からこの「That Something」を受け継ぐことができればと願っています。師弟の絆と「受け継ぐ力」江川 哲也DCGCJスタッフ 江 川 哲 也 DC2010年ガンステッド・サムライ賞・金賞授与テキサス州パーカーカイロプラクティック大学を4人目の日本人として卒業。在学中、Dr. ラリー・ランダーズとの出会いからガンステッド・カイロプラクティックに魅了される。20回に及ぶ米国ガンステッド・セミナーに参加し、大学内のガンステッド研究会の会長を務めるなど、積極的にその真髄の習得に専念する。卒業後、米国内で研修後、当時米国ガンステッド臨床学会の会長を務めていたDr. ディヴィッド・ロウのクリニックにスタッフドクターとして勤務。帰国後、「今まで日本国内に存在しなかった『未来の医療』の源泉として、『生命力と自らを癒す力』を最大限に引き出す、本物のカイロプラクティックケアを、愛する東北でより多くの家庭に提供していく」ことを指標として、2009年に故郷仙台市に仙台ゲゼンハイトカイロプラクティックオフィスを設立。江川 哲也(えがわ てつや)DC プロフィール 先日、英国カイロプラクターズ協会が以下のような調査報告を発表した。 スマホやタブレットを眺めるために頭を下げて背中を丸めた姿勢でいると、心筋の動きが限られ十分な呼吸ができない。また、あばら骨も適切に動かせなくなるので肺と心臓が完全な状態で機能できなくなる。脊柱後彎症を患う高齢者はそうでない人と比べて死亡率が高い。 ここで注目したいのが脊柱②首や肩の痛みや凝りの原因になる③ストレートネックになりやすい④胸郭出口症候群の原因になる⑤猫背になりやすい(胸椎の神経伝達機能の低下)⑥呼吸が浅くなる この中で気になるのが、冒頭でも触れた浅い呼吸だ。特に女性に多い印象がある。浅呼吸では酸素の供給量が減る。人間の細胞は酸素の供給無しでは死滅してしまう。それほど重要であり、免疫疾患、循環障害など様々な障害や病気の原因にも成りうる。最近、女性に多いと言われている「無呼吸症候群」も無関係ではないと思っている。また、呼吸の問題は、うつ病にも影響を及ぼしていると考える。 左図のように、正常な胸郭に対する肩甲骨の位置は背面から35度の角度だが、巻き肩後彎症と同時に起こる可能性が高い「巻き肩」という症状である。巻き肩の原因①座り仕事が多いこと②身体の前で作業する時間が長いこと③体幹の筋力が弱いこと④肩甲骨周辺の筋バランスの崩れ⑤肩甲骨の正しい位置が認識されていないこと巻き肩による影響①首や肩の可動域が狭くなる「巻き肩」のメカニズム考察でのパソコン作業の場合は70度近くになっている。この状態では、肩関節は正常に動かすことはできない。また胸郭が十分に膨らまない(肋骨が動かない)ので浅呼吸になってしまう。巻き肩のメカニズム考察 胸椎の過剰な後彎により肩甲帯での連動が崩れ、胸椎自体の神経伝達機能の低下と僧帽筋上部線維、肩甲挙筋など肩甲骨を上げる筋が拘縮を起こし、逆に肩甲骨を下制する筋群が弱化することが一因であると考える。また、この姿勢を続けていると、浅呼吸になり呼吸筋である吸息筋と呼息筋の働きが悪くなり、正常機能していない可能性がある。特に吸息筋が集まる胸の上部の筋肉に拘縮や癒着が起きていると考えられる。また呼吸筋では一番大切と考えられる横隔膜の機能低下も大きな要因ではないか。【正常】【パソコン操作時】 カイロプラクティックは1895年に創始され、約120年にわたる歴史がありますが、その中で小児科のカイロプラクティックに関する最も古い記述は、創始者のD.D.パーマーが1910年(明治43年)に残したとされる、次の言葉です。 カイロプラクティックは、常に子どもたちの成長と共に歩み、その後の人生を通じて健康と幸せを守り、支えるものであり、そしてそのように認識されるべきである。The principles of Chiropractic should be known and utilized in the growth of the infant and continue as a safeguard throughout life. 少し意味を広げて訳していますが、小児カイロを専門的に学び始めたころ、この言葉に巡り合い、その後、小児カイロプラクターとして駆け出しだった時から現在に至るまで、折に触れこの言葉の意味を考えています。 100年以上も前の言葉にも関わらず、小児カイロの役割を見事に表現している点に大きく驚かされますし、第1回でお伝えした小児カイロの役割についても、この言葉を単に言い換えただけなのかも知れません。 特に最近は、最後の部分、「そのように認識されるべきである」という言葉の重みをますます感じています。ご存知のように、カイロプラクティックは肩こり・腰痛の大人が受けるもの、というイメージが広く浸透しています。しかし、それ以上に、脳と神経の働きを高め、健康全般への貢献こそがカイロプラクティックの最大の役割であり、さらに子どもたちの健康と成長を支える小児科のカイロの重要性も、もっと強調されるべきだと思うからです。おかげさまで以前に比べると、新しい小児科の選択肢として、小児カイロを支持してくれる家族の数も、ゆっくりとですが着実に増えています。また、大人だけでなく子どもたちも含めた「ファミリーカイロ」をお届けするスタイルで活躍する仲間も多くなり、今後の広がりがとても楽しみになってきています。 より多くの家族が当たり前のように、健康を維持するためにカイロプラクティックを選び、日本中のカイロプラクターが当たり前のように小児カイロとファミリーカイロをお届けしているという、カイロプラクティックの未来の形が、おぼろげながら見えてきています。でも、100年以上前に、創始者はそれをイメージできていたんでしょうね!小児カイロの歴史 最近、栄養カウンセリングや健康相談で増加傾向にあるのが光過敏症状です。ある時突然、太陽の光、蛍光灯の光、曇りの日の空などの光が眩しく感じられるようになったり、視界が真っ白になるホワイトアウトのような状態を経験したりします。 症状の原因には、白内障などの物理的な背景、うつ病をはじめとする自律神経に関わる背景の他にも、様々な原因が考えられています。 症状を訴える方の年齢は高いわけではなく、多いのは20代、30代の方です。そして、不眠が続いている、朝起きるのが辛い、筋力と運動能力が低下したと実感する、疲れが中々抜けずに慢性化しているというような症状を併せ持っています。 これらは、副腎の負担が募ることによって起こる、副腎疲労の症状と重なるものばかりです。実際に、ストレス、ウィルスや細菌感染、薬の服用、重金属汚染、アレルギーなどによって、副腎疲労のシナリオがスタートし、ドミノ倒しのように体内環境の仕組みがバタバタと倒れ、機能しなくなる状態になって出てくる症状の1つに光過敏があります。これは、化学物質過敏や臭気過敏の症状にも似たメカニズムだと考えられます。 アメリカで、自然治癒療法やカイロプラクティック治療を行うドクターにとっては非常にポピュラーな副腎疲労状態の自己チェックテストがあります。瞳孔の収縮チェックICTです。瞳孔の大きさを調節している虹彩の働きと副腎の働きが密接な関係を持っていることを利用したものです。やり方を紹介します。準備物•椅子と鏡を置ける机など•懐中電灯(LEDライトではなく従来のもの)•鏡•秒針のついた時計またはストップウォッチ方 法①準備物を用意したら部屋を暗くする。②椅子に座り、鏡を目の高さの机の上に置く。③懐中電灯を持ちスイッチをオンにし、左右どちらかの目の目尻からライトを当てる。(直接目にライトを当てないよう注意)④ライトを当てていない方の目で鏡を覗き、ライトが当たっている目の瞳孔を確認する。判 定①ライトが当たっている間ずっと瞳孔が収縮している場合は正常な反応。副腎の働きは良好と判断。②ライトを当てた最初は瞳孔は収縮するが、収縮を維持できずにすぐに瞳孔が拡張し始める場合には副腎の働きが低下していると判断。「副腎疲労からくる 光過敏症とチェック方法」

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