カイロタイムズ117号(高解像度)
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(8)2019年5月20日発行 カイロタイムズ 117号 本講習会は、カイロプラクティックにおける安全性向上の啓蒙および危害の防止を目標(2017年)に通達された消費者庁消費安全課長通知「カイロプラクティックの施術に関する安全対策について(要請)」に対応する事業で、「カイロプラクティック」の名称を使用する全ての事業者が対象だ。カイロプラクティック業界を取り巻く現状、法制化の必要性と準備活動、関連他業界の動向について情報提供を行うとともに、危険度の高い技術について注意喚起する内容となっている。危害防止については、脊柱を頸部・胸部・腰部・骨盤部の四部位に分け、実際にインターネット上に散見される技術を題材に、解剖学や関節機能学の見地から特に危険なポイントが解説され、講義後に技術チェックが行われる。原則として四部位全ての受講が推奨されており、受講履歴は担当行政機関へ報告される。 今回は初の試みとして、現役医師を講師に迎え医療倫理についての講義が行われた。神戸会場では、あずま在宅医療クリニック院長の東英子医師が登壇。特に緩和医療や高齢者医療を専門とする一方、アーユルヴェーダや心理カウンセラーとしてメンタルヘルス分野にも造詣が深い。大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまや主催。東京会場では、ウェルネスクリニック銀座beauty&sports院長の伊藤実佐子医師が登壇。ご自身もプロスポーツ選手を目指した時期があるほどスポーツとの関わりが深く、整形外科専門医・スポーツドクター・運動器リハビリテーション医の資格を持つ一方、温泉療法や美容再生医療といった分野で幅広く活躍されている。 カイロプラクティック業界は既知の通り、消費者庁から安全対策要請を受けており、職業モラルの低さが問題視される状況だ。医師や看護師の倫理規定は、そのままカイロプラクティック業界に適用されることはないにしても、今後の業界形成に大いに見習うべき範であることは間違いない。医療職を代表する医師の職業倫理がどのように確立してきたのか、歴史や時代背景、哲学的な流れ、国際情勢への対応など、現在に至るまでの変遷の説明と、真に重要なポイントを臨床医の立場から解説いただいた。伊藤医師は「このような機会に自分のモットーを思い出し、施術の一つ一つがその人の人生を左右するかもしれないことを自覚して日々の施術にあたってもらいたい」と語った。大切なメッセージがたくさん詰まった現役医師による講義に、受講生は熱心に耳を傾けていた。 本講習会は引き続き担当行政機関に支援を仰ぎながら、本年度中に次回開催の予定となっている。 伊藤医師は講義の中で、事故を減らすという観点からまずは施術前に丁寧に問診すること、病院に送らなくてはいけない症例を見極める眼が必要との見解を示した。自分だけで抱えず、疾病の疑いがある場合には医師の診断を受け 2019年3月11日(月)、東京都中央区にてカイロプラクティック安全施術講習会が開催された。本講習会はカイロプラクティック業協同組合連合会・日本カイロプラクティック協同組合連合会の主催、カイロプラクティック制度化推進(準備)会議および一般社団法人日本DC手技療法協会の後援によるもの。東京会場に先立って同月4日には、神戸会場でも同内容で開催された。東京・神戸両会場合わせて約100名が参加。業界の現状や危険な手技の解説に加え、今回は医師による医療倫理についての講義も行われた。カイロプラクティック安全施術講習会開催開催概要と実績左:井元雄一氏 右:伊藤実佐子医師るように勧める勇気を持つ。これを徹底すれば事故は減り、結果的に患者のため、引いては自分のためにもなるとした。また、医療機関と連携し、いつでも患者を紹介しあえる関係を築くことも事故を起こさないための対策の一つに挙げた。フットケアのように、必要な治療を病院で行い終わったらまた元のサロンに戻すといった信頼関係と程よい距離感で成り立つ好例もある。手技療法に理解を示す整形外科医もたくさんいるので、何かあったときに相談に乗ってくれる医師を、協会等が率先して組織的に探しておくことなどが助言された。 危険な技術と対策についての講義では、今回は腰部が取り上げられた。腰椎の構造を確認し、施術時に想定されるリスクや危険な手技の具体例を解説。講師の井元雄一健康科学博士は、「なぜそれが危ないのかを理解し、危険なことはやらないと徹底することが重要」「ベテランになればなるほど、初心に戻って模型を見直してほしい」と語った。 一方で、あれもこれもダメと言うだけでなく「良いもの」「正しいもの」を伝えられていない自分たちにもこの現状を招いた責任の一端があるのでは、という心情も聞かれた。批判は簡単だが、単なる文句で終わらせないためにはその先の対策が必要だ。 本講習会は、「正しい技術」「安全な技術」の重要性を伝える場だが、それだけではない。自身を取り巻く環境を学び、業界や社会に与える影響を学び、行った施術や行動が引き起こし得るリスクを予測する「イメージ力」を学ぶ場でもある。行政や他業界との関わりなど個人では得難い情報を知り、業界周辺の今を知る機会として、本講習会を使い倒すつもりで関わってみてはいかがだろうか。人が集まるところには情報が集まり、アイデアが集まり、周囲からの支援も集まるはずだ。本講習会に対する意見や要望を寄せることも、今後の業界形成の一助になる。  業界関係者の継続的かつ積極的な参加が期待される。次回開催の告知や、募集などは、カイロプラクティック安全施術講習会ホームページ参照。事故を減らすために講習会が果たす役割受講生の技術チェック東英子医師の講義カイロタイムズに広告掲載しませんか?カイロタイムズに広告掲載しませんか?広告主募集!商品紹介代理店募集セミナー案内など0120-223-505TEL:E-mail: CHIRO-TIMESinfo@chiro-times.co.jp日本医科学出販株式会社カイロタイムズ詳細は下記までお問い合わせください。締切は発行日の1ヶ月半前1ヶ月半前118号予定2019年8月発行119号予定2019年11月発行 大正の時代では、日本人DCが次々と帰国。昭和の時代には、複数のカイロプラクティック団体が発足され法制化活動が始まる。平成の時代で法制化活動が活発になったが、法制化までは成し遂げることができなかった。そして新たな時代「令和」では、念願のカイロプラクティック法制化は成し遂げることができるのか? カイロプラクティック各団体が協力し合い、ひとつになることができれば、カイロプラクティック法制化の時代も間もなく始まるのだろう。編集後記〒160-0023東京都新宿区西新宿3-1-5新宿嘉泉ビル8FTEL0120-223-505 FAX0120-223-509E-mail:info@chiro-times.co.jpURL:http://www.chiro-times.co.jp/日本医科学出販株式会社 カイロタイムズ編集部カイロタイムズでは、皆様からの広告・寄稿・情報提供を募集しております。

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