カイロタイムズ117号(高解像度)
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(6)2019年5月20日発行 カイロタイムズ 117号 6月2日(日)専修大学神田キャンパスにてJSCC主催で臨床ゼミナールが開催されます。毎回、臨床経験豊富な先生を講師に迎えて、その術理と技法を学ぶことができる場を提供していますが、今回は、よしおかカイロプラクティック研究所の吉岡一貴先生をお迎えして「吉岡メソッド」を体感します。 学術活動というのは、敬遠されがちな分野でどうしてもテクニカルな技法の世界に目が向くことが多いのも、日頃からクライアントと現場で向き合っている先生なら誰しもが感じていることかもしれません。しかしながら、素晴らしい先生方とお話しする機会があると、その研究熱心さに驚かされることがしばしばあります。よく聞くのが、毎日論文を1本は読むようにしているというような習慣があることです。これは、海外の先生だと、ほぼ確実に耳にする話です。論文を通して研究し、日々の臨床で活かし、自らの考えを展開させるというインプットとアウトプットが充実していることに気付かされます。教育体制の違いもあるのでしょうが、日本においては非常に弱い領域です。 JSCCの学術誌をのぞいてみると、毎回いろいろな先生方が投稿されていますが、中にはテーマを決めて長年取り組んで研究をされている先生がいらっしゃることがわかります。今回、臨床ゼミナールの講師にお呼びする吉岡一貴先生は、まさに「仙腸関節」を題材にして長年臨床研究に取り組んでこられた先生です。(※JSCC学術誌の論文は無料公開されています。是非ご利用ください。https://jsccnet.org) 仙腸関節は、一昔前は動かない関節として認識されていましたが、今では可動関節として臨床上扱われるのは当たり前になっています。では、仙腸関節の重要な働きとは何でしょうか?それは、①仙骨の動きを調節することで、荷重を左右下肢へと伝搬する。② 同じく仙骨の調整により、下肢の筋力を脊柱へと伝達する。③脳脊髄液の循環動態に深く関与する。…という3つの役割が身体運動とヒトの健康に深く関わる重要な役割を担っていると考えられています。その構造と機能との関係性は実に精巧であり、その精密かつ荷重機構の複雑さゆえに、2足歩行のロボットの開発で大きな壁となっているという話もあるようです。 仙腸関節の特異性、それは「僅か15㎠(実際の平均値はそれ以下)の関節面が、垂直に近い状態で全荷重を支えている」という点です。「全荷重を支えるこの小さな面の物理的なズレが、例え極く僅かであったとしても、身体の支持性に大きな影響を及ぼすという事を我々は理解する必要があるのです。それと同時に、無闇な矯正は、むしろ人為的なズレを生じさせる危険性さえある、ということを自覚しなければなりません。不十分な知識と安易な気持ちで、矯正を施すことは避けるべきです。」と吉岡先生は仰っています。長年の研究と臨床により産み出された「吉岡メソッド」を皆さんも学びに来てみて下さい。申込・詳細https://jsccnet.org/cdf2019.htmlティックティックククククククククククィッッィテテプラクテプラクテクククククククララプラプカイロプカイロププロロロロロイイイイカイイカカカカ本カ本カ本カ本カ本本本本本本日本日本日日日日日日日ククィッィッティテククララロプロプ本カイ本カイ日本カイ日学学学学学学学学学学医学学医医医手手手徒手徒手手手手手手徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒手医学徒手医学会会会会会会会会会会信信信信通信通信通通通通通通通通通信通信日本カイロプラクティック徒手医学会通信vol.13一般社団法人日本カイロプラクティック徒手医学会理事 伊 澤 勝 典「仙腸関節論」第2回臨床ゼミナール吉岡 一貴 先生過去の臨床ゼミナール 戦後処理の不公正は北方領土問題だけに限らない。沖縄の問題はどうなのだろうか?今は基地移転問題で政府と沖縄県民がおしあいへしあいして、実にギクシャクしているように見える。沖縄県民の考えは纏まっているのか定かではないし、沖縄県民の考えを日本国民の代表たちが理解しているかは、議員たちと国会の責任かと思う一方で、メディアは積極的に正確な情報を発信しているのかが定かでもない。知人の米軍関係者や家族と話す機会があり、あれこれ悲しい事件が起こったことを知る年長者は、沖縄県民の気持ちを理解する傾向だが、若年層は沖縄が非協力的と受け取っている様子だった。共通の脅威に関してお互いの理解と協力が必要なのに、どれくらい問題を引きずるのか、先が思いやられる。この様子を見てカイロプラクティック業界を連想するのは、筆者の妄想だけでもないだろう。 法制化推進(準備)会議は8回目の会合を迎え、オブザーバー参加の諸団体から熱心にフィードバックが出されて、新たな追加を含めた業界統一用語定義がまとめ上げられた。これは重要なステップだと思う。また、禁忌症に関してMaigne、MaitlandやHaldemanを参照にした資料が提出されて、「医学的な内容に関して医師の同意を得る」ことが勧められたのは興味深い。平成3年、厚生省医事課長通達を超える項目数の禁忌症状を自主的に挙げることが好ましくないでもないらしい。行政側が気配りしてくれているのだ。 用語定義の一部で、問診、聴診、打診、触診を「古典的四大理学検査」という表現では「なんぼほど古くさいことをやっているのかと思われるのが嫌やから、『古典的』を原理的に替えて欲しい」旨の依頼が事務局に届き、参加者達の諮問にかけられた結果、オブザーバー団体からも疑問が示されたようだ。 「なんぼほど古くさいこと」御意見番 物申す戦後処理の不公正中垣 光市 DCと言われても、カイロプラクティック自体が百年以上の歴史を持つ上に、マニピュレーションの歴史は背骨と同じくらい古いと始祖パーマーが記している。正統医学は古代ギリシャ以来二千年の歴史で、外科手術用具の原型はローマ時代に完成している。薬学は古代エジプト以来五千年の歴史だ。医師たちや薬剤師たちは一般市民から「なんぼほど古くさいことをやっているのか」と思われているのだろうか?カイロプラクターならば、誰かに古くさいと思われるかなど心配するより、カイロプラクティックは「高い、危ない、効かない」と国民に思われていることを憂慮すべきだろう。 あえてもっと言うなら、定義の文言修正などは後ほどでも可能だから、今は法制化の骨子を準備するのに必要と考える事案を、自発的に提案することのほうが望ましいのではなかろうか。 今後の法制化準備会議の進捗は、厚労省担当部署の指導と推進会議事務局の対応に委ねられるのはこれまで通りなのだが、遅かれ早かれ法制化のための業界整備が課題として語られざるを得ないと推測する。 カイロプラクティックを標榜する国内業者の知識技能レベルは、医業類似行為レベルから慰安行為レベルまでの幅があり、業者数は、最少限でおおよそ二万人の存在が推測されると言われている。全国コンビニエンスストアの店舗数を追う勢いの、柔道整復師が営む整骨院の数には及ばないけれども、按摩マッサージ指圧の施術所数にほぼ等しい数の無資格者が放置されている。 ところが、近年の規制緩和によって市場を飽和した有資格者たちの中には、差別化を求めてカイロプラクティックの週末セミナーを生業に取り込む者たちが少なくない様子であり、国家資格さえ取れば食べていくのに困らない訳でもないらしい。業界人口分布の複雑さに奥行きを加えている。有資格者と言っても他業種の2500時間専門教育を受けた人たちが、適確に構成された教育課程を経ず、適当に週末セミナーでテクニックの切り売りを蒐集しても、世界基準が許容する教育レベルとは時間数の差が残る。 法制化を好むか好まぬかは、業者個々人と各団体の自由なのだが、長年の未法制の結果が現状であり、カイロプラクティックの施術で骨折、脱臼から脊髄損傷まで起きていることが明らかなのだ。有資格者が悪いと言っているのではない。知識技能レベルの低い者が事故を起こしやすい。 安全性の課題も技能レベル向上の必要性も過去から言われている。ゆえに平成3年医事課長通達が出たし、三浦レポートも出されたのだ。しかし、大した改善も無いままで30年近くが過ぎた。これこそが既に「古くさいこと」の感じになりつつあるにも関わらず、業界として対処を終えていないのだ。安全施術講習会 前回のコラムで述べた安全施術講習会が神戸会場・東京会場で実施され、著名な2名の医師による医療倫理の講演とともに、安全な手技に関する講話が行われた。 私も技術講義を担当させてもらったが、多くのカイロプラクティック事業者が参加し、スキルアップや安全意識の向上に繋がったことだろう。 こういった安全に対する取り組みが行政や社会からの要請で行われていることを、すべての本誌読者は知っておくとともに、この時流に乗り遅れないようにしてほしい。 今回も受講者は、安全への取り組みを実施した事業者として厚生労働省へと報告を行うとのこと。 今後、安全への取り組みがなされていないカイロプラクティック事業者は淘汰されていくことだろう。 日本カイロプラクティックエビデンス研究会(委員長:小野寺靖Ph.D)に報告される臨床レポートを見ても、安全施術講習会をしっかり受講している先生たちのレポートや論文が並んでいる。 いまだに画像による検査もしなかったり、繰り返しのトレーニングをしないような安全性への取り組み意欲の低い先生たちも国内には多く存在しているのが残念でならない。早急に業界の意識変革をしていく必要があるだろう。パーカーセミナー さて、先月はアメリカで開催されたカイロプラクティックの祭典であるパーカーセミナーに参加してきたので、その体験をお話ししようと思う。 パーカーセミナーは、米国パーカー大学が中心となって実施しており、世界中からカイロプラクターが参加する歴史あるセミナーだ。 その年に最もカイロプラクティックに貢献した人に贈られる「リーダーシップアワード」を、日本人で一般社団法人KCS代表の桑岡俊文Ph.D(健康科学)が受賞され、世界中から称賛されたのもまだ記憶に新しい。 セミナーには日本ではあまり関係のない保険請求に関するものもあるが、カイロプラクティックアシスタントのコース、DCテクニックのコース、哲学のコースなど多面的に展開され、参加者は自分の好みのレクチャーやクラスを受講する。 カイロプラクティック免許の更新要件の時間数にもカウントされるセミナーであるが、内容は非常に面白いものばかりだ。最近の 振り返りvol.22vol.22井元 雄一Ph.D 開始前や休憩時間には朝食やコーヒー、バーラウンジでアルコールも振る舞われ、世界中のカイロプラクターと親交を深めることもできる。 メインのセミナー会場のほかにも、家電見本市(CES)の健康産業版のようなエキスポがあり、そこにはたくさんのカイロプラクティックに関わる新商品、売れ筋商品、ユニークな商品の紹介ブースもある。 今年の傾向は、レントゲンやカイロプリントのような分析装置とフィットネス関連の機器、そしてベッドなどの寝具が多く、世界各国ではどんどん「セルフケア」と「高度な専門ケア」を組み合わせて健康を増進していく流れになっているのを感じた。 「セルフケア=エクササイズやフィットネスと睡眠環境」「高度な専門ケア=高度な分析に基づく安全かつ効果的な手技」と考えられ、このあたりが今後、日本でもどんどんと流行していくのだろうと考えられる。 アメリカで起きていることは数年で日本にも起きるといわれているし、近年はその傾向がもっと顕著になっているから、世界情勢や国民の意識変化にもアンテナをしっかりと張っておくことが必要だろう。 また、会場であるラスベガスの街も、とても学びが多くあるところだ。世界で「最もリピート率が高い」と評される街であり、様々な工夫が凝らされている。これはまた別の機会にお伝えできればと思う。 来年も私はパーカーセミナーに参加する予定でいるので、もし一緒に行きたい先生がいらっしゃれば、カイロタイムズ編集部までご一報を。

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