カイロタイムズ116号(高解像度)
3/6

(3)2019年2月18日発行 カイロタイムズ 116号 あなたは初めて会う人と、どのような心で向きあいますか? 2018年10月ブラジル・ウバトゥバにて、ルー・コルレトDCが主催する8日間の「ミッション・オブ・ライト」に参加しました。 奉仕活動が盛んな米国では、カイロプラクティックドクターや学生たちがポータブルテーブルを片手に旅し、カイロプラクティックの恩恵を受けられない人々に路上や教会などでアジャストメントを提供するボランティア活動「ミッショントリップ」を世界各地で行っています。 問診が鍵をにぎるオフィスでの臨床とは異なり、ミッショントリップはほぼ問診なしで1日何十人、何百人もの人々をただひたすらアジャストメントします。初めて会う人々に、カイロ哲学のとおり純粋にその人の内にある「生きる力」を最大限ひきだすためにアジャストメントをする、カイロプラクターの原点に立ち返る宝物のような時間です。 私はカイロプラクティック大学の4年目に、ハイチとドミニカ共和国で2回、ミッショントリップに参加しました。「将来、小児カイロをやりたい!」と思い、選択授業を取ったり、国際小児カイロプラクティック協会(ICPA)のセミナーを受講していましたが、講義でも大学のクリニックでも実際に小児を診る機会はありませんでした。 しかしハイチやドミニカでは、子どもたちが次々と恥ずかしがることも怖がることもなくカイロテーブルに飛びのってきます。無邪気な感受性豊かな子どもたちと目と目を合わせながらアジャストメントしてハイタッチ、最後にニコッと笑ってくれる。言葉はいりません。なぜかいつもたくさんの子どもたちに囲まれて、「ハルカの所は毎回幼稚園みたいだね」と引率のドクターに言われていました。もちろん、中には妊婦さんも障害をもった方もいらっしゃいました。杖をついてやっとの思いでテーブルに寝たおじいちゃんが、私のアジャストメントを受けた後、杖を放り投げてスタスタ歩き去った「奇跡」は、カイロプラクティックの力を再認識し、学生時代の私の大きな自信となりました。 日本で開業後、2017年には日本の先生方が企画するカンボジア・ミッショントリップに参加し、今回のブラジルは私にとって4回目。主催者ルーの魅力を大陰幸生DC(カフェ・オブ・ライフ・東京)から幾度となく聞いていた私には、念願のミッショントリップ参加となりました。 8日間のブラジル滞在のうち、アジャストメントを行ったのは月曜から金曜までの5日間。アジャストメント2日目の朝、ルーは手の中の紙切れを1枚ずつ私たちに選ばせ、その日1日、紙に書かれた言葉を大切にアジャストするようにと言いました。 私が手に取った言葉は「コネクション」。言葉も文化も異なる目の前の人に心を開き、受け入れ、繋がり、共鳴しながらアジャストメントする。頭で考えずにすっとコネクトできるようになるにはまだまだですが、コネクトできた瞬間は、私も相手も自然と笑みがこぼれるような、何とも言えない幸せに包まれました。 3日目に引いた言葉は「プレイ・フルネス」。「今」を意識し集中し、アジャストメントの瞬間に自分のすべてを出すよう努めました。 4日目は「パッション」。あっ、そうか、真剣でまっすぐなアジャストメントだけでは片手落ちでした。パッションを持ってアジャストメントするからこそ、そのエネルギーは相手に深く伝わり、身体の内から湧き起こるような興奮や人生を変えるような「光」が生まれます。この日私がアジャストメントしたのは約130名でしたが、疲労感よりも心地よい充実感や楽しさに満たされました。 最終日の5日目は山﨑 美佳 DC山﨑 美佳 DC人と人が向きあうとき現地サポーターが整えてくれる居心地の良い空間与えられる言葉ではなく、自分で考えなさいとのこと。私がかかげた言葉は「フル・ラブ」。これまでの3つの言葉に心からの愛をのせてアジャストメントを届けました。今ここにいられることに感謝の気持ちでいっぱいでした。 海辺にほど近い場所で波の音を聞き、陽の光や風、時には激しい雨音を全身で感じながら一人一人に向きあった5日間。突如現れた私たちのアジャストメントを受けに興味津々で来てくれたたくさんの人々。最年少は生後14日の赤ちゃん。子供たちも、妊婦さんも、病院の診断書を持った高齢の方もいらっしゃいました。 日本で日々の臨床に戻っても一人一人に向きあう想いは同じ。「4つの言葉」を胸に刻み心新たにアジャストメントを届ける毎日です。 私にとってミッショントリップは、心と身体を総動員して人に向きあう術を磨く場であり、カイロプラクティックの威力と可能性を再確認し、カイロプラクターであることの幸せを噛みしめる時間です。あなたもオフィスから飛び出して、カイロテーブル片手にミッショントリップに参加してみませんか?子どもにアジャストメントを届ける至福の時 今年の春、僕が長年会員として席を置く、GCSS(ガンステッド臨床学会)が「ガンステッド:ザ・アジャスター」という本を出版しました。この著書は、Dr.マシュー・アムマンがおよそ15年以上の歳月をかけリサーチし編纂されたもので、ハードカバーで、414ページ(重さ約4キロ!)のガンステッド・ドクター達にとって待望の一冊です。ここでは、カイロプラクティックとその学校教育体制の趨勢と歴史、ガンステッドの祖先の経緯から予約スケジュールのコピー、そしてマウント・ホレブの巨大クリニックの青写真まで、知られざる「カイロプラクティック・レジェンド」の魅力とその史実を網羅しています。 辺りを見渡せばトウモロコシ畑しかないようなウィスコンシン州のド田舎から「奇跡が起こった!」というウワサが世界中にまで広まり、一日200人もの患者達が、当時最先端と言われた医療機関や他の医者たちをスルーし、何故「ガンステッド」と呼ばれる無口で小太りな男の元へ車を何時間も走らせ訪れたのか?一流を目指すドクターなら、誰しもが抱く疑問です。江川 哲也 DCガンステッド・カイロプラクティックの魅力とは?なぜみんな憧れるのか?江川 哲也DCVol.20 「自分の夢を信じて疑わず、強い願望を持ち、実現するまで辛抱強く行動し続けることが、偉業を成し遂げ富を得るための秘訣である」と、成功哲学の開祖ナポレオン・ヒルが言い残したように、幼少期に患った不治の病からの奇跡的回復をきっかけに、ガンステッドは、「アジャストメントのパワー」を誰よりも信じて疑いませんでした。その揺るぎない確信が、彼を結果的に未曽有の規模と診療数を誇ったクリニックを建て、ミラクルマン(奇跡の人)と呼ばれるに至った1番の理由なのではないでしょうか? 前回の記事でも触れましたが、私たちは日頃アジャストメントのパワーをつい過小評価してしまう傾向が強く、特に「できるだけ早く結果を出したい!」と思えば思うほど疑いの心が起こり、ブレてしまいます。 ニュージーランドのDCであり、脳神経科学博士のDr.ヘイディー・ハビックは、正確なアジャストメントが脳に対しポジティブな変化を瞬時に引き起こすことを発見しました。この画期的研究結果は、カイロプラクターにしかできないことが脊柱アジャストメントであり、脳の活性化と患者の意識の進化をもたらすことを証明すると同時に、一時的な症状や痛みの緩和を目的としたものでは根本的にないことをも意味します。この驚くべき事実を胸に、皆さんが来年も地元の「ミラクルマン」を目指し、自身のアジャストメントに確信を持って一人でも多くの人に奇跡と希望を与えるカイロプラクターとして成功していかれることを願ってやみません。 今年も経営講座では治療院経営で押さえておきたいポイントやノウハウをお伝えしていきますね。 以前、リスクヘッジのコラムを書いたが、それに関連して2019年3月に国内2つの厚生労働大臣認可事業協同組合が共同主催で「安全施術講習会」を開催するとの情報を得た。 これは、カイロプラクティック事業者はみなさん受けておいた方がいいだろう。なぜなら、これからの時代、我々の業界におけるテーマのひとつが「安全性」であるからだ。 正規の教育を受けずに短期セミナーで技術を覚えた「自称カイロプラクター」が横行し、整体での事故や危害がどんどんと増えている。「安全施術講習会」を受講した先生は、受講履歴が記録として残ることと、厚生労働省に名簿を提出するとのことなので、協同組合という団体が安全性への取り組みを証明してくれることとなる。これは事故が多い中での強みとなってくれるだろう。 さて、今日は「患者さんを増やすにはどうしたらいいでしょうか」という質問が多かったのでその話。 患者さんを増やすと聞くと、多くの先生は新規患者を集めることを考えます。ところがこれは間違い。これをやっている限りはその先生の患者さんが増えていくことはないだろう。一時的に増えたとしても、またすぐに減少するだろう。ではどうすればいいのかと言えば、まず「患者数」は何で構成されるかを考えてみよう。さっさと答えを言ってしまえば「患者数」は次の式で計算することができる。 「患者数」=「新規患者」+「既存患者」| 「流出患者」。 これを踏まえて考えれば、実は新規患者を集める前に、既存患者へのフォローと流出患者の防止の対策をしておかなければならないということがわかると思う。 たとえどれだけ新規患者を集めても、前述のことが不十分であれば、それこそザルのようにこぼれていってしまうことになる。 このことを踏まえて、2019年は既存患者のフォローと流出患者の防止の対策をしっかりと考えて、先生の患者さんを増やしていってほしい。合わせて、我々の業界における重要なテーマ「安全性」を証明するために、安全施術講習会も積極的に参加をしていくことが大切だ。2019年は患者数を増やす年に!vol.21vol.21井元 雄一PhD

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る