カイロタイムズ115号(高解像度)
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(5)2018年11月19日発行 カイロタイムズ 115号 「アスレチックトレーナーとして生き残っていくにはカイロプラクティックを学んだほうが良い。本場はアメリカ。行けるなら行きなさい」。日本で鍼灸学校を卒業し、その当時、興味があったアスレチックトレーナーへの道を模索している時にDCの先生に受けたアドバイスがきっかけで2004年に渡米しました。カイロプラクティック大学卒業後、在学中のインター木川 知恵DCンシップからお世話になっていたDr. Arai DC DIBAK CCSPの下でビザのサポートをしていただきながら働きました。カイロプラクティック大学在学中に私がかじる程度にしか知らなかった様々なテクニックを、クリニックの先生達は実際の治療で使い、そしてきっちりと結果を出していく。働き始めてから、カイロプラクティック治療の力と可能性を実際に目の当たりにして、なんと奥が深い治療なんだ、そして人間の自己治癒力の助けが出来る治療なんだ、と圧倒されました。 様々なテクニックを学んでいく中で、NAETというアレルギー除去療法に出会いました。カイロプラクティックの刺激と東洋医学(鍼灸)を使い、体に合わない物・事への過敏を除去していく。なんとも不思議な治療法だと思いましたが、初めてNAETセミナーを受けた時には「何でも治せる魔法の杖を見つけたかもしれない」と衝撃を受けました。体に合わない物・アレルゲンを見つける方法はキネシオロジーでの筋肉反応検査を使います。治療はとてもシンプルで、背骨に沿って刺激を入れていくことと、数箇所のつぼへの刺激を入れること。これで実際に体が変わっていくので、神経系への刺激からの自己治癒力は未知数なんだと感じています。カイロプラクティックを通して見える医療の可能性は、まだまだあると信じています。 現在は、最初にカイロプラクターを志した道とは少し違う道を歩んでいますが、自分が「これだ!」と思える治療法に出会え、それを使いながら診療し、患者さんの体調改善へのお手伝いが出来ていることがとても幸せです。2012年9月に独立して早6年。自分の好きな事が仕事になっている、という幸せと感謝を忘れずに日々精進していけたらと思っています。Vol.3Vol.3世界で活躍するDC木川知恵 DCカイロプラクティックの可能性 日本体育大学在学中、バスケットボール部とトレーナー研究会に所属しアスレチックトレーナーを目指す。 大学卒業後、早稲田医療専門学校に進学、鍼灸師の資格を取得。 鍼灸学校の特別授業でカイロプラクティックと鍼灸を合わせた治療方法を学び、カイロプラクティックを本格的に学ぶことを決意。鍼灸師・アスレチックトレーナーとして日本で数年臨床経験を積んだ後、2004年に渡米。Southern California University of Health Sciences (LACC) を卒業、Doctor of Chiropractic(DC)を取得。 2009年4月からBESTChiropracticClinicCostaMesaに勤務した後、独立、2012年9月にGardenaOce,2013年1月よりOrangeCounty Oceを開業。NAET(アレルギー療法)公認ドクター。NAETの日本語サイト: http://naetjapan.com/木川 知恵 DC(きがわ ちえ)プロフィール 日本人はどんな人達かと問うと「親切で、優しく、真面目」というのが世界的評価であることは、明治新政府を牽引した官僚達が優秀であった証と言われる。彼等は命令染みたことを言わず、替わりに「日本人は親切で、優しく、真面目な国民だ」と民衆に言いふらしたのだ。協調性の高さも日本人の国民性として挙げられる。義務に応じることを何故と尋ねると、「皆がそうしているから」と答えが返ってくる。 日本人DCはどんな人達か問われたら、どう答えると良いだろうか。留学し、米国社会で生活したのだから、日本人の美徳の上に米国社会の良いところを身に付けた人達と一般に期待されるだろうけれど、米国の大学で学位取得まで果たす知性のある人達が、仮に日本人のダメなところにアメリカ社会のダメなところを足し合わせた程度ならば、カイロプラクティックの安全性や法制化にも無関心かもしれない。 カイロプラクティック制度化推進準備会議が2年継続して開催されて、開催地東京在住のDC達は初回に3人出てきた。他府県からは2回ほどセミナーのついでとかで出てきたDC数人がいた。他には同窓会や友人グループのまとまりがあるとは聞くが、交代で代表者を参加させる様子もない。 継続して参加しているDCが約3名では、現役DCの国内人口を100人とすると、統計学的に意味がある値にすら達しない。先進国並みの法制化を成就し、国民に認知される安全なカイロプラクティック業界にしようとする専門性、社会性、協調性などを日本人DC達が持ち合わせるのか疑われる数字だ。 関係省庁代表が「DCの方達はカイロプラクティックの法制化に興味無いのですね!」とおっしゃるのも当然で、省庁と関わりの深い関係者が「DCさん達は気位ばかりが高い」と溢す。世界基準の高度教育を受けたDC達が、国内業界の現状を理解する力に乏しく、法制化の理解も低いと思われているのだ。 制度化推進準備会議事務局長の努力で、DC達が関わっている2団体のそれぞれ事務長の方達がオブザーバーとして参加し始めたが、それら団体のDC達も関係省庁代表者達への挨拶だけでもお越しになると好ましかろう。他のDC達が関わる組織も、風向きを感じるだけでも参加してみるべきだ。 法制化に関して、僭越な表現に聞こえたらお許し願うが、DC諸氏には物事の道理と社会的責任を真剣に考える時期が既に来ている。法制化の全てを他人任せで良いのだろうか。制度化推進準備会議に省庁代表者達が立ち会っていることは周知の事実であり、これらの省庁代表者達は、制度化が確定した段階で関係法規の策定に携わる立場の方達だ。そして彼等は社団や財団を作れと言うでもなく、法制化に向けて業界としての課題を整理することを促している。行政側は好意的だが、関係省庁で人事が変わると、トップダウンで理解も協力も突然に変わり得る。DC諸氏が法制化を望むのならば、行政側が好意的な内に協力するほうが賢明だ。 仮に制度化推進準備会議が中止に至れば、今回の法制化運動は終わり、次に法制化の機運が起こるとすれば、経験則から演繹的に20年後と推測する。ちなみに、以前の法制化運動に深く関わった某DCの有名な言葉を借りると、「日本人DCには無理」だろう。 カイロプラクティックを標榜する者全員をリラクゼーション業に組み入れる準備は既にあることも周知であり、消費者庁が危険性を報告したカイロプラクティックを、海外の学歴や資格など関係なく公平に、補完医療の枠から外すほうが国民の安全の為に即効的と考えられる可能性がある。 政治家絡みやWFC頼りで独自に法制化する方法論が主張されたことは、手段の妥当性を別にして、法制化賛成を意味する。法制化反対の声は過去2年間も聞こえてこない一方で、DC達の総意は異なる宗派の百体の仏像の唇を読んで御尊意を忖度するに等しい現状だ。「言うべきときに言うべきことを言う」のが難しいなら、「会議の為の会議」を各団体で行うと良い。制度化推進準備会議が会議の為の会議であり、制度化推進会議に昇格すれば、法制化の枠組が会議運営に尽力してきた団体を中心に決められるのは当然の流れになるけれど、無言のDC諸氏は異存ないのだろうか。御意見番 物申す無言の行の効能中 垣 光 市 DC カイロプラクティックの専門職にナショナル(NUHS)の創立者であるジョンFAハワードが理学療法を持ち込んで以来、カイロプラクティックは独自性を失うリスクを背負って分裂してきました。 ナショナル系の西洋医学偏向の大学では、理学療法はDC学位過程の必須科目となり、逆にカイロプラクティック哲学は教えないようになっていきます。 米国カイロプラクティック国家試験(NBCE)でも理学療法(PT)の科目が創られ、また州の開業免許の条件の1つに、その合格が求められる州もあります。 そうして、純粋にストレート・カイロプラクターを目指している学生であっても、自分が開業を希望している州によっては理学療法を学ばざるを得なくなり、パーマー系の大学も選択科目として理学療法を教える必要性にせまられたのです。 したがって、今日では北米の全てのカイロプラクティック大学で理学療法が教えられ、更に薬学や栄養学などといった西洋医学の科目をDC学位過程で教える所もあるというありさまです。 その結果、DC学位を取得して国家試験に受かっても、カイロプラクティックの哲学も芸術も十分に修得せず、医学知識に偏った頭でっかちのDCとなり、素手によってなされるアジャストの修得の意欲も努力もないまま安易な器具による刺激療法の様なテクニックに流れる者が多いのです。 それはパーマーカイロプラクティック大学ですら例外ではないほどで、「パーマー大学卒イコール優秀なカイロプラクター」というのは過去の栄光と言えるくらいの惨状です。 そうしてカイロプラクター達が本来の「アジャストメント」のパワーと価値を貶めて「マニピュレーション」と混同し、自らの施術にマニピュレーションという言葉を用いる風潮がもたらしたものは何でしょうか。 この写真はある医学専門職の学会誌です。どこかで見覚えのある手技だと思いませんか。そう、これはディバーシファイドのミリオンダラーロールと呼ばれる古典的カイロプラクティックの骨盤矯正カイロの存在意義②松下 順彦DCVol.法です。 この医学誌は「整形外科&運動理学療法ジャーナル」2004年4月号で、理学療法士のものです。 カイロプラクターが彼らの領域を侵したことに反撃して、近年特にその有効性や安全性が認められている脊椎調整を自分達のモノにしようと虎視眈々と狙っていたのです。 かつて理学療法士が脊椎調整を臨床する権利を主張した時、裁判によって「脊椎調整はドクター(MD・DO・DC)レベルの者でなければならない」と却下されました。 MDやDCのように第一専門職学位になれない彼らは、アカデミック学位の博士号(PhD)を理学療法士の免許取得の条件にし、理学療法博士としてのドクターになり、また理学療法手技テクニックにGradedモビリゼーションを加えHVLAマニピュレーションとして高速低振幅の調整操作を導入して教えてきたのです。 その結果、理学療法士は、マニピュレーションは(西洋)医学のものであり、我々理学療法ドクター(博士)が適任者であるとばかりに攻勢をかけてきています。 このままではカイロプラクティックと理学療法の違いがなくなってしまい、独自性は消滅し、存在価値もなくなってしまう可能性が大いにあります。 DOが辿った道をDCも追従し、三流の似非医師のようにDC免許で医学を臨床する日がくるのでしょうか。素手でなされるアジャストの修得意欲もないまま、器具による刺激療法に流れる者が多くなるのでしょうか。カイロの存在意義が問われます。

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