カイロタイムズ113号
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(7)2018年5月21日発行 カイロタイムズ 113号 3月1日(木)〜3日(土)、昨年に引き続き、ラスベガス大通りの中心に位置するパリスホテル(米国ネバダ州ラスベガス)を会場として、パーカーセミナーラスベガスが開催された。 同会場にはカイロプラクター(DC)、カイロプラクティック大学の学生、カイロプラクティックアシスタント(CA)など、数千名にも及ぶ業界関係者が集結。日本からも、大勢の方が参加し、メイン会場のステージ上でその継続参加に対するセレモニーが開催されるなど、特別な歓迎を受けた。また、展示エリアには約130社が出展し、セミナー参加者はセッションの合間を使って、各ブースが提案する最新の業界トレンドを体感した。 パーカーセミナーとは、テキサス州で18院のカイロプラクティック院を経営し成功を収めた、Dr.ジム・パーカーが、1951年に『クリニック構築勉強会』として創設。いまや世界中から自己の意識と顧客の満足度を上げるべく、向上心溢れる熱心な業界関係者が数千名規模で集まる、世界最大規模のイベントへと成長した。現在では、1982年に設立された米国パーカー大学の卒後教育部門が運営し、継続教育(CE)単位取得クラスなど、様々な目的や用途に合わせたセッションが提供される。◆今年のメインテーマ 今年のメインテーマは、「AreyouPAKERFIT?」。直訳すれば、「あなたはパーカーにフィットしていますか?」となる。これは即ち、パーカーセミナーが提案している「物理的にも、感情的にも、哲学的にも、ビジネスで成功しているという意味でも、素晴らしいCAという意味合いでも、全て」において、参加者自身が実践できているのかを問うたものであり、今回のセミナー参加を通して、それらをより自分のものとしてほしいとの運営側の熱い思いが凝縮されたテーマともいえる。◆参加者=Family 大小の様々な会場で開催さパーカーセミナーラスベガス2018世界最大規模のカイロプラクティックの祭典が      今年も開催れる各セッションでは、テーマこそ「哲学」「技術」「運動」「顧客対応」「店舗経営」など多岐にわたるが、しきりに「Family」という言葉が多用された。これは、パーカーセミナーに携わる人は皆、自分の職業が好きで、同じ職業に携わる参加者全員の基盤をつくる手助けをするために協力するので、どんどんネットワークをつくって、『Family』としてカイロプラクティックの職業・業界を発展させてほしいとの願いが込められたものであり、各スピーカーは「このセミナーで、何かを感じ、何か行動してほしい」と参加者へ訴えていた。 今年で14年連続の参加となる小野寺靖Ph.D.は、「現在、日本のカイロプラクティック業界は、教育を整備し制度化を推進することで医業類似行為にとどまるのか、それとも明確な非医業行為であるリラクゼーション業へ合流するのかという2択を迫られている状況にあります。もし業界の方々が前者を望むのであれば、パーカーセミナーの掲げるように『Family』として集結し、正すべきところは正し、調整すべきところは調整していこうとする『覚悟』が求められているのではないでしょうか。簡単な道のりではないですが、日本より社会的立場が確立されているアメリカのカイロプラクティック業界がこのように大規模なセミナーを開催し、互いに鼓舞し切磋琢磨している姿勢は、業界の人間として毎回良い刺激になります」と述べた。 次回パーカーセミナーラスベガスは、2019年2月21日(木)〜23日(土)を予定している。WILLIAM E. M ORGAN, DC カイロプラクティックの創始者DDパーマーが、「カイロプラクティックとは、自然の法則に基づく、哲学・科学・芸術であり、不調の原因となる脊柱上の分節を、素手によってのみアジャストをするシステムである。」と定義している。 また、「私達はカイロプラクティックを私達の患者に対し純粋なまま与えている。もし、それが他の如何なる方法とでも混ぜられたなら、すぐにその独自性を失ってしまうだろう。」と言っています。 それにも関わらず、ナショナル系のDC達は理学療法などを持ち込んで自分の学校の教科に入れたり、哲学は教えず内科学などの西洋医学の科目を教えるなど、創始者の定義や指針を蔑ろにしてでも、特徴を作り差別化を図ってきた事は以前にも紹介しました。そして、政治的活動に長けた彼らは、CCEやNBCEなどを創設し、カイロプラクティック教育を支配することで自分達の考えを業界の基準に押し付けたのです。 本場アメリカでは、カイロプラクティックを業とする者は、CCEの認定を受けたカイロプラクティック大学を卒業し、NBCEの国家試験に合格した後に州政府に免許を申請し、州の要求する条件を全て満たして開業免許を交付された者に限られます。 つまり、米国でカイロプラクティックを臨床している者は基本的にDC学位を取得しているのですから、大学でカイロプラクティックを学び、ドクターとして臨床するに必要な知識と技術を学んでいる筈です。 しかし、現実にはそこに大きな落とし穴があります。大学を卒業しDC学位を取得しただけでは開業できず、NBCEの国家試験に合格しないと州政府に免許申請が出来ないという点です。 先ず、カイロプラクティック大学は、CCEの認定を受けなければなりません。その為にCCEが要求する諸々の条件を満たさなければいけないのです。 CCEの認可を受けるために、多くの西洋医学の科目を教える必要があり、またNBCEの国家試験はほとんど医師国家試験と言ってよい程に西洋医学の知識を求められ、カイロプラクティックの問題は無いに等しい状況です。 その結果、パーマー大学を卒業したDCであっても、国家試験科目の履修に忙殺され、カイロプラクティックの哲学を真面目に学んでいない者が多く散見されます。 また、多様性が重要などと米国カイロの歴史と潮流松下 順彦DCVol.して、一定数の教員は他大学卒の者を雇用しなければならなく、パーマー大学にもナショナル系のDCが入ってきたことで組織としての統一性が失われました。 その結果、パーマー卒のDCでも創始者の定義を理解せず、「素手でなくても、器具を用いてもいいじゃないか」とか、「カイロプラクターが薬も処方できる様に法改正しよう」といった専門職の独自性を破壊し、西洋医学の隷属的地位に貶める発言や行為が散見されることに繋がっています。 つまり、政治的な力で教育を支配することで、輩出される新卒のDC達が自分達の思想の影響下におかれ、次第に業界の大多数を占めるようにしたのです。 国家試験受験資格を盾にして、西洋医学偏向のミキサー的思想に抵抗感をなくさせたと言えるでしょう。 CCEやNBCEには、教育レベルの向上、医学界からの認知向上という表の面だけでなく、専門職の独自性に与えた負の面があるのです。ご存知でしたか?D.D.Palmer

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