カイロタイムズ113号
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(4)2018年5月21日発行 カイロタイムズ 113号第8回世界手技療法会議~手技療法の可能性~ 2018年10月20日(土)・21日(日)の2日間にわたり、倉敷芸術科学大学において、「第8回世界手技療法会議(InternationalConferenceonChiropractic、以下ICoC)が、「手技療法の可能性」をメインテーマとして開催されることが決定した。 本会議はこれまで、カイロプラクター韓国協会の主催で開催され、「所在国の認可する正規大学においてアクレディテーションを取得したカイロプラクティック教育カリキュラムをアジアで初めて運用」させた実績を持つハンソ大学が後援してきた。2010年から始まった比較的新しい国際会議であり、韓国以外での開催は今回が初めてとなる。第8回世界手技療法会議日本での開催が決定 初開催時のメインテーマが「韓国と日本におけるカイロプラクティックの課題と研究の傾向(CurrentChiropracticIssuesandResearchesinKoreaandJapan)」であったことからもわかるように、ICoCはこれまでも同大学関係者や在籍学生による研究発表にとどまらず、日本をはじめとするアジア地区のカイロプラクターや手技療法家のプレゼンテーションを積極的に受け入れてきた。昨年10月、ソウル市江南地区にあるセントメアリー病院で開催された第7回会議では、日本人から約20名が参加し、うち5名が研究発表を行った。 日本で初開催される今回は、倉敷芸術科学大学が会場となる。大会長は我が国の手技療法業界において、長年第一線で活動してきた中垣光市DCが務める。また、基調講演には、首都大学東京の名誉教授であり、公衆衛生を主要テーマとして「健康長寿」に関する研究を数多く発表している、星旦二医学博士を迎える。会期中はパネルディスカッションや研究・症例・論文発表を予定しており、今後、発表希望者の募集も行う(詳細はホームページにて公開予定)。「エビデンスの構築」が各方面より求められている我が国の手技療法業界の社会的地位の確立のため、多くのカイロプラクターおよび手技療法関係者の参加が期待される。Christopher J. Colloca, DC, PhD日 程:2018年10月20日(土)・21日(日)会 場:倉敷芸術科学大学(岡山県倉敷市連島町西之浦2640番地)参加費:20,000円/税込(事前申込の場合は、16,000円/税込)主 催:ICoC実行委員会  問い合わせ先:info@icoc-jp.com上村 高史DC 皆さん先生方もそうだと思いますが、問診時に筋骨格系の痛みの問題で、どこに行かれましたか?と聞くと「整形外科を受診した」と答える方が多いと思います。中には接骨院に行かれた方もいるでしょう。整形外科では症状を追って治療、投薬していますのでカイロプラクティック(カイロ)とは考え方が全く違います。そのため、整形外科の先生を紹介された時はまずは会います。 いろいろ考えに共通する所もありましたが、施術や治療に関しての話の中で、言われたのが、「アジャストというもので骨なんか動かせない」とか「仙腸関節なんて動かないから」等、MDとカイロとの教育や認識の違いにぶち当たりました。 ご存知の通り整形外科では、まず局所的にある痛みを取り、構造的に悪い箇所を治そうと考えています。そういう教育を受けているのでそれが普通です。 カイロは神経系にアプローチしていますので、構造的というよりは機能的に考えて臨床している事が大切です。構造的に良くなっても、局所的に痛みが無くなっても、無理なく動かす事が出来なければ日常生活に支障が出ます。もちろんカイロにおいても臨床家はまず、如何に痛みが無く起きてから寝ている間まで日常生活が送れるかを考えなければいけません。 やはり解剖学、生理学の教育基本は同じとは言え、カイロプラクティックと整形外科の教育では根本的にフィロソフィー、教育の観点が違います。Above side down inside outの考え方と違い、痛みがある箇所は飲み薬等で服用する、麻酔、神経根ブロック、ヒアルロン酸等の注射を入れて痛みを取る、切除、固定して構造的に変えるなど、考えれば考えるほど同じクリニックで一緒には共存共栄して仕事するのは難しいと感じました。 私はMDの行っている事を否定している訳ではありません。理解ある整形外科医とも連携して仕事させて頂いています。それだけ必要なケースがあるからです。 今回は整形外科クリニックについて記載しましたがその他に内科、産婦人科、脳神経外科、総合クリニックにも見学に行きました。 現在でも理解ある整形外科医と提携して患者の状態を共有しています。それはどういう事か? 次回はそれについてお話ししたいと思います。アメリカ、シンガポールから日本に帰国して医師と提携DrDrムウエムムウエムララののリアリリア床ダイアリー臨床ダイアリDr ウエムラの臨床ダイアリーVol.9上村高史 DC 私のオフィスには多くの女性が来られます。その中に、妊活中や妊娠中という方もたくさんいます。その中で印象的だった患者さんのお話をお伝えしたいと思います。 Kさん 29歳。主訴は頭痛で来院されました(ほぼ毎日頭痛薬を服用するほど)。問診をしているうちに、妊娠を希望しているということ。しかし、中々授からず、一度流産の経験があるためとても神経質になっていました。仕事は好きで充実しているが、とても忙しく、家事との両立にもストレスを感じていました。 初見では、仙骨に大きくサブラクゼーションがあり、聞いてみると、高校生の頃、座ろうとした時にいたずらで椅子を引かれ、そのまましりもちをついて強打し、泣き出すほど痛かったことがあるということでした。仙骨のサブラクゼーションによって脳脊髄液の流れが悪くなり頭痛が起きていること、子宮や卵巣への神経の働きに不具合が生じている可能性があることを説明し、治療を開始しました。治療開始から3回目には頭痛薬を服用しなくてよくなり、5回目には頭痛がほぼ解消され、妊活に集中できると喜んでいました。(ほぼ毎日の頭痛薬の服用によって身体が酸性化し、細胞に異常をきたし、子宮内環境も悪化させていたと思われます。一度の流産はこのためではなかったかと考えられます。) 治療を進める中で話を聞いていると、家でゆっくりと夫を支えたいと思う一方、仕事がかなり大変で帰宅も遅く、家事がおろそかになり、ストレスを感じているということでした。そこで私は「仕事を少し減らすか、やめるという選択肢はないのか?」とアドバイスしたところ、夫と相談し、2か月後仕事をやめることにされました。初診から6か月、私のオフィスで治療を受けながら身体作りを続け、なんと仕事をやめたその月に妊娠が分かり、台本通りと言いたくなるような結果をもたらすことができました。妊娠中も産後も続けてアジャストを受けていたおかげで、今もとても元気に子育てをされています。もちろん産まれた赤ちゃんもアジャストを受けています。 妊活において、〝ストレス〞は一番の邪魔者だと考えられます(ホルモンバランスを崩す原因になります)。このケースでは、仕事がストレスでは山地 梨映子 DC.CACCP山地 梨映子DC.CACCP妊活〜子育てカイロプラクティック体験記(7)なく、仕事をしていることによって家事ができないというストレスでした。それを取り除くことによって、うまく心身のバランスを保つことができ、妊娠されたのだと思います。カイロプラクターとして、大切なことは、ただただアジャストをするということではなく、様々な面においてアドバイスすることが大切だと思います。食生活もそうですし、時に患者さんに寄り添い、私生活へのアドバイスやメンタルサポートも必要なことだと思います。そして、本来カイロプラクターが提供すべき「wellness」とは何かをしっかりと患者さんに伝え、本当の意味での健康を共に目指すことが必要です。考え抜く力 カイロを含む徒手療法やほぐしの業界では熾烈な出店攻勢が加速中です。もし低料金競争に巻き込まれたくないなら、競合と似たサービスを提供してはダメですし、違いを認知されないと生き残れません。「ウチは本物のカイロだ。黙っていても分かる人は分かる!」という甘えは禁物ですね。なぜなら今日、大半の顧客は多くの施術・サービスについてネットで情報武装しているからです。顧客は自分の意に沿う、納得料金の検索結果以外には目もくれません。 では、どうしたら良いでしょうか?答えは、施術や訴求点を差異化し周知させることです。ただし「私が提供するカイロはこう違う!」と個性を訴えるのはただのエゴです。残念ながら、あなたが好きなテクニックやこだわりに顧客は全く興味がありません。 違いを打ち出すポイントは、例えば「Where」「How」にあります。前者では「市場を変える」というのも一つの手です。整顎の場合は、歯科でカバーしきれない顎関節症と関連症状に活路を見出しました。後者については「どう見られたいか」について工夫しましょう。整顎では、口腔医療に関する理念を徹底し、歯科医師向けにも競合ではなく味方であることを伝えました。 さて、施術や戦略を差異化することは重要ですが、いくら革新的でも顧客のニーズやウォンツとかけ離れていては意味がありません。(例えば、時刻を知るニーズを満たすスマホがあっても、高級腕時計が売れるのはウォンツのおかげ。)特にウォンツに合致することが重要です。また、それらを満たす独自サービスを思い付いたとしても、オリジナルだと思い込んでいることは、競合院も必ず考えています。現在、我々の業界にはホールディング会社も進出していることも意識しましょう。情報収集に長けた大手企業にとっては、後出しジャンケン的に模倣することなど朝飯前です。 では、対策は?競合他社が真似できない差異化を推進する鍵は、実はコンセプトのその先です。カイロ哲学を守りつつも従来の立ち位置を疑う。カイロが法制化されない日本における新たな可能性を模索する。(たとえ法制化されても困ることはない。)先頭に立ち、真似されるより先に走り続けて高みを目指す。そして、時に立ち止まって考え、また進む。そんなプロセスを繰り返す必要があります。 私は「整顎」という差異化コンセプトが世の中にいかに変革するか徹底的に考え抜き、今も毎日、考え続けています。藤原 邦康DC整顎コラムVol.9藤原邦康 DCDrDr藤原藤原ののDr 藤原の

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