カイロタイムズ111
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(6)2017年11月20日発行 カイロタイムズ 111号 器具によるアジャストメントの歴史を辿ると、カイロプラクティックで最初に器具によるアジャストメントを行なったのは、Thomas H. Storey, DCであるという記録があります。Dr. Storeyは、1901年にPalmer Schoolを卒業し、木製の小槌と棒の矯正器具で脊椎全体を矯正していたといわれています。アクティベータ器Ⅰの生産が始まりFDA(米国食品医療品の共同創始者であるドクター・リーとドクター・ファーは、アクティベータ器が開発される前は、拇指ターグル・アジャストメントを行っていました。カイロプラクターの多くが関節を捻るようなスラストを行う中で、直線的な関節への振動刺激で、神経反射を介して治療効果を引き出していたことが伺えます。2人のドクターはそのスラストを多くの患者に繰り返し行うことで、自分たちの肘関節や拇指関節の障害に悩まされていました。そして、その問題を解決するために矯正器具の開発に着手しました。 当初は肉体疲労の軽減を目的に器具へのアジャストメントに切り替えたわけですが、結果的にはアジャストメントの方向やスラストの速度や力などが、手での直接矯正よりもより容易にコントロールできることが分かったといわれています。器具によるスラストは、一見して簡単そうに見えますが、ターゲットとなるコンタクトポイントやその周辺の軟部組織への押圧はどれくらいなのか、あるいはコンタクトの角度はどれくらいがベストなのか、そこには熟練の技が必要になります。 同じ筆を持っていても、その筆を使いこなせる熟練度や感性の違いで、書の美しさが異なるように、器具を使いこなせるだけの手の熟練が必要になるのです。恐らく2人のドクターは、拇指ターグル・アジャストメントで多くの成果を出していたので、どこの部位に、どの方向で、どれくらいの圧でスラストを加えれば結果がでるのかということを長年の臨床経験で培っていたのだと思います。(次号に続く)局)に登録される以前に、いくつかの空気式や電動式の矯正器具が開発されており、さらには、現在のアクティベータ器の基本システムに関係するスプリング式やソレノイド式の技術革新もあったようです。 当時の器具によるアジャストメントの目的は「圧迫説」なのか「神経反射説」なのか定かではありませんでした。 アクティベータ・メソッド器具によるアジャストメント ①保 井 志 之 DCVol.13 ウェドンDCは南カルフォルニア健康科学大学(前ロサンゼルスカイロプラクティック大学)の研究者であり統合医療における豊富な知識や経験から業界の第一人者です。その彼が、腰痛に対するオピオイド系(アヘン類似合成および内因性麻薬類似物質)鎮痛剤の使用を減少させるために非薬物治療が非常に効率的だと示す比較研究を行いました。 ニューハンプシャー州の保険請求データから3万3千人の腰痛患者を調査し、カイロプラクティックを受けた患者達と受けてない患者達のオピオイド処方薬使用を比較しました。全体の約3分の1の患者がカイロプラクティック治療を受けており、そのうち38%の患者がオピオイド処方薬を使用し、受けていない患者では61%がオピオイド処方薬を使用していました。服用量もカイロプラクティック治療を受けたグループは、受けなかったグループの約半分以下で、費用も一人6千円程安いという結果が出ました。 カイロプラクティック治療を受ける事でオピオイドという麻薬剤を取らずにすみ、費用も安くつく可能性が高い事が分かりました。このオピオイド剤は合法的な鎮痛薬として使われますが、いわゆる麻薬で中毒性があり耐性もつくので摂取量もどんどん上がります。よくアメリカの著名人が鎮痛剤の取りすぎで亡くなったと聞きますが、ほとんどオピオイド系の薬の過剰摂取が原因とも言われています。医師の処方箋があれば合法的に簡単に麻薬が手に入るという、そんな医療に疑問を持たないぐらい薬漬けになっている現状があります。ウェドンDCのように大学での研究からたくさんの研究発表がなされるシステムをこれからも望みます。ただ、その研究結果も人々に伝わらなければ意味はありません。今回のような真実を少しでも多くの人々に伝えるべく様々なツールを利用していくことが重要になってきています。私達臨床家もまずは一人ひとりを正しく治療しカイロプラクティックの恩恵を広めていきたいと思います。麻薬系鎮痛剤の使用を減らす治療の調査研究中島 一光DC 前回は妊娠中に大切なことについてお話しました。⑤では、「安産」についてお話ししたいと思います。「安産」とはいったいどういうことを言うのでしょうか?実は定義は非常に難しく、答えは個々にあると思うのですが、私の個人的な「安産」は、母子のタイミングがピッタリ合い、スムーズであることではないかと思います。陣痛の期間が長く、分娩までに時間がかかったとしても、分娩自体がスムーズであれば安らかな気持ちになるのではないかと考えています。 では、そのような安らかな出産を迎えるにはどうすればよいでしょうか?まずは出産のメカニズムをよく理解することです。自分の身体にどのような変化が起きるのか。例えば陣痛とは何か?一般に陣痛というと「痛い」という漢字を使うため、最初から痛いイメージを持ってしまいます。しかし、陣痛は、赤ちゃんを産みだすために子宮が収縮している状態ですね。ですので、私は陣縮(じんしゅく)と呼び、脳の痛いというイメージを変えてもらうようにしています。それから、陣縮における子宮の収縮は、赤ちゃんの筋肉に自ら出ていく力を与えて刺激をしているともいわれています。陣縮とともに破水が起きます。羊水を吐き出し、赤ちゃんを産み出す前兆ですね。そういう生理的なメカニズムを知っておくだけで、出産はかなり安らかになっていきます。それから、赤ちゃんはどのような動きをして外界に出てくるのか。第1回旋〜第4回旋までを経て、自らの力で外に出てくるのです。その回旋の流れを理解し、想像するだけでも、出産はかなりスムーズになります。 メカニズムや流れを理解したら、その流れの中でどのようにタイミングを取ればよいのか考えていきます。赤ちゃんが出ようとするタイミングでうまくいきむことができれば良いですよね。それを出産前から頭の中でシミュレーションをし、赤ちゃんとコミュニケーションを取っておくことが大切です。出産の動画などを見ながら想像するのも良いでしょう。この時に(臨月)、カイロケアを受けておくことで、赤ちゃんとの神経のつながりをより良いものにしておくと、安らかでスムーズな出産をともに迎えることができるようになると考えます。赤ちゃんにとっては初めての大仕事です。お母さんが山地 梨映子 DC、CACCP山地 梨映子DC、CACCP未妊セラピーとしての カイロプラクティック⑤(5)痛い・辛いとパニックにならず、赤ちゃんにがんばれーと応援してあげなければなりません。気持ちに余裕を持つことが大切なのです。 余談ですが、私は特別な事情がない限りは自然分娩を推奨しています。理由は3つあります。1、赤ちゃんが自分のタイミングで出てこられることと、お母さんのつながりが強くなること。2、お母さんの膣の中を通り、膣内の菌に触れることで、生涯持つ腸内の乳酸菌の種類と数が変わるため(帝王切開の赤ちゃんよりも種類と数が多い)。3、膣の中で一瞬窒息するのですが、外に出た時に大きく息を吸い込むために肺容量が大きくなる(帝王切開の赤ちゃんよりも肺が大きくなり、喘息などの病気も少ない)。 素敵なマタニティーライフを。 「今はこのSNSがすごいらしい」というSNS絡みの話は今この瞬間にも至る所でされていると思う。 私もよくクライアントの方から、「フェイスブックはまだ始めてないのでそろそろやった方がいいですか?BOTはどうですか?」「今はラインが良いと聞いたのですが、やったほうがいいでしょうか?」というような質問をされることがある。 それこそ私がマーケティングを手掛けるようになってもう15年になるが、新しいツールが登場するたびにそんな質問をされてきた。 私自身は、もう10年も前にミクシィやツイッターなど、SNSが出始めた頃から、それらに目をつけ自ら取り組んでみて、インターネットマーケティングとして活用できるかを検証してきた。 そして確かにどのツールもそれなりに大きな可能性は秘めていたし、良いものも多い。 実際に集客にも使えたし、ファンづくりや口コミを引き起こすことにも使えたのは間違いない。患者数も増やせる、広告費の削減もできるし、効率的な経営を実現することも可能だ。そんな夢のようなツールがSNSであると言える。これから先もどんどん新しいプラットフォームやツールは出てくるだろうと思う。 そしてそのたびに「これからは〇〇をやった方がいいですよ!」というように先駆者的な人が出てくる。 それ自体を否定する気はない。新しいツールを使うのは悪いことではないし、そういった先駆者的な人たちのおかげで新しいツールは広がっていく。ただ、これからの時代、新しいものが出てくるたびに先駆者的な言葉に振り回されるのって大変だと思う。 「先行者利益」と言われれば、急いで始めなければならない錯覚にハマってしまう。 流れに乗らなければ損するような脅迫観念にも似た気持ちになってしまう。それが数年ごとにやってくる、いやいや年に何回もやってくるから疲れ果ててしまうだろう。 では新しい情報が出た時に、それに取り組むべきかどうかの判断はどうすればいいのか。 それは「自分のビジネスにとって本当に必要かどうか」必要であれば「どう組み込み、何の役割を担わせるのか」というビジネスの全体像を見据えて考えることが最重要だ。 自分が叶えたい全体像によっては同じフェイスブックの使い方でも、見込み客を集SNSは集客に有効なのか?vol.16vol.16井元 雄一PhDめるのに使うのか、それとも患者コミュニティをつくるのか、情報公開をしてブランディングに使うのかによって投稿する内容は全く違ってくる。 この機会に、自分のビジネスの全体像と、それぞれのSNSが担うべき役割について考えてみてはどうだろうか。くれぐれも注意したいのが、多くの人が口にする「流行っているから」とかという基準で判断することは極めて危険であって、あなたはそんな暇人ではないはずだ。 今業界を挙げて「安全性の確保」へ取り組みがされているが、そういったものはとてもSNSでは拡散されやすい話題だ。安全施術講習会へ参加すれば、自分の技術の安全性の確認になるし、SNSを通じて周囲へのアピールにはとても有効だろうと思う。

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