カイロタイムズ111
5/8

(5)2017年11月20日発行 カイロタイムズ 111号上村 高史DC カイロプラクティックと併用して最新医療をどう取り入れているのか?今回はよく聞く医療用高密度酸素カプセル(以下、医酸カプセル)です。 日本でもベッカムカプセルと言われて名前だけ先行していますが同様のカプセルは日本では数少なく病院にあるだけで、多くの治療院に置いてあるのはそれをもう少し小型化した酸素濃度が低いものだと思います。価格もアメリカなどで入って、1台最低2000万円位はします。慣れれば快適で終わった後カラダの筋肉、関節に酸素が入っているのが感じられます。 普段なかなか緩んでパキパキ音がすることがない胸鎖関節、肩鎖関節、肘関節、股関節などに酸素が入ることにより筋肉の柔軟性が向上し、ガスの抜けるパキパキ弾けるような音がします。これが気持ち良いのですが初めての時はビックリしました。そして骨折、靭帯損傷で早期回復した選手で、2週間で骨折が治ったケースもありました。 肉離れなどの筋膜の損傷にも大いに役立ちMRIの治療前後の画像が全く違いました。選手からも治っていく感覚が感じられると自然と自分で出来る事を考えるようになりポジティブに毎日過ごしてくれるようになりました。これが凄く大事でそういう思考になれば回復のスピードがとても速くなります。 レンタルチーム先からも毎週のミーティングで選手が良くなっていけば信頼もされますし、日本で治療しなくて今後他の選手も怪我をした場合にシンガポールでも大丈夫と安心してくれる訳です。 しかしながら、ここまでの信頼を得るまで最初は凄く大変でした。というのは最悪なケースが2つもあったからです。 1つ目は、試合中に相手の故意による酷い肘打ちが顎に入り2カ所骨折したケース。 2つ目は、練習中に一人のDF選手の顔にFWの選手の頭がヘディングで横から入り顔が3分の1潰れたケースの2つでした。 1つ目のケースは後にチームがビデオを送りAFC(アジアサッカー連盟)の会議でも劣悪なファウルのサンプルとされ協会から相手選手には5試合の出場停止処分が下り、シーズン中の3カ月は選手生命にも関わりました。 2つ目のケースは眼底、頬骨の3カ所骨折で人間の顔が潰れたのを生で初めて見ました。各専門医に連絡してベストな選択をお願いしました。医療用高密度酸素カプセルを治療に使ったケース1DrDrムウエムムウエムララののリアリリア床ダイアリー臨床ダイアリDr ウエムラの臨床ダイアリーVol.7上村高史 DCまず行ったことは、潰れた頬骨と眼底を引っ張って球体の顔の形に戻すことでした。3DのCTを撮ると潰れた部分がよく分かり、張りぼてをつなぎ合わせるような感じで治療を行いました。これはシンガポールで一番の美容整形外科医に執刀してもらい、手術から1カ月後の腫れがひいた状態は怪我をどこにしたのかほとんど分からない顔にまで戻り驚きました。手術後は担当医の許可をもらいカイロプラクティックのアジャストは毎週しました。医療用高密度酸素カプセルも退院後許可が出て行い顔面神経障害の回復にも役立ちました。現在はJリーグで活躍していますのであの時の話をすると懐かしく感じますが、本人はあの時のホラーのような顔写真はみたくないようです。今後も選手のために、ベストを尽くします。 今年8月13日のお盆、私は甲子園球場にいた。灼熱のライトスタンドから目に映るのは、キビキビとした動きの高校球児、鮮やかな緑色の芝生、アルプススタンドの均整のとれた応援と歓声、深緑色にそびえ立つバックスタンドと電光掲示板、甲子園球場を取り囲む青い空と白い入道雲。しばらく声を失って立ち尽くす。その瞬間、湧き上がった感情は「あぁ、甲子園は俺のパワースポット!」。 そして、また不思議な感覚に襲われる。「あれっ、この感触、どっかで味わったな…?」 それこそ正に「ガンステッド・クリニック(米国ウィスコンシン州マウント・ホレブ)」を初めて訪れたときと全く同じ感覚だった。 2000年6月、LACC在学中に「ホームカミング」という愛称で呼ばれるガンステッド・クリニックでのガンステッドセミナーを受講するため、セミナー前夜マディソン空港に友人2人と降り立った。そこでは空港で預けた荷物が紛失するというハプニングに始まり、その後レンタカーで24時間営業ストアを探して下着やら歯ブラシを買う珍道中。深夜に着いた指定された宿はホテルではなく民泊、いわゆる「ホームステイ」だった! 夜更けにも関わらずホームステイ先の婦人は、ドクター・ガンステッドが生きていた最盛期(1964年〜1970年代前半)、全米のみならず世界中から訪れた患者やセミナー受講生が泊まる宿泊先が足りなかったため、自らの家を宿泊先として提供した経緯を昔を懐かしむように伝えてくれた。 翌日、初めてのガンステッド・クリニック。遮るものがない青空の下、広大なクリニック(約5565平方メートル)に度肝を抜かれ、白色のクリニックを色鮮やかな芝が囲んでいる。中に入ると焦げ茶色したクッション長椅子104席の待合室、壁にはドクター・ガンステッドの写真や銅像が存在感を出している。11室もあるアジャスメントルームとレントゲン撮影室、地下には血液検査などができる実験室や私達が使用す聖地巡礼〜ガンステッド・クリニック〜GCJスタッフ 小 野 弘 志 DCVol.15小野 弘志DCるセミナー会議室があった。今まで見たクリニックと桁違いの設備と広さ、しかも最盛期はこの待合室が座り切れない人で溢れていたという。 マウント・ホレブを去る前、ドクター・ガンステッドのお墓へ足を運ぶ。唯一好んだビールが「ハイネケン」と聞いて、合掌してその瓶を墓前に捧げた。マディソン空港までの帰路運転中、深夜で往路は気づかなかったトウモロコシ畑が目に写る。 「こんなド田舎に世界中から人が…ただ、アジャスメントを受けるために来たのか」と思うと、背筋がゾクゾクした。 2日間のセミナーは「何を勉強したか?」より『ここ(ガンステッド・クリニック)にいること!』の方が何か途轍もなく大きく、それは今も私の生きる礎になっている。 前回に引き続き、特にうれしかったケースと家族の声とともに、小児カイロの視点をご紹介します。 一人目は3歳になるRちゃんという女の子。原因不明の発育・発達の遅れを改善すべく小児カイロをスタートされました。下肢の硬直のため「かかと」をつけて立つことができず、つま先で「つたい歩き」するのが精一杯で、2歳を過ぎても一人で歩くことができない状態でした。 主治医や理学療法士からは、将来的にも自立歩行は困難であろうとの見解だったのですが、パパもママもRちゃんが歩けるようになる可能性を諦めきれず、小児カイロを受けさせたいとのことでした。 そして以下は、ママが書いて下さった体験談の一部です。 「小児カイロを開始してすぐに感じたことは、ウチの子がすごく活発になったこと。ハイハイが上手になり、家の中での行動範囲がすごく広がり、いっきに世界が広がった様子でした。その後も通院ごとに、体を使った動きや遊びの幅が少しずつ広がり、通院して約半年後のある日、突然かかとを床につけて、最初はほんの2、3歩でしたが、一人で歩けるようになりました!本人も嬉しくて楽しくて、今では危なっかしいながらも元気にあちこち動きまわっています!」 小児カイロの脊柱アジャストメントによって、運動感覚神経系および脳の働き(機能的側面)だけでなく、脊柱を中心とした筋骨格系(構造的)の状態も改善した結果、Rちゃんが自立歩行を開始しやすくなったと考えています。 ひょっとしたら、アジャストメントがなくても遅かれ早かれ歩き出していたのでは?と言われれば、確かにそうだったのかも知れないのですが、このケースにおいては、いち早くRちゃんが歩けるようになって、自分の世界を大きく広げて、それを糧にさらに成長が促され、ご家族をはじめより多くの人に喜びと安心が届いたのであれば、小児カイロが役割を果たせたと私も安堵していました。 そして何より、歩けるようになってから初めての来院時に見せてくれた、Rちゃんの本当に嬉しそうな笑顔が全てを物語っているのだと感じました。 運動感覚神経系および脳の働きと脊柱を中心とした筋骨格系の状態も改善が見込める小児カイロで、行動範囲が広がり、活発になった小児達が増えれば嬉しい限りです。vol.15子どもの歩行開始を    支える小児カイロ「患者が喜べば」は正しいか!?② さて、経済活動で、消費者が売り手を選択するにはリスクが伴います。例えば、似合わない洋服を勧められて買ったときの後悔はリスクの一種。この場合、大抵、売り手に責任が押し付けられます。本来、自己責任ですが、間違いを認めたくないあなたは「服を勧めた、あいつが悪い!」と、責任転嫁するわけです。(そこで、あらかじめ選ぶ側のリスクを売り手が負うリスクリバーサルという概念も生まれました。) 体をゆだねる治療院なら選択ミスのリスクはより顕著ですが、リスク回避に選ばれるのは、残念ながら、カイロより大手ほぐしチェーンです。「有資格者の方がミスが少ないのに馬鹿だな…」とあなたは思うでしょうが、マニュアル標準化された施術には当たりハズレの要素が少ないのです。標準化とは、術者の勘や経験、技など属人性を排し無個性化すること。つまり、平凡にすることですね。平凡なのにウケる理由は、サービス内容が予測可能だから。全国一律どの店に行っても、明朗会計で同じような施術だと予想できるので心理的ハードルが下がります。また、無個性は権威がないことと同義。権威がない術者は、優位に立ちたい本能を持つ消費者に喜ばれます。「強く揉め!」「もっとここを!」と、施術者を操作できればハズレのリスクを減らせますからね。事業者側はスタッフを「召使い」化できれば、ご主人である消費者をハッピーにできます。雇用の際は、こだわりの強い有資格者より、「セラピスト」の響きに魅かれ2週間研修を受けにくるバイト君のほうが扱いやすいですね。この召使い量産モデルは、コンビニでも牛丼屋でも宅配便でも、業界を問わずビジネスの入口です。疲れて選ぶのが面倒くさいと、ついコンビニに足が向きますよね。体がつらい時ならなおさらで、選ぶのに頭を使いたくありません。「以前に頼んで大丈夫だったから」という無難な理由で継続来院が起きます。決して「技術が素晴らしいから」という前向きな理由ではないのです。消費者にいかに頭を使わせず「甘えん坊」化させるかが成功の鍵です。 一方、勉強熱心な有資格者は「良薬口に苦し」の治療をしますが、属人性が高く非凡な技は予測不可能ですね。とんでもない大ハズレの可能性もあるわけです。この、ハイリスク・ハイリターンは消費者から嫌われます。では、私が整顎を始めるにあたって取った思考法とは?(つづく)藤原 邦康DC整顎コラムVol.7藤原邦康 DCDrDr藤原藤原ののDr 藤原の

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る