カイロタイムズ110
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(6)2017年8月21日発行 カイロタイムズ 110号連絡先NPO法人アトラス・オステオパシー学院アトラス・オステオパシー学院「2018年度生募集」入学金30万円 年間授業料230万円(早期割引・分割納入可)詳細はHP入学案内をご覧ください。〒253-0002 神奈川県茅ヶ崎市高田4-4-27 長谷川ビル2FTEL:0467-84-7012 / FAX:0467-84-7072ホームページ:http://e-aco.org/効率よく学び、内容はそのまま 応用力のある施術家を育成カリキュラム変更・・・理論と実技を1年間で 前回は、頚椎前弯減少が引き起こす様々な問題を紹介しましたが、今回は頚椎の前傾についてです。 医学誌「Modern ManualTherapy of the Vertebral Column」に掲載された論文では、次のように言明しています。 「頭部が前方移動した姿勢を矯正されていない人達は、神経や血管の炎症・緊張、胸郭出口症候群のような状態、筋肉や組織の痛み、結合組織炎のような症候群、慢性的緊張、若い年齢での退行性変性や関節炎などの、慢性的或いは不快な状態を被る可能性が高い。」 首が前傾し、頭部が前に移動した姿勢のような「悪い姿勢」は、様々なストレスを身体に加える結果となり、神経や血管などの機能不全や炎症、緊張などを引き起こし、高血圧や退行性変性などの原因ともなるのです。 正常な頚椎の場合、頭部の重量が通過する重心線は第7頚椎の椎体部を通ります。 しかし、頚椎の前傾が起こると重心線は第7頚椎の椎体部を通らず、その前方を通ることになります。 一般的に人間の頭は体重の1割程の重量がありますから、体重50㎏だと頭の重さは約5㎏です。 しかし、頚椎が前傾すると、その重心線が1インチ(約2・54㎝)前方に移動する毎に10ポンド(約453・6g)の負荷が頚部に加わります。 例えば、体重80㎏の男性で、頚椎が前傾して重心線が2インチ前方移動していれば、頚部に掛る負荷は約9㎏にもなるのです。 このような負荷は当然ストレスとなりますから、頚部のサブラクセーション(不整列)退化の悪化を引き起こす原因ともなります。 (写真1)この写真では、頚椎前弯が消失した上に前傾しており、第5〜7頚椎に退行性変性である骨棘など変形性頚椎症の状態がみられ、第5頚椎棘突起の後部に棘上靭帯骨化症(Nuchal Bone)もみられます。 (写真2)2枚目の写真では、頚椎前弯が減少した上に前傾しており、第6頚椎に骨棘がみられ、第4〜6頚椎棘突起の後部に大きな棘上靭帯米国で増加する首の問題松下 順彦DCVol.骨化症が認められます。 (写真3)3枚目の写真では、頚椎前弯が減少した上に著しく前傾しており、第6〜7頚椎、第7頚椎〜第1胸椎に椎間板萎縮が認められます。 (写真4)4枚目の写真では、頚椎前弯が減少した上に前傾しており、第5・6頚椎に骨棘がみられ、第1頚椎が奇形で後弓が欠損しています。 この様に、PCの使用・スマホの使用が一般的となった今日では、その使用時の姿勢の悪さやストレスなどから脊椎にサブラクセーションが起こり、その結果として頚椎前弯減少や頚椎前傾といった状態になっている人が増えています。 写真3や4などのケースでは、X線写真による分析なしに椎間板萎縮やアトラス(C1)の奇形などは知りえないことですから、脊椎を矯正するカイロプラクティックにX線検査が必要不可欠なことが理解できます。写真1写真2写真3写真4摂取する酸素の量が不足して、様々な臓器に障害をもたらし、生活習慣病を引き起こします。(ex.高血圧、糖尿病、等)また、睡眠時に無呼吸に陥ることで、十分な質の良い睡眠がとれず、昼間に寝不足から、交通事故や事故災害などを引き起こす要因となってしまいます。チェルノブイリ原発事故などは人為的ミスがその原因として挙げられていますが、SASがその1つであるという説もあるほどです。また、もっと身近なところではSASによる眠気や居眠りによって、作業効率や生産効率が低下するだけでなく、機械に体を挟まれて大けがをしたり、死亡事故を引き起こしたりすることもあります。SASが私たちや社会に与える経済的損失は決して、小さなものではありません。 皆さんは夢をみるだろうか?夢をみないという人がいますが、それはみた夢を憶えていないだけで、誰でも夢をみているそうです。夢を憶えている人とそうでない人がいるのは、眠りの質に左右されているようで、ストレスや心配事で眠りが浅い人、すっきりとした寝覚めができず、睡眠と覚醒があいまいな場合は夢の記憶を引きずりやすくなります。 海に住む哺乳類のイルカなどは、一生泳ぎ続けて眠ってはいません。渡り鳥などは数千キロを休みなしで飛びます。彼らはいったいどこで、どのように睡眠をとっているのでしょうか? 実はイルカや渡り鳥をはじめ多くの動物は、危険から身を守るため人間のようにゆっくり眠っているわけにはいかないのです。これらの動物は片方ずつ脳を眠らせる『半球睡眠』という独特の睡眠法で睡眠をとっています。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)にかかると十分に眠れないことが原因になって、様々な症状が出てきます。次のような症状が見られるようになると要注意です。●日中、起きている時しばしば居眠りをする、記憶力や集中力の低下、性格が変化する、など。●眠っている時いびきをかく、呼吸が止まる、呼吸が乱れている、息苦しくて目が覚める、など。 人間はおよそ8時間眠るようにプログラムされているそうです。つまり、私たち人間は人生の約3分の1は眠っているということです。昼間に使って疲れた頭や体をゆっくりと休めてやるのが睡眠の大事な役割です。ここでゆっくりと睡眠がとれずにいると、眠い、疲れたという悲鳴をあげてくることになります。 SASは特に睡眠時に呼吸が止まってしまうので、体が「眠り」前編 先号の①ではバイオメカニカル的な観点、②では神経学的な観点からAMの「下」から診て調整を行う根拠の説明をさせていただきました。今回は、「生命エネルギー学的な観点」から考察させていただきます。B.J.パーマーの哲学の「Above Down Inside Out」、(上から下へ、内から外へ)を信奉しているカイロプラクターは上部頚椎だけをアジャストメントします。そ神経中枢や固有感覚受容器が多く存在しており、その部位へのアジャストメントによる振動刺激は、反射系全般をリセットする意味では神経学的な効果が得られると私は考えています。 足関節や膝関節痛の患者の場合、AMでは即効性があり、多くの症例で効果がその場で分かります。上部頚椎矯正だけの信奉者の考えでは、「上部頚椎だけをアジャストして、後は「イネイトに任せる」となるわけですが、足関節捻挫なども、AMの臨床でみられるような即効的な効果はあるのでしょうか。捻挫などによって明らかに足関節周辺の固有感覚受容器に神経機能障害がある場合、「イネイトに任せる」というよりも、必要な問題部位の機能を早期に調整した方が、本来の「イネイト」が最大限に発揮されるというのが私の臨床経験です。 さらに、生命エネルギー的な観点を神経学的な概念を織り交ぜて説明すると、神経エネルギーは上から下への遠心性(運動)だけでなく、下から上への求心性(感覚)も考慮しなくてはなりません。「Above Down Inside Out」、(上から下へ、内から外へ)と反対の定式は「Below Up Outside In」、(下から上へ、外から内へ)です。両方の定式のどちらが正論ということではありませんが、人間が様々な環境に適応していくためには両方の働きが大切です。「Above Down Inside Out」と「Below Up Outside In」の両方の定式がうまく調和してはじめて、「イネイト」が発揮されるということではないでしょうか?(次号に続く)の基本的な理由は、主に神経学的な「圧迫説」に基づいています。ホースが挟まれて水の流れが悪くなるように、上部頚椎がズレると神経が圧迫され、神経エネルギーの伝達が悪くなり様々な症状につながるという仮説に基づいています。 「圧迫説」がどれだけ信憑性があるかは差し置いて、上部頚椎が関連する領域には、生命維持全般に関わる大切な下から診るのか、上から診るのか③保 井 志 之 DCVol.12

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