カイロタイムズ109
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(6)2017年5月15日発行 カイロタイムズ 109号1回 5月14日 オステオパシー的触診2回 6月11日 MET頸椎(復習・テクニック・その他)3回 7月9日 MET骨盤(復習・テクニック・その他)参加費用 各回 ¥20,000- (昼食費別) 4回 8月6日 SCS理論および骨盤部・体幹5回 9月10日 SCS下肢6回 10月15日 SCS上肢および頚部7回 11月19日 筋膜8回 12月17日 交感神経(復習~応用)9回 1月21日 VIS胃と十二指腸(復習~応用)10回 2月18日 頭蓋 イントロダクション/SBS病変 or 硬膜 (前回の受講者が多数の場合はSBS病変になります。)サテライトアカデミー in 京都 Part2 (2017年度)お申込み・お問い合わせ:森田接骨院 Fax 075-312-6750 協賛:NPO法人アトラス・オステオパシー学院全10回前回に引き続き、京都でオステオパシーセミナーを開催いたします。Part2では新しい講義に加え、前回の復習を兼ねた内容でより一層の知識や触診力を高めていただきたいと思います。*各回の申込が可能です。  *MET全3回、SCS全3回受講の皆様には受講証明の発行があります。 カイロプラクティックの本場アメリカでも近年、様々な理由でX線検査を行わないDCが増えています。その理由には、X線フィルム分析を必須としているカイロプラクティックの正統なテクニックを用いていない、X線撮影装置を購入するお金がない又は設置する場所がない等、幾つかあるようです。 しかし、それとは裏腹に、アメリカではX線写真で判明する首の問題が近年注目されています。 それは、テキスト・ネックなどとも呼ばれる、スマホ、タブレットPCなどを多用する者に増加中の頚椎前弯の減少や頚椎前傾です。 基礎医学である解剖学で脊柱解剖学を学んだ者は知っているように、正常な頚椎はX線写真側面像(図1)では虹のように前弯を描いて配列しています。 それが、悪い姿勢で長時間スマホを見続けるなどの物理的ストレスによってサブラクセーションが起こり、正常な配列を乱し、前弯が減少してストレート・ネック(図2)になっているケースが増えているのです。 程度の差こそあれ、正常な頚椎の前弯を失い、配列に異常・不整列が生じることは、人体にどんな影響を及ぼすのでしょうか。 ノーベル賞受賞者の神経外科医であるAlfred Breig医師・医学博士は、次のように述べています。「命の円弧である頚部(首)のカーブ(前彎曲)を失うことは、脊髄を5〜7㎝も伸長させ、そして病理学的緊張を生み出し、身体を病的状態に至らしめる。」 ニューヨーク脊柱手術&リハビリ医学の主任脊柱外科医であるKenneth K. Hansraj医師は、次のように述べています。「頚椎の自然な前弯カーブを失うことは、頚椎に掛るストレスを漸増的に増加させる状況に導く。」 医学誌「Medical Science Monitor」電子版に2016年2月15日に掲載された論文で、Mehmet Deniz Bulut医師は、次のように述べています。「包括的な研究によって、頚椎の前弯消失が椎骨動脈の機能低下と重大な関係があることが判明した。それには、動脈の直径、血流量、心臓収縮期の頂点速度などの低下が含まれる。」 医学誌「The Journal of Neuroscience」に2007年8月1日に掲載された論文で、ロンドンカレッジ大学のIan J. Edwards博士は、次のように述べています。「首が動く時、首の筋肉細胞は脳に信号を送るが、体が姿勢を変化させた分に応じて適切な血液供給を確実にする為であろう。しかし、悪い姿勢によって細胞がダメージを受けると、そのシステムは衰弱し、結果として血圧が最適よりも高く、或いは低くなる。」 このように、頚椎の不整列(サブラクセーション)によって正常な配列が乱れ、前弯カーブを失うことだけでも、神経系の機能が衰弱し、心臓血管系など様々な機能異常の原因となり得ることが判明しています。米国で増加する首の問題松下 順彦DCVol.図1図2 アメリカで、医者のところへ訪れる最も多い理由の一つが腰痛です。先日、約15万人の内科医がメンバーである米国内科学会が新しい腰痛に対するガイドラインを発表しました。医師達は急性や亜急性の腰痛には温治療、マッサージ、鍼灸、脊椎マニピュレーション等の非薬物療法での治療をすべきであり、もし薬が必要な場合は非ステロイド抗炎症剤か筋肉弛緩剤を選択した方が良いと推奨しています。 解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンはプラシーボ郡と比べても疼痛改善には効果が見られず全身性ステロイド薬も急性や亜急性の腰痛には効果がない事から医師達は不必要な検査、そして特に麻酔剤等など危険を伴う割高な薬などの処方は避けるべきであると述べられています。慢性の腰痛患者にも最初は非ステロイド抗炎症剤とエクササイズ、ヨガ、マッサージ、鍼灸、脊椎マニピュレーション等の治療を並走して行うべきだとも述べられました。 この研究を発表したのは内科医達最大の学会が発行している大変有名なアナルズ・オブ・インターナル・メディシンと言う医学ジャーナルです。内科医の腰痛に対する治療法は根本的に投薬しかありませんから、この研究の発表はある意味驚きでした。捉え方によると腰痛の患者達は内科医に来ても無意味ですよと発表しているようなものです。 しかし、この発表は私達カイロプラクターからすると遅すぎます。何十年も前から投薬の危険性、症状への治療だけでは根源治療にならない事、治療費の高騰を事あるごとに発言してきたのでようやく社会が追いついた感があります。でもどうして自分達の収入減少や製薬会社から睨まれる可能性がある文献を発表したのでしょうか。 私はカイロプラクター達の声、代替医療を司る医療者たちの声、それと最も効果がある患者達の投薬だらけの治療法に対する不満の声がこの発表を助けたと信じています。内科医達も投薬だけでは患者達は満足しないし、痛みを取米国内科学会の腰痛ガイドライン中島 一光DC 前回は、生理を理解するというお話でした。今回は、「女性ホルモンと妊娠」を理解することにしましょう。 妊活をしている女性に本当の意味で「妊娠する」ということを理解してもらうことは非常に大切です。妊娠は単に男性の精子と女性の卵子が受精するだけで成り立つものではありません。そこには様々なタイミングや条件が整わなければなりません。 妊娠が成り立つ条件 ①排卵と射精のタイミングが合い、受精卵ができる②受精卵が着床するために、着床ホルモンであるプロゲステロンの分泌が高くなり、HCGホルモンが分泌される③高温期が継続される④出産できるにふさわしい身体と心が整っている しかし、女性の身体はいつもこのようにスムーズにいかないのが現実です。生理周期が不順になることもありますし、基礎体温が乱れることもあります。女性ホルモンは一生涯でティースプーン1杯ほどしか分泌されないと言われています。それだけ繊細なものなのです。ストレスに弱いと言われる理由はこの繊細さです。このように繊細なホルモンのバランスを整えながら、出産に向けて身体作りをしていかなければなりません。 ホルモンが分泌されるのは主に卵巣であり、それを操作しているのは、脳の視床下部です。視床下部の働きを良くするために、カイロプラクターとしては、頸椎のアジャストや頭蓋療法などが必要となってきます。そして、卵子は排卵後24時間ほどしか受精能力がないと言われています。精子は射精から3日ほど生存します。よって、排卵日の性交渉よりも排卵前に性交渉をするほうが受精の確立は高いと言われています。その後受精卵が着床するためには子宮の内膜が分厚くなり、赤ちゃんを育てていくための胎盤の準備をしていきます。 ここでもカイロプラクターは骨盤・仙骨のアジャストは欠かせません。子宮を支配する神経の働きを良くすることで、着床率も高くなると考えられます。④の条件についてですが、私の臨床経験からの判断ではありますが、痩せてガリガリで生活習慣や食事も山地 梨映子 DC、CACCP山地 梨映子DC、CACCP乱れ、ストレスをためている女性はなかなか妊活から卒業できない状態にあります。やはり、妊娠に向けて気持ちも前向きでポジティブに考えている女性は、ジムに通っていたり、ヨガをしていたり、出産にむけて体力をつけていますし、妊娠率も高いように感じます。 このように、「妊娠すること」は、カイロプラクティックとも大きく関係しています。頸椎のアジャストや頭蓋療法など、(女性ホルモンを分泌されるために卵巣を操作している脳の視床下部の働きを良くすること)が非常に大切です。我々カイロプラクターは、「妊娠をすること」に関してアジャストだけではなく、他にもできることがたくさんあると思います。未妊セラピーとしての カイロプラクティック③(3)り除くという結果も伴わないと認識したのでしょう。医師達の一番恐れる事は患者達からそっぽを向かれる事、患者達が治療内容を信じなくなる事です。 全米で腰痛に悩む多くの患者達が内科医達の紹介でカイロプラクティックを含む代替医療のオフィスに押し寄せることになるかもしれません。原因そのものを治療していくカイロプラクティックは、安全性と根治を求める患者達にとって最初の選択となり得ます。 今回、腰痛に対してはまず薬剤を用いない治療を試すべきである、と薬が最大の治療法である米国内科学会が発表した事に大きな意味があります。信頼を勝ち取る最高の舞台は整いました。

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