カイロタイムズ108
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(8)2017年2月20日発行 カイロタイムズ 108号 前回お話した「未妊セラピーとしてのカイロプラクティック」では、簡単にアジャストメントとメンタルケアについて言及しました。この2つはもちろんカイロプラクターとして必要最低限の仕事ですが、実は治療家としてもっと大切なことがあります。それは、「理解」です。女性の身体を診るときに大切なのは、女性の身体のことをいかに理解しているかということなのです。学問上、月経・ホルモン・排卵・基礎体温など勉強しているとは思いますが、実際はとても複雑なものです。この関係性がわからなければ、「妊娠する」ということが理解できません。「妊娠する」とはいったい身体でどういうことが起きているのかをしっかり説明できるように我々が理解していなければ治療は前に進むことができません。 今回は生理についてお話します。生理周期は、28日から35日が正常と言われていますが、ここでは28日とします。生理初日から14日後頃に排卵しますが、排卵前にはエストロゲンが上昇し、排卵後にはプロゲステロンが上昇します。それと同時に基礎体温も低温期、高温期に分かれます。子宮内膜は生理中に剥がれ、少しずつ分厚くなり、排卵時には受精卵を着床させるためにピークになりますが、妊娠が成立しなければ、また生理として剥がれていくというシステムです。(図参照)ここまでは、学問上誰もがご存知の事だと思います。 では、生理とは何でしょうか?妊娠するための身体作りをしているのはもちろんです。排卵し、受精しなかった場合に不要になった子宮内膜が剥がれてくるという現象です。しかし、それだけではないのです。生理は身体のデトックス効果があるのです。実は、卵巣や子宮は身体の中にある毒素(重金属・農薬・添加物など)をため込みやすいと言われていますが、女性の身体は毎月、それを外に流し出しデトックスしているのです。赤ちゃんが健康に育つように、毎月毎月身体をきれいにしてくれているのです。生理は鬱陶しいものと言われますが、このことを考えると感謝するべきことだと思いませんか?毎月、周期を乱すことなく生理が来ることは素晴らしいことなのです。妊山地 梨映子 DC、CACCP山地 梨映子DC、CACCP娠への近道は、生理を理解し、感謝し、乱すことなくやってくるように身体のメンテナンスをすることでもあるのです。 カイロプラクターとして、未妊セラピーとしての カイロプラクティック②(2) 昨年4月より、小・中・高校生を対象として、学校定期健診に運動器検診という項目が必須となり、早1年が経過しようとしている。地域によっては、養護教員の輪を活用し、姿勢に関する勉強会や学校定期健診の報告会などが実施されているようだ。 現在、その輪は保護者にまで広まっている。これは業界にとって非常に良い傾向であり、正しい知識と情報を広めるチャンスでもあるが、実際には間違った知識と情報が広まっているところもあるのだ。つまり、学校定期健診で運動器検診が何故、必須となったのかが理解されていないからだろう。検診者一人一人が運動器検診の必要性を理解していくと自然と正しい姿勢の重要性も解っていただき、身体のメンテナンスをされる方も増加するのではないだろうか。編集後記カイロタイムズでは、皆様からの広告・寄稿・情報提供を募集しております。〒160-0023東京都新宿区西新宿3-1-5新宿嘉泉ビル8FTEL0120-223-505 FAX0120-223-509E-mail:info@chiro-times.co.jpURL:http://www.chiro-times.co.jp/日本医科学出販株式会社 カイロタイムズ編集部アジャストだけではなく、女性の身体をしっかり理解し、患者さんに説明できるようにならなくてはいけないと思います。図 始まりの終焉か終焉の始まりなのか、最悪のシナリオは既に展開され始めているのかも知れない。カイロプラクティック施術で起きた事故件数の増加傾向を消費者庁が指摘している。国内業界の現状では、カイロプラクティックが補完医療と見做されず、例えばリラクゼーションと云った分野に組み入れられる可能性が存在する。 カイロプラクティックを生業とすることに「これまで問題無かったのだから今後も問題無い」と極めて根拠に乏しい演繹論を実しやかに述べる者達は居るが、それでカイロプラクティックと多くの業界人が困らないで居られるのだろうか。問題の焦点は、生業と出来るか如何かでなく、教育や資質と安全性のレベルなのだ。 しかし、本当に「これまで問題無かった」のならば、平成三年厚生省から施術被害防止を意図した通達が出されることもなかっただろう。通達の甲斐も無く事故件数が増加している。全くの無作為ではなかったが、業界は、問題と真摯に直面したのか、寧ろ解決の努力が足りなかったか、解決策を誤ったか、恐らくは全く的外れのことを続けてきたからこそ、消費者被害増加を現実問題として行政から突き付けられているのだ。社会的責任を問われている事態に楽観的で良いとは思えない。 それにも関わらず、「否々、職業選択の自由が保障され、仙台高裁判決が…」と憲法学者でもない者から反論が返ってくるが、時代の流れで社会状況が変化していく中、憲法や高裁判例の解釈が未来永劫変わらない保証こそ無い。「今後も問題無い」なんて絶対に言えない筈だ。既に時代と社会は事業者擁護から消費者保護にシフトしているのが事実だ。非観血無投薬の医療としてのカイロプラクティックを諦めて、リラクゼーション業に甘んじるならば、国民も行政も否定はしないだろうが、勿論、施術事故が減らなければ、医療に格上げされる可能性は非常に低い。 日本では、年々、「カイロプラクター」を称する人達の資質低下が起きているから、施術被害が増加しているのだ。挙句の果ては、カイロプラクティックから勝手に派生して独自の変化を遂げた様な業者も居るみたいで、業界内の混乱が甚だしい。「カイロ」の名は出てもカイロプラクティックか何なのか定かでなければ、国民も困惑する。 本来のカイロプラクティックはWHO世界保健機関が認知する医療だが、日本では名ばかりで、次元の違う、似て非なる「カイロプラクティック」が横行している。日本特有の「カイロプラクティック」は、本来のカイロプラクティックを勉強習得してきた者にとって迷惑極まりない。教育内容も資格認定も異なる世界基準に肩を並べようとする自主基準の人達の執念には敬服するが、その執念はカイロプラクティックを正しく学ぶ努力に向けるのが業界にも国民にも好ましい。 本来のカイロプラクティックを学びたいなら法制化された国で学ぶのが良い。外国語で基礎医学を学べば語学力も付く。カイロプラクティックを学ぼうと渡米し、英会話学校で挫折する者も居る現実を知れば、週末セミナーで簡単に習って安易に治療に携わることなど許されないのが解るだろう。 厚生労働省が本来のカイロプラクティックを認め始めているからこそ、法制化に臨もうとして省庁代表者がカイロプラクティック法制化準備会議に参加している。そこに整体の文字は無い。業界が纏まることと教育レベル向上の必要性は既に述べてきた。心有るDCならば本来のカイロプラクティックを護る為に立ち上がるべきときだ。施術被害増加の現実と先は?中 垣 光 市 DC

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