カイロタイムズ108
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(6)2017年2月20日発行 カイロタイムズ 108号 前回から書かせて頂いている「国際大会でのカイロプラクターの役割」の続きですが、前回のベストの状態で選手を送り出すのと同様に大変なのが「他の医療系の人達と協力して選手を診る」事です。 小さな大会では、カイロプラクターが一人で選手を担当する事が多いのでこの問題はまずありませんが、大規模な大会になると必ず整形外科医や看護師、場合によっては理学療法士も参加しています。当然カイロプラクティックが対応できる範囲は広く、一人でも殆どの選手に必要な施術をする事ができると思います。しかしそれは、他の分野の人達も同じ事を思っています。そこで重要なのが一人の選手を連携して診るということです。カイロプラクターならアジャストと簡単な軟部組織やエクササイズの指導を行い、あとは理学療法士等に任せる事ができるかです。整形外科は世界各国で免許があると思います。また、理学療法士の資格もかなり多くの国で認められているでしょう。しかし、それに比べるとカイロプラクティックはどうしてもマイナーな分野なので個人プレーに走ってしまうと二度と参加させてもらえない可能性があります。 そして何より一番肝心な役割は、「アスリートを最高の状態・コンディションへもっていく」ことです。その為には、様々な分野のプロが集結して知識と技術でアスリートをサポートし、それが終わったら直ぐに次の担当者にお願いする事です。 僕自身、国際大会で理学療法士や整形外科医に新しい事を教えてもらいました。他の医療系の人達と関わり、交流を取ることで選手へ最適な施術提供ができます。リオ・パラリンピックでは、協力して選手を診た時の効果を目の当たりにし驚きました。毎日非常に良い雰囲気で働く事ができたのはみんながそれぞれの業界を思いやった結果だと思います。 リオで出来た事なら日本でも出来ると信じて大会ごとの良い関係を築いていける様に頑張ります。皆さんも是非スポーツの現場に出てカイロプラクティックをアピールして行きましょう。スポーツの現場2ーツとスポースポーツとポポツーーポポポポポスポススススススポーツとスススポスポポポスポーツプラクティックププライロプイカイプラクティックププラププカカイロカイカイカカカカカカイロプラクティックカイロプスポーツとカイロプラクティック伊佐和敏 DC, ICCSP,ATCVol.4 2002年、LACC(ロサンゼルス・カレッジ・オブ・カイロプラクティック)の卒業を4月に控えていた私は、アリゾナ州フェニックスで開業しているガンステッド・ドクターの下で約4カ月間アウトターン(学外研修生)をしていた。 冬でも気候の暖かいアリゾナ州には「Winter Bird(冬鳥)が来る!」と言われていたが、何を隠そう…それはリウマチや慢性関節痛を患う中高年齢層のアメリカ人のことだった。彼らは地元の寒い冬を避けて、関節痛が断然楽になる暖かい気候を求めてアリゾナで冬を過ごすのだ。 朝から気温30度近いフェニックス、私が働くカイロ・オフィスの診療時間は「月・水が午前6時から午後12時、火・木が午後12時から午後6時、土が午前9時から午後12時、金・日が休み」。働き初めの頃は「朝6時に患者さんが来るの?」と思ったが、Winter Birdはアーリー・リタイヤ(早期退職者)層が多く、早起きして朝からゴルフ三昧という感じで、カイロプラクターとWinter Birdの需要と供給が絶妙にマッチしていた。 私のボスであるジェームス・ウォーリックDCは、1人の患者さまに対して約3分から5分を費やし、半日で100人の患者さまを診ていた。 「どうしてこんな朝早く、治療を受けに来るんですか?」と、親しくなった患者さまに私は疑問をぶつけた。すると、彼はこう答えた。 「仕事をする前にアジャストしてもらうと凄くパワーアップして、仕事に集中できるんだ!」 たとえ短時間でも背骨をいつも丁寧にアプローチして適切なアジャストを施す真剣さと時折見せるユーモアのセンス… ボス(ドクター・ウォーリック)は患者さまにとても愛されていた。 ある日、私はギックリ腰になった患者さまからの一報で現地に独りで向かうことになった。その患者さまの部屋に入ると、四つん這いの格好で電話を握り締め、動けなくなっている60代くらいの初老の男性がいた。30分以上かけてその男性をやっとのことで車に乗せた私はオフィスに戻り、まともに歩けない彼を介助しながら汗だくになってボ原点回帰 in アリゾナ小野 弘志DCGCJスタッフ 小 野 弘 志 DCVol.12スに引き渡した。ボスは彼の腰にアイシングをした後、素晴らしいアジャストを施した。次の日、ゆっくりだが自分で歩けるようになった彼が、翌日から少しずつ歩幅が広がり、次第に歩行のスピードも速くなって1週間で普通に歩けるようになった。 「Sick people get well.(病人が元気になる) 」という光景を日常の臨床で見ることができたアリゾナでのポジティブな環境と体験が、今の私のカイロプラクターとしての原点になっている。患者教育はさりげなく 約10年前、治療院業界にもインターネットマーケティングの波がやってきました。ウェブサイトが存在しない院も多い中、私はサイトを自作しオンライン集患に成功しました。ところが、せっかく新患が来院しても継続来院に結び付きません。来院が二、三回続けば良い方ですが、業績面は安定していません。当時を振り返るとテクニック至上主義に陥っていました。アメリカ人DCの師匠の教えに従い、「まず技術ありき」「腕さえあれば盛業」という思い込みがありました。 さて、「良い商品なら売れる」といった考え方を「プロダクトアウト思考」と言いますが、これはモノが足りていない時代だけに通用するコンセプトです。いまどき、消費者には選択肢が多くあるため、「とにかく良い物を提供」では通用しません。 あらゆる療法が世間に溢れていますし、当時ブームだった骨盤矯正などの流行りものにも人々は引き寄せられます。ならば「理念が大事!」と、私は理念経営主義を取り入れます。学生時代はフィロソフィーの授業が苦手でしたが「dis-ease」などのマインドも伝え、患者教育にも力を入れました。しかし、イネイトやサブラクセーションの概念を説明しても患者は困惑気味でした。うまく伝わらず、説明のバージョンアップを重ねても結果は同じで、患者からの抵抗感を払拭できませんでした。ここで、私は良くも悪くも一旦「あきらめの境地」に達します。少し肩の力を抜いて気楽に接すると、まずEBM的な説明から入った方が私の場合は納得していただけることに気付いたのです。 患者が治療に満足したときに「実は、これがカイロプラクティックなんですよ。」と、さりげなくフォロー説明を行い、更に関心があれば、フィロソフィーの話もします。この結果、大上段に構えて「カイロプラクティックとは…!」と語っていたときよりも、自然にファンが増えていきました。結局、強いこだわりや力み・余裕のなさが人を遠ざけていたわけですね。 これらの経験を通して学んだ結論は、優れた技術や独自の理念があることは大前提だということです。この2つは「できていて当たり前」なのです。盛業のためには、さらに重要な事があります。この要素がなければ、フジテレビの番組や雑誌TARZANなどから取材を受けることがなかったはずです。詳しくは次号でお話ししましょう。藤原 邦康DC整顎コラムVol.4藤原邦康 DCDrDr藤原藤原ののDr 藤原の上村 高史DC Jリーグアルビレックス新潟から派遣され、シンガポールアルビレックス新潟(アルビS)の出来事をお話ししたいと思います。 シーズン前後のトレーニングから足首、顔面、眼底、頬骨、肋骨等の骨折、半月板損傷というケガで一時は25人中8人ものケガ人が続出して、紅白戦が出来ないチーム事情がありました。その時の経験が現在の臨床とリハビリの重要性に繋がっています。 一般の患者であれば脊柱、上肢下肢をアジャストして時間が解決してくれる事も時間があれば可能です。しかしプロの場合は、シーズン日程も決まっているのでそうはいきません。当時私がいたアルビSは選手の半分以上、各Jチームからのレンタルの若手選手で毎週レンタル先のチーム統括部長、チームドクターに報告義務があり、メールや電話でケガの報告をしていました。特に骨折、半月板、靭帯損傷の程度がひどい場合はレンタル先と協議してシンガポールに残って治療をするのか、日本に帰ってそのチームで治療に専念するのかを選択しなければならなかったからです。一人一人将来ある大事な選手ですので最良の選択が必要だからです。アルビレックス新潟の強化部長、シンガポールでの監督からも毎日のように「いつ治せるの?」と質問責めにあい見通しが立たない選手はいないものの治るのに時間がかかりそうな選手が増えた時は僕自身寝る時間なく選手の為に駆け回っていましたので毎週点滴を打ってチームの練習、治療、病院での治療通訳などがあり、シーズン中の休みはほぼゼロでした。 選手は英語が出来ないので入院中も言っている意味がわからない、食事がまずい等文句タラタラ。順調に回復していればいいのですが、そうでない選手はメンタル的に落ちこんで戦意喪失状態でした。 そういう事をある程度想定はしていましたので、シーズン前の段階でシンガポールのベスト3と言われる各専門医に会いに行き、もしケガで選手の治療が必要な時は直ぐにお願い出来るか、一人一人確認して貰っていました。どの専門医もベストと言われるだけあって腕も人間的にも素晴らしいDr達でした。医療技術、病院のランクも世界でもトップ50に入る病院がシンガカイロプラクターとして シーズン前から準備した事DrDrムウエムムウエムララののリアリリア床ダイアリー臨床ダイアリDr ウエムラの臨床ダイアリーVol.4上村高史 DCポールにはあります。残念ながら日本は一つも入っていないのです。やはり最新医療機器のあるないだけでなく手術症例数、病院の広さ、病床数、英語での対応可、入院中の食事の種類など、様々な事が加味されてのランキングです。 実際シンガポールのサッカーリーグはあたりが激しいのとひどいファールが多いのでケガの多さもあり、整形外科医だけでなく、内科医、皮膚科医、眼科医、歯科医、口腔外科医、美容整形外科医、高密度酸素カプセル専門医、ショックウエーブ(ESWT)、PRP療法(自己多血小板血漿療法)専門医などと協力して、骨折、靭帯損傷の選手の早期回復に医療チームとして取り組みました。次回はどの様に選手に使用したかをお話し出来ればと思います。

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