カイロタイムズ108
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(4)2017年2月20日発行 カイロタイムズ 108号 今でこそ、カイロプラクティックは小児の健康を支えるために必須だと確信して活動を続けていますが、小児カイロと出会ったきっかけは、パーマー大学での退屈な授業中にふと頭へ浮かんだものでした。 「カイロプラクティックの最大の特徴は、薬や手術に頼らず、自然で体にとても優しいヘルスケアという点。つまり、小さな赤ちゃんや子どもたちにこそ有効なのでは?子どもが薬を飲んだり、手術を受けるのは出来るだけ避けたいと家族は考えているはず。」 一時間程度の授業が終わり、大講義室の重たいドアをガチャリと開けた瞬間が、「小児カイロ探求道」のはじまりでした。当時は子を持つ親でもなく、小さな兄弟に囲まれた大家族の出身でもなく、どちらかと言えば子どもが苦手でしたが、今では単に子ども好きというレベルを超えて、子どもたちの存在が自分の人生には欠かせないものとなりました。 その後、2007年には国際小児カイロ協会(ICPA)より、小児カイロの認定資格を日本人として初めて取得し、脊柱アジャストメントがもたらす奇跡的な回復や出来事を数多く目の当たりにしながら、子どもたちがすくすく成長する喜びをご家族と共に味わえる幸運な役割を頂戴しています。 このような経験から、ある家族がお子さんの健康を考える時には、小児カイロが選択肢として当たり前のように入っている形が理想だと思うようになりましたが、近い将来日本で小児カイロがもっと根付くために、今後は何をすべきなのかを模索し続ける毎日でもあります。 日本のカイロは未だ法制化されず、玉石混交な現状は周知の事実です。その中で、特に高い専門性と安全性が求められる小児カイロが、業界内外ともに「マジ」で認知されるには、現実的にどこから手を付ければ良いのでしょうか? 日本におけるカイロ法制化がさらに現実味を帯び、それに伴う大学教育が開始され、その中で一般カイロを学んだ後の小児カイロ卒後教育機会の実現が先決であり、一人でも多くのカイロプラクターが質の高い安全なケアを実践している近未来の実現を誰よりも願う今日この頃です。vol.12小児カイロとの出会いを経て、最近考えること カイロプラクティックの哲学的議論の中で、「下から診るのか、上から診るのか」というテーマがあります。カイロプラクティックのアジャストメントの主な目的は、サブラクセーションの矯正です。サブラクセーションを調整してInnate Intelligence(先天的知力)を最大限に引き出すことを目的としています。 「上」から診ようが、「下」から診ようが、どちらからでもサブラクセーションを特定診るのか」というテーマに対して、3つの観点から説明する事ができます。一つ目は「バイオメカニカル的」な観点、二つ目は「神経学的」な観点、三つ目はカイロプラクティックで強調されているInnate Intelligence(先天的知力)を含む「生命エネルギー的」な観点です。バイオメカニカル的な観点では、構造や運動の「力学」、神経学的な観点では、「機能」や「働き」、生命エネルギー的な観点では「流れ」などが説明のポイントとなります。 AMにおける検査や矯正の手順は、「下」から「上」へと進めていきます。なぜ「下」からなのか、或いはなぜ「上」からなのか、それぞれに理由があります。AMに限らず、「下から診て調整する」というテクニックの基本的な理由は、バイオメカニカル的な理由が強いため、「重力」との関係性が主となります。二足歩行で生活している人間が、地球上で生活している以上、「重力」に逆らうことはできません。 例えば、家を建てる際には、まずは土台をしっかりと固め、骨組みを下から上へと積み上げていきます。下の土台が歪むと、上部構造にしわ寄せが生じるのは言うまでもありません。まだ生まれたばかりで歩くことができない乳幼児や寝たきりの人、或いは無重力状態の宇宙空間であれば、「下」から見る必要性はなくなります。しかし、ほとんどの人は、立ったり歩いたりと、重力に逆らい、バランスを取りながら生活をしています。故に、土台となるバランスが取れていないと、上のバランスも崩れるという考え方に基づいて「下」から調整を行います。 (次号に続く)してアジャストメントすれば、後は自然治癒力に任せるという考え方で施術を進めているカイロプラクターも少なくはないと思います。また、B.J.パーマーの哲学を信奉しているカイロプラクターは、「Above Down Inside Out」、(上から下へ、内から外へ)というカイロプラクターの間では有名な理論に基づいて、上部頸椎だけをアジャストメントするでしょう。 「下から診るのか、上から下から診るのか、上から診るのか①保 井 志 之 DCVol.10 平成28年10月15日(土)・16日(日)に愛知県名古屋市のウインクあいちにおいて、日本カイロプラクティック徒手医学会の学術大会が開催されました。18回目となる今回の学術大会も全国から大勢の参加者で活気のある学術大会でした。アカデミックなレベルで海外に劣るとされてきた日本のカイロプラクティック業界において有るべき学会の姿というのは、情報を交換して互いに討論する場を設けることであり、学術に関わる知的財産の蓄積、研究知見から実務への普及促進、社会的信用の向上、そして研究者同士のつながり・交流が基本姿勢となるかと思います。教育機関・研究機関がまだまだ未熟な日本のカイロプラクティック業界において、多くの臨床家がその壁に挑み、多くの先生方のボランティアベースな活動を通して公共性に資することが、本学会の社会的役割なのではないかと思っています。 第18回の学術大会の内容を紹介しましょう。中川貴雄DCによる基調講演「膝関節障害に対するカイロプラクティック検査と治療」から始まり、1日目のワークショップは、「ニューロファンクショナル・コンディショニング」江口典秀、「仙腸関節の臨床」吉岡一貴、「カンに頼らない仙腸関節の変位判定」吉野和廣、2日目のワークショップは、「下肢の安定性と運動機能性」鈴木喜博DC、「椎間孔テクニック(後編)」伊藤彰洋DC、「ロコモにみられるトリガーポイントの臨床」大谷素明DCという題目の下、各先生方にご登壇して頂き、日頃の臨床に精通した講義を拝聴することができました。コントラインディケーション講座では、「症候からの鑑別疾患の見立て……荒木寛志」と題して、いわゆる臨床における禁忌や安全対策を考慮した新しい企画も盛り込まれました。一般講演では、10題の研究・臨床発表があり活発な質疑応答が展開されました。発表される研究のうち学術誌に掲載されるものはJSCCのHPにおいて順次公開されていますので、是非ご利用して頂きたいと思います。 日本カイロプラクティック徒手医学会は今回の学術大会の総会において、一般社団法『ロコモティブ・シンドロームにおける    カイロプラクティックの役割』日本カイロプラクティック徒手医学会 伊 澤 勝 典          理 事ティックティックククククククククククィッッィテテプラクテプラクテクククククククララプラプカイロプカイロププロロロロロイイイイカイイカカカカ本カ本カ本カ本カ本本本本本本日本日本日日日日日日日ククィッィッティテククララロプロプ本カイ本カイ日本カイ日学学学学学学学学学学医学学医医医手手手徒手徒手手手手手手徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒徒手医学徒手医学会会会会会会会会会会信信信信通信通信通通通通通通通通通信通信日本カイロプラクティック徒手医学会通信vol.4伊澤 勝典人に移行することが可決され、現在法人に移行致しました。今後は法人として公共性を保ち、より一層の社会的信用の向上を目指して活動していきたいと思います。第18回 学術大会in名古屋日本カイロプラクティック徒手医学会理事マニュアルメディスン研究会理事日本クラシカルオステオパシー協会理事日本TFT協会顧問メンタルクリニック月下香庵身体心理研究室室長璃楽院伊澤 勝典(いざわ かつのり)プロフィール 今年も猛暑日が続いたため、今シーズンの花粉飛散量は大量であることが予想されます。 ここで注目されるのがヒスタミンです。 ヒスタミンはアレルギー物質ではありません。確かにヒスタミンの性質から、アレルギー症状を引き起こすことはあっても、アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン=たんぱく質)ではありません。このヒスタミンは、決して花粉、ダニ、ハウスダスト、食材のアレルギー物質だけに反応するのではなく、ヒスタミンという化学物質そのものに不耐性を持つ原因による様々な症状がアメリカを中心に確認されるようになり、「ヒスタミン不耐性」という症状が動物だけでなく人の臨床実験によっても確認されてきました。 私が行っている栄養カウンセリングで対応するクライアントの中にも、このヒスタミン不耐性が疑われる人が見られるようになってきました。 ヒスタミンは人間の体内で作られる化学物質ですが、不要になったヒスタミンは、同じく人間の体内で合成するヒスタミン分解酵素(DAO:Diamine Oxidase)によって分解され、ヒスタミンは失活してヒスタミンの影響がなくなります。アメリカやカナダの研究報告では、現代の慢性症状の背景に、このヒスタミンを分解する酵素DAOが体内で十分につくられないことが原因である可能性が確認され始めています。 ヒスタミンは熱、酸、紫外線では分解ができないので、DAOが不足している場合には、ヒスタミンの影響が長引き、慢性化する可能性が高くなります。 今回はこのDAOを外部から補充して、不必要なヒスタミンの分解を促進し、ヒスタミンの影響による症状を抑えることが可能な食材を紹介します。その食材は日本全国どこのスーパーマーケットの野菜売り場では見かけることができる「豆苗」です。豆苗は、エンドウ豆を発芽させたスプラウトですが、エンドウ豆が発芽をする際に作る酵素の1つがDAOで、成長過程の細胞壁の成長促進のために機能する物質です。 友人のアメリカ人栄養療法医師は、片頭痛やアレルギー性症状(鼻炎、蕁麻疹など)が長引く患者さんに対する食事アドバイスで、毎朝30〜50gの豆苗を生のままサラダで食べる、またはジューサーでりんごと一緒にスムージー風ジュースにして飲むように勧めています。中華料理のメニューで豆苗とニンニクの炒ヒスタミン不耐性の     予防についてめ物は食が進むメニューですが、DAOは酵素なので、熱には弱く、豆苗を加熱することによってDAOが失活する可能性が高くなるため、豆苗は必ず生で食べていただくことがポイントです。 これから花粉症のシーズンが目前ですので、今から予防のためにヒスタミンとうまく付き合う方法を考えてみることもいいのではないでしょうか。お薬で使用する抗ヒスタミン剤ではなく、自分の力で不必要なヒスタミンの分解を促進し、ヒスタミン分解酵素DAOを合成するために必要なビタミンB6、マグネシウム、亜鉛などを意識して吸収促進することと同時に、豆苗の機能性によってナチュラルにヒスタミンの影響を改善することを考えてみてください。

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