カイロタイムズ107
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(4)2016年11月21日発行 カイロタイムズ 107号 普段の我々の心には「意識」と「無意識」という状態がある。その中で「ココロの声」を聴くには、「無意識の声を大きくする」か「意識の声を小さくする」かのどちらかを使う。現在は「無意識の声を大きくする」方法が主流だ。普段は見逃されがちな小さなシグナルのボリュームを大きくして気付きを促し、自らの主張をアピールする西洋的なイメージの手法だ。逆にハコミセラピーのように「意識の声を小さくする」手法もある。瞑想、無我の境地といえば分 ソマティックとは「生き生きとした身体(Soma)を通じた体験的な学び」のこと。身体だけのエクササイズでも、頭だけの学習でもない。様々なボディワーク・セラピーを通じ「ココロとカラダのつながり」を大切にする姿勢そのものがソマティックである。 この日は、ソマティック・エデュケーション(身心教育)、ソマティック・サイコセラピー(身体心理療法)、ボディワークや身体術・ダンスを通じたソマティック・アーツなど、幅広い分野の講座が行われた。ヨガ、ピラティス、ソマティックエクスペリエンス、ロルフィング、プロ  開催の背景 10月30日は「リラクゼーションの日」。業界全体のレベルアップを図るために毎年10月30日ごろに「リラクゼーションコンテストJAPAN」が開催されている。2013年10月30日は総務省の日本標準職業分類コード429に「リラクゼーション業(手技を用いるもの)」が登録された日で、開催日はこれにちなんでいる。 日本リラクゼーション業協会は、コンプライアンスを遵守したお客様に誤解が生じないような店舗(スペース)だということを認める認定制度を開始。2016年10月現在で約2,100店舗が認定を取得、今後業界の大きな潮流になりそうだ。スペース(店舗)の部キーワードは「周囲との協力」 テーマは「愛されるスペースグランプリ」。8分間という限られた時間の中で、自スセスワークなどなど多岐にわたる。痛み等の自覚症状はあるが病院で問題が見つからない人、スポーツや演劇・ダンスでパフォーマンスを上げたい人。そして悩みや生き辛さを感じている人がセラピーを受けるという。セラピストや介護職、理学療法士で新領域への見識を広めたいという人も多く来場していた。ビ体操を体験。その効果に驚きの声を上げた。 アレクサンダーテクニークは、自己の不必要な反応(癖や習慣)に気づき、それをやめることを学習する手法だ。特に頭・首・背中(脊椎)の関係に注目することが特徴で、背中や腰痛の改善、呼吸改善、楽器演奏や発声・演技を妨げる癖の改善などに用いられている。 これらのセラピーは「自らを知る」「意識」というキーワードが共通する。ソマティックを生活に取り入れるといろんなことがラクになると言うのも頷ける。分からないことを手探りする生活は不安で、どれだけストレスが貯まるだろう! 2016年10月14日(金)、国立オリンピック記念青少年総合センターで第2回ソマティックフェスタが開催された。ソマティックのスペシャリストが一堂に会し、大小8つのスペースで行われた講座は合計33講座。来場者は600名に上った。 近い将来、超高齢化を迎える日本は健康長寿社会を目指さなくてはならない一方、病院では診断のつかない「不調」を訴える人が増加している。本フェスタは、さまざまな手法を通して「ココロとカラダをつなぐ」新しいアプローチへの理解を深める場となった。大人気!講座骨ナビ講座第2回 ソマティックフェスタ開催 理論はさておき、どの講座も簡単なボディワークが中心で非常に分かりやすかった。理解はそのまま安心につながる。例えばTeateセラピーは指圧的な要素もなく、ごくごくわずかに触れるだけで心身のバランスを回復するタッチケアである。9割以上の受講者が効果を感じたと話したのが印象的だ。ふれあいやコミュニケーション機会が減少する昨今、ストレスケアにも有効なアプローチで介護や医療現場等での活用も期待されている。薬も機械も使わず、無理な外圧も加えない手法は、言わば一番安全だ。一般市民が求める安心・安全は、こういうものかもしれない。病院で診断がつかない「ココロやカラダの不調」を訴える人がソマティックの門を叩くのは、今自分に何が起こっているのかを知りたいからではないか。治療は医師や治療家が与えるもの。セラピーやボディワークはあくまでも自分が行うものという視点は見逃せない。どちらが正解ということもない。 ココロの声を丁寧に聴き、カラダにきちんと伝える。その上で必要なら治療を受ける。一見当たり前のこのプロセスが、今改めて見直されている。これを無視しては、健康長寿は決して手に入らないだろう。「ココロの声」と 「意識」に迫る「安心・安全」と  「健康長寿」かりやすいか。日本人は心の内を積極的にアピールしない(場合が多い)。行間を読む、空気を読むなど「受ける」コミュニケーションが合うという人もいる。そして、自らを知ることが最大のセラピーなのだ。 身体術『骨ナビ』では、背骨や関節が「ある」と意識し、その存在を認めることで動きや効果が変わると説く。受講者は、自分で動かせるすべての関節を無理なく動かす骨ナソマティックって?ペースの課題、課題に対する取り組み(アイディア)とその結果を発表する。意気込みや熱意、チームワークも審査対象だ。 グランプリは岐阜県「天光の湯 リラクゼーションルーム和(なごみ)」が受賞。温泉施設「天光の湯」も自分たちのスペース(店舗)だという意識で取り組み、施設との関係良化を実現できたことが受賞理由だ。今ではスタッフ全員が「天光の湯」の泉質や利用料金プラン、お食事処の一番人気メニューまで把握しているという。施設との強い信頼関係を築き、最終的に大きな売上アップにもつながった好事例だ。 準グランプリは福岡県「ストレッチラフィネ ゆめタウン久留米店」、審査員特別賞は栃木県「ベルエポック栃木店」が受賞した。 個人の部  キーワードは「想い」 テーマは「また施術を受けたいセラピスト」。お客様役を相手に接客スキルを競うもので技術審査はない。最初に3分間「想いのプレゼン」を行い、接客・接遇はロールプレイング形式。状況に応じた適切なヒアリング、分かりやすい説明や提案などが5分間で審査された。 グランプリはラフィネPESCA岡山店の鮫島嘉之さん、準グランプリはRe.R日本最高峰のセラピストの祭典『第3回リラクゼーションコンテストJAPAN 2016』開催予選会を勝ち抜いた、選ばれし   ファイナリストたちの戦い予選会を勝ち抜いた、選ばれし   ファイナリストたちの戦い 2016年10月28日(金)、東京都渋谷区山野ホールで『第3回リラクゼーションコンテストJAPAN 2016』が開催された。本コンテストは日本リラクゼーション業協会がセラピストの資質向上を目的として開催しているもの。個人の部、スペース(店舗)の部と2つのカテゴリで、全国2,100店舗、18,000人のセラピストの中から予選を突破した実力派セラピストたちが集結した。本選出場者スペースの部 グランプリチームの発表個人の部 グランプリの鮫島氏a.Kuモラージュ菖蒲店の荒井由香さんが受賞。多くのセラピストが元気な雰囲気を前面に打ち出す中、絶妙な声のトーンとボリューム、落ち着いた雰囲気で異彩を放ったRe.Ra.Ku江戸川橋店の山下真奈さんが審査員特別賞を受賞した。セラピストの仕事は命を使ってやりたい仕事「使命」だと語る山下さんの想いに、会場からは大きな拍手が湧きおこった。個人の部 グランプリは男性セラピストが初受賞!業界の新たな発展へ 「社長、やりました!」個人の部グランプリを受賞したラフィネPESCA岡山店の鮫島嘉之さんは、こう喜びを報告した。店長になって5年。男性セラピスト以外でお願いしますと言われ、何度も悔しい思いをした。いっそのことオネエキャラでと思ったこともあった。ラフィネの先輩「伝説の男性セラピスト」の存在を励みに、自らも全国の男性セラピストの希望になりたいと奮起したことが受賞につながった。男性セラピストが個人グランプリを受賞するのは史上初。リラクゼーション業界に新たな旋風が巻き起こった瞬間だ。 「リラクゼーションは女性のものというイメージがまだ強いのかもしれない。でもそこは可能性、本田圭佑的に言えば伸びしろ。男性のお客様、男性セラピストが増えるきっかけになれたのでは」と話す鮫島さんの次なる目標は、自分のスペースを日本一のお店にすること。鮫島さん自身が「伝説の男性セラピスト」になる日が、また一歩近づいたようだ。

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