カイロタイムズ106
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(6)2016年8月22日発行 カイロタイムズ 106号心身統合をうながす様々なワークショップが大集合ソマティックフェスタ2016日 時  2016年10月14日(金)10:00~20:30   場 所  国立オリンピック記念青少年総合センターロルフィング、アレクサンダーテクニーク、フェルデンクライス、ダンス、武術等、心身一如のボディワーク(ソマティックス)のワークショップが30クラス以上同時開催します。料 金  前売り 3,000円 当日 3,500円主催者:日本ソマティック心理学協会連絡先:http://somaticfest.jp/contact-us 5月中旬、ここシンガポールで2日間に渡って行われた、シンガポールカイロプラクティック協会主催の臨床セミナーに参加してきました。以前は毎年のように開催されていましたが、ここ最近は久しく開催されていなかったので楽しみにしておりました。 シンガポールには約100名のカイロプラクターが存在しておりますが、カイロプラクティック協会に登録しているのは、その5分の1程度。セミナー情報を受け取っているカイロプラクターが少ないからなのか、集まった人数はシンガポールと香港からの参加者を含めた20名程度とあまり多くはありませんでした。内容は、あの有名なキャリック・インスティチュートによる、カイロプラクターの為の臨床神経科学に関する内容でした。詳しい内容については割愛させていただきますが、何故もっと早くに参加しなかったのだろうと思えるほど充実した2日間でした。 機能神経科学はこれからのカイロプラクティック治療だけではなく、MD達にも大きな影響を与え得るテクニックの一つだという認識をより強めました。特に、病院内の日系クリニックでMDと共に働いている私にとって今回のセミナーは大変興味深く、参加したことでさらに学びを深めて行きたいという思いが強くなりました。学生時代は、いろいろなセミナーに比較的参加していたと思いますが、学校での勉強や自分で選択したテクニックの上達練習などで忙しく、チェックしきれていませんでした。確かに学生の時とは違い、臨床の現場にいることにより気づけることもあり、日々学び直す事も多いのでこうしたセミナーの重要性がより増しているのかもしれません。このような機会をパーマー在籍時に見逃していたことを少し悔みました。 やはりどんな時でも心の余裕を持ち視野を広げることも大切ですね。当地ではなかなか参加する機会がありませんが、今後のためにも初心を忘れず参加できるものには積極的に参加していこうと思いました。今回、この2日間が終了した後にパーマー時代の中枢神経学と末梢神経学の教科書を開き直したのはいうまでもありませんが、有益な時間を送ることができたのは幸いなことでした。臨床神経科学セミナー齊田 貴文DC パーマーに限らずアメリカのカイロプラクティック大学へ行く人は、入学前にコミュニティカレッジという短大みたいなところで英語の勉強や化学、物理などのカイロプラクティック大学へ入学するための必須単位をここで取得します。最後まで問題となるのが英語の試験、TOEFLです。日本でいうセンター試験みたいなテストをアメリカでは、コンピューターで受験します。何度でも受験可能ですが、はっきり言って、運が必要となってきます。文法の問題をアメリカ人に見せると彼らも8割ぐらいしか正解できませんでした。これから留学を考えている方は、日本にいる間から受け始めておくことをお勧めします。これさえ受かってしまえば留学は、なんとかなります。実際私がTOEFL試験をパスしたのはパーマー入学の2週間前でした。 パーマーに入学して授業が始まりますが、最初の1年は非常に忙しかったです。パーマーは通常の大学とは違い3学期制の大学です。その1学期にだいたい33単位の授業をとります。33単位とはどういうことかというと、1週間に50分の授業が33コマあるということです。授業は月曜日から金曜日までなので、1日平均6コマ以上の授業を受けることになります。そして、6単位の授業は実習試験なども含めて1学期のうちに6回テストがあります。1学期14週間ぐらいなのに30回以上のテストがあるということです。しかも最初の1か月ぐらいは、テストがありませんので実質10週間ぐらいのうちに行います。 その忙しい日々もいい友達ができたので、非常に楽しかったです。パーマーは朝5時に鍵が開いて夜中の2時に締まります。私達のパターンは15時ぐらいに授業が終わり、一旦家へ帰ったり、ジムへ行ったりします。18時〜19時になったらゾロゾロと学校のカフェテリアや自習室に友達が集まってきます。ここから、皆で自習室とカフェテリアの往復が夜中まで続き、最後はバーへ飲みに行くというのが定番でした。難しいテストの前日は、夜中の2時まで学校で勉強して、それから皆で24時間営業のファミレスなどで5時まで勉強して、学校が開くと同時に自習室へ戻り、テストの寸前まで詰め込み、勝負に挑みます。そして大きなテストが終われば、その後の授業をすっぽかし、バーへ出かけてドンチャン騒ぎ。酔い潰れて家に帰って寝ても19時ぐらいになれば、また学校で集まって勉強する、これの繰り返しでしたが今思えば毎日が楽しかったです。米国留学時代7留学当時の青DC 私達カイロプラクターは様々な疾患がマニピュレーションを施す事で良くなったり治ったりする事を体験しており、患者もMDの治療を嫌ってカイロプラクターの元に集まることが多々あります。しかしこれはカイロプラクティック業界の中だけで知られている事であまり外では知られていません。その理由の一つは医師達だけに限らず誰でも読める文献や研究があまりないからです。残念ながらある結果が治療によってもたらされてもそれを検証して証明する文献が出ない限りどんなに良い結果だとしても医学界では受け入れられない流れがあります。 まだまだここアメリカでも私達の業界を超えての発表論文は多くなく更なる研究が必要とされています。しかしそんな中でもカイロプラクティック治療の正当性を支持する研究がいくつかあります。 まず、マニピュレーションは痛感鈍麻と疼痛閾値を上げる働きがあるという文献です。リュウマチ患者のT12とL4にマニピュレーションを施すとT6、L1、L3の疼痛閾値は大きく上がり、その事からマニピュレーションは中枢神経系を刺激して治療を施した所とその周りにも影響を与え痛覚感受性を減少させる事ができると言う事が分かりました。 次は、神経ペプチドは脳内と身体の機能の伝達を促す物質ですが、マニピュレーションを施すと神経ペプチドが上昇し疼痛緩和が得られるというものです。これは脳室内と鞘内に神経ペプチドを投与すると腰痛と中枢神経性疼痛の緩和が促がされた人体実験でも説明されます。神経ペプチド減少とパーキンソン病、アルツハイマー、摂食障害、卒中等との因果関係を調べた文献もあります。 日本の厚生労働省は、「WHO(国外機関)はあくまでも国外の機関のため、彼らの様々な基準は日本とは関係ない。」と見解を示しました。カイロプラクティック業界を発展させていくためには最重要となる〝業界統一〞の後に自分達でしっかりと研究検証した文献の発表が必要となるはずです。カイロプラクティックの検証文献の重要性中島 一光DC カイロプラクティックの発展期には、創成期の原始的な診察・分析法や椎骨の矯正方法(現在ディバーシファイドと呼ばれる)に加えて、様々なテクニックが開発されました。 初期の頃には、とにかく脊椎骨を如何に動かすか、ということでアメリカ原住民(インディアン)に伝わる方法、欧州の接骨を起源とする方法、中国や日本など東洋を起源とする方法などを含め、カイロプラクター達は研究し、創意工夫して効果的な矯正方法を考案、導入していたようです。 アルバ・グレゴリーDC,MDは、1907年にDDパーマーと共同でパーマー・グレゴリー・カイロプラクティック学校を創立したことで知られていますが、アジャストメント アンダー テンションというトラクション(牽引)を掛けて行う矯正法を考案し推奨しています。しかし、DDパーマーは、そのような牽引は整形外科かオステオパシーで、カイロプラクティックではないと否定していました。 A.P.デービスMD,DO,DCは、眼科学とオステオパシーとカイロプラクティックをごちゃ混ぜにしてニューロパシーというものを考案しました。 歴史的に見ても、西洋医学を学んでMDとなった者が、その後にDCの学位を受けても、所詮付け焼刃で本物のカイロプラクターとしての哲学やアジャストの技術を修得したと思われる者は殆ど見当たらず、最終的にカイロプラクティックに別のモノを混ぜて独自の治療法・テクニックとし、医師の社会的地位を利用して執筆や講演などで拡散しては、カイロプラクティックの専門職を混乱させる事が散見されます。 対照的に、BJパーマーは、大学卒でもなく「低学歴」として、MDやBSなどの学位所持者でもあるナショナル系のDCなどから蔑まれることもありましたが、カイロプラクティックの発展者と称されるように、その哲学・科学・芸術の全てを進化させています。 BJパーマーは、『エキスポジション オブ オールド ムーブ』という著書で、創成期のカイロプラクター達が導入し、また用いていた様々な矯正法、例えば患者の胸部を手で保持しながら膝で胸椎を押す、木の棒を脊椎にあて木槌で打つ、踵で踏む等の矯正法をカイロプラクティックではない、そして過去の矯正法として分類、写真入りで解説しています。米国カイロの歴史と潮流4松下 順彦DCVol.

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