カイロタイムズ104号
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(5)2016年2月15日発行 カイロタイムズ 104号カイロタイムズに広告掲載しませんか?カイロタイムズに広告掲載しませんか?広告主募集!商品紹介代理店募集セミナー案内など0120-223-505TEL:E-mail: CHIRO-TIMESinfo@chiro-times.co.jp日本医科学出販株式会社カイロタイムズ詳細は下記までお問い合わせください。締切は発行日の1ヶ月半前1ヶ月半前105号予定2016年5月発行106号予定2016年8月発行 ここは森に囲まれた、現代文明から隔絶された未開の地。原住民の1人が、長いこと腰痛を患っている友人の背骨を徒手的に動かすとボキッという音が鳴り、それ以降、腰痛は軽減した。驚き感謝する友人に対して彼は次のように説明した。「背骨に幽霊がいて、幽霊が神経に呪いをかけていたんだ。だからその幽霊を取り除いてあげたのさ」と。 現代文明の恩恵に浴するカイロプラクターは、はたしてこの「背骨の幽霊」という発想を一笑に付せるだろうか。ためしに幽霊をサブラクセーションに、呪いを圧迫に置き換えてみよう。すると、カイロプラクターがよく言う謳い文句に見事に早替わりする。なぜ違和感がないか、それは幽霊も呪いも、サブラクセーションも圧迫も、想像力の産物という点で共通しているからだ。 イギリスの哲学者ギルバート・ライルは言う、「普通われわれは、幽霊というものは想像力の産物だと思っている。しかし、そうではない。幽霊というものは想像力の欠如の産物だ」と。なるほど、これに習えばサブラクセーションもカイロプラクターの想像力欠如による産物、ということになる。 少なくとも草創期のカイロプラクターはとても想像力が豊かだったことは間違いない。19世紀後半、今ほど科学が発達していなかった時代にあって、彼らは「背骨に幽霊がいる」で済まさず、サブラクセーションによって説明を試みた。この素晴らしく斬新なアイディアのおかげで、カイロプラクティックが成立したのだった。 時代は下って現在、今もなおサブラクセーションという過去の想像の産物に執着するカイロプラクターがいる。なぜだろう、彼らに想像力が欠如しているとは思えない。そうだ、きっと彼らは想像することを放棄しているのだ、間違いない。 サブラクセーションと幽霊、筆者に言わせれば大同小異。カイロの学生教育においてサブラクセーションが旧態のまま扱われ続けるようなら、あたかも「幽霊の正体見たり枯れ尾花おばけ」と教えているようなものだ。カイロが世の笑い物になってはいけない、想像力をもっと働かせて背骨の幽霊の正体を見破ってやるぞ、といつも自らを奮い立たせている。 脳の中の幽霊が私の脳神経に呪いをかけているせいで想像ができない、と言い訳する人には要注意。 化け物の恐れあり!背骨の幽霊Vol.7、 、 、  あれは確か、僕が中学1年生になった頃だった。ある晩遅く帰ってきた父が1冊の本をくれた。『やさしい人生哲学』(山下善司著)という本であった。普段から本を読むことの苦手な性分と、「哲学」という言葉への抵抗から、初めの数ページを読んだが、「なぜ自分は生きるのか」という難しい問いかけは自分の関心を誘わなかった。そしていつの間にかその本は、本棚の片隅に追いやられていた。 それから1年くらいたったある日、本棚を整理しているとその本がほこりにまみれて出てきた。何気なしに取り出して読んでみると、それは新鮮な味わいがあった。今まで読んだ小説とは違っていた。それは自分の内面を見つめる本だった。自分に生きること、自分の考えをもって判断することの大切さが強調されていた。   (途中略) 人間にとって大事なのは、自分に生きるということだと思う。何かを選ぶとき、その意義と、本当にそれが自分にとって必要なのかを考え、自分自身の考えをもって判断する。人が言うから、人がそうするから自分もそうする、というように他人の意見をそのまま自分の行動に取り入れてはいけない。 僕は今まで外のものには関心があっても、内面的なもの、つまり自分自身について考えることはなかった。そういう意味でこの本は、自分を考えるきっかけになったと思う。別な言葉で言えば、自分自身の発見かもしれない。父がこの本を僕にくれたのは、それが目的だったような気がする。 僕もいずれ大人になるだろう。大人になるということは、自分自身の考えでしっかり物事を判断できるということではないだろうか。(以上、私の中学校卒業記念論文「自分自身の発見」より抜粋) 中学3年生の私に「私の一冊」を尋ねれば、間違いなくこの本を挙げただろう。 あれから30年弱、図らずも私はその本をプレゼントしてくれた当時の父とちょうど同じ年齢になった。 すでに十分に大人な年齢だが、はたして「大人」になれているだろうか。本をプレゼントしてくれた父に聞いてみたいところだが、もはや叶わぬ望みとなってしまった。書籍情報『やさしい人生哲学』山下善司著、日本文芸社(絶版)平成9年、東京医科歯科大学医学部医学科卒業、福島県立医科大学整形外科入局、医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医、脊椎脊髄病医、日本統合医療学会認定医。平成21年、RMIT大学カイロプラクティック学科日本校卒業。現在、社会医療法人至仁会よしかわクリニックで整形外科常勤医、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック講師。竹谷内 克彰(たけやち よしあき)プロフィール竹谷内 克彰Vol.3 予選から決勝まで日本、中国選手が強く、日本選手は自分のベストを出してくれたので全員が良い結果で大会を終わることができました。監督、コーチから次回合宿、世界大会もよろしくお願いしますと言って頂きました。色々大変でしたが、私を信頼してくれた選手達に感謝です。 余談ながら、公式練習中に、ニュージーランドの監督から膝の痛い女子選手がいるので診てほしいと頼まれました。僕が日本選手を治療するのを見ていたようです。その選手も10分程の治療で膝の痛みがなくなり、練習もできるようになりました。コーチ、監督からも感謝され、大会では日本が金、その選手は銅メダルでした。同じホテルでしたので、会う度にThank youと言われました。 ちなみに、宿泊ホテルには警察官2〜3人が交代で24時間警備をしていましたので安全で、日本代表水泳選手以外にも数か国のチームが宿泊していました。 メディカルスタッフの一人として、カイロプラクティックが、良くも悪くも選手の結果次第で評価されるので、責任はあります。特に短期決戦の場合、毎日選手をチェックはしますが、毎回アジャストするかと言えば必要な場合、必要な箇所のみです。私たちの仕事は、いかに選手が緊張を乗り越えて、良いパフォーマンスを本番で出せるかを助けることです。最後はメンタル的なものが大きいですし、競技するのは選手です。 今後カイロプラクターがこういう大会に帯同していくには、アジャストやその他治療技術は勿論必須ですが、現場でのコミュニケーション能力、人間性、他の専門分野の先生方との協力、現場での豊富な経験といった要素が大切になってきます。 まずは継続して結果を出し、チームから信頼される存在になることが重要だと思います。そのためには、アスリートのサポートはもちろん、カイロプラクティックの啓蒙も必要です。個人的には、手話の勉強も始めるつもりです。金メダルの日本人選手(中央)と銅メダルのNZ選手(右)寄 稿アジア太平洋ろう者  競技大会帯同報告(後編)上 村 高 史 DC上 村 高 史 DC 2013年、私は出身地である神戸市東灘区に、日本初の小児および妊産婦専門のカイロプラクティック院「カイロキッズこうべ」を開院しました。パーマー大学を2003年に卒業し、海外での臨床経験を経て帰国したのが2006年でしたので、日本で本格的に小児カイロの活動を開始して来年で10年目になります。自分の院を開くまでの7年間はどんな臨床活動をしていたのかよく質問されますので、少しご紹介したいと思います。 日本で本物の小児カイロを根付かせるために、まず私が考えたのは、依頼があれば基本的にはどこにでも出向き、赤ちゃんや子供たちにとにかくアジャストメントを届け、その素晴らしさを「シェア」するということでした。そこで、ポータブルテーブルを担いで県内外を問わず動き回り、体験談を書いて頂き、詳しい治療記録はもちろん、家族のコメントなどありとあらゆる事柄をノートに記し、それをまとめた上で、周囲の子供を持つ家族やカイロプラクターにシェアしていきました。今のようにSNSがまだまだ一般的ではない頃でしたので、効率という点では少し苦労しましたが、この経験が今でも非常に役立っていると思っています。母親や家族からお聞きした、小児科医療の実情や育児のリアルな体験談からは、小児カイロプラクターとして実に多くの「経験と学び」を頂戴しました。 この点は、小児カイロを学び実践したいというカイロプラクターには、最も強調してお伝えしています。カイロプラクティックを子供たちが受けること自体、日本ではまだまだ一般的ではないため、最初はどうしても症例が少なくなりがちですが、それでも1つの症例から出来るだけ多くのことを学び、吸収する姿勢が絶対に欠かせません。そのためには、子供自身の様子やアジャストメント前後での変化、そして両親はもちろん、ママ友や祖父母を含む家族からのコメントなど、どんな小さなことにでも耳を傾け、主訴に関わる内容や検査結果を分析しながら、ベストな治療プランを検討し続けることも必須です。 日本のカイロプラクティックは、この「記録保持&分析&治療計画作成」において、改善の余地が多くあるように思われます。また、老若男女全員に選択してもらうためにはカイロの持つ高いポテンシャルを「情報発信」していくことが不可欠ですが、その面における絶対的な手薄感も否めません。小児カイロプラクティックの啓蒙vol.8

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