カイロタイムズ104号
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(2)2016年2月15日発行 カイロタイムズ 104号業界動向業界動向業界動向WFC役員改選JCR第6回統一試験実施 イラストのように、バクテリオシンには「乳酸菌を中心とするコロニー形成」「グラム陰性菌等に対する抗菌除菌」「免疫機能刺激タンパクの輸送」と大きく3つの働きがあります。  バクテリオシンはあらゆる菌が生産するたんぱく質ですから、乳酸菌などの善玉菌だけでなく、大腸菌などの悪玉菌やカビもバクテリオシンを生産します。抗生物質としても有名なペニシリンは青カビが生産したバクテリオシンです。興味深いことにその後の研究で、同種の菌が生産したバクテリオシンの除菌作用は、同種の菌にはほとんど影響がないことが分かりました。つまり、乳酸菌が生産したバクテリオシンは大腸菌や酵母などには除菌効果を示すものの、同種の乳酸菌を除菌することはないということです。言い換えれば、大腸菌など悪玉菌が生産したバクテリオシンは善玉菌である乳酸菌を除菌する作用を持つということになります。 ここにポストバイオティクスの重要性の大きな意味があります。小腸から大腸に至る消化器官に大腸菌をはじめとする悪玉菌が旺盛に繁殖している状態で、乳酸菌を摂っても、第1のハードルである胃酸の洗礼を受けて、期待するほど腸に到達する乳酸菌は少ない。第2のハードルは腸に到達した僅かな乳酸菌は繁殖する前に、悪玉菌の生産したバクテリオシンによって想像以上に除菌されてしまうことです。バクテリオシンの恩恵1 腸(小腸)の悪玉菌(グラム陰性菌)の除菌制菌。 バクテリオシンの歴史は古く、カビ菌が作ったバクテリオシンが抗生物質の「ペニシリン」であることを考えると、人間が合成した副作用のある抗生物質とは異なり、ナチュラルな除菌効果による除菌ができます。バクテリオシンの恩恵2 乳酸菌の効果を確実なものとするための準備。 以前からプロバイティクス乳酸菌を日常的に摂取し、腸の働き、便通の改善を期待しても満足のいく結果が得られなかった背景の多くは、善玉菌乳酸菌の繁殖を上回る悪玉菌(グラム陰性菌)の葉食が旺盛であることです。乳酸菌同様、これらのグラム陰性菌も自らの繁殖のためにバクテリオシンを生産し、乳酸菌はそのダメージを受けます。乳酸菌を日常的に摂る前にバクテリオシンで悪玉菌の繁殖をコントロールすることが可能ポストバイオティクス②です。バクテリオシンの恩恵3 オーラルケアとして口腔内バクテリアの除菌。 口腔内は予想以上にバクテリアの温床になっており、虫歯だけでなく歯周病、歯槽膿漏の原因と目されるバクテリア、カンジダ菌の繁殖が旺盛です。また、これらのバクテリアの除菌コントロールをすることは、その後に続く食道、胃、腸におけるバクテリアの繁殖のリスクを軽減させることになります。 世の中で言われているほど、乳酸菌を摂れば解決するという簡単なことではないのです。プロバイオティクスとしての乳酸菌の菌種ばかりに注目が集まっていますが、乳酸菌が腸に到達して生産するバクテリオシンの恩恵を受けるポストバイオティクスの捉え方を考える必要がありそうです。 日本カイロプラクティック徒手医学会(会長中川貴雄)では今後、下記の3つの展開を予定しています。 第一に、今年度よりポイント制による学術研究員の認定制度を施行することとなりました。昨年度の総会にて制度の発足が承認されたことに基づき、1年間かけて検討委員会で規定が練られました。この認定制度は、各学会員の日々の学術研究活動を中心とするカイロプラクティックの真理の追求による学術的啓蒙の継続を評価するものです。 創設以来の各学会員の活動状況をポイントに置き換え、上級学術研究員、主任学術研究員の2種類の称号を与えます。初年度は上級学術研究員10名、主任学術研究員15名に認定証が送られる予定で、さらなるカイロプラクティックの学術的発展を期待しています。 第二に、ホームページ(http://www.jsccnet.org)をリニューアルします。PCだけではなく、スマホでもより見やすく、より分かりやすいホームページを目指します。 今後、カイロプラクティックの安全性の提示が社会的に必要になっていくと思われます。そのためには他の医療分野と同様に、カイロプラクティックを業としている全臨床家による学術活動が必須となってきます。 既に症例報告の仕方として、抄録の書き方、学会発表の仕方、学会誌への論文の書き方を分かりやすく網羅した冊子PDFを掲載しています。 更に新規ホームページでは、過去の全論文も自由に閲覧出来るようになります。是非、日々の臨床にお役立て頂きたいと考えています。 第三に、学会発行の徒手医学情報を収集したメールマガジンの配信を予定しています。ホームページとともに、親しみやすく、有益な情報を提供していく予定です。 発足以来、業界の垣根なく誰でも参加できる学術団体である弊会は、自由な学問追究の気風のもと、カイロプラクティックの社会的信頼の向上のために活動してきました。今後、さらに多くの臨床家の参加発表をお待しております。【前号学術大会記事の訂正】(誤)「ADHDの疑いをもつ児童の眼球運動とそのアプローチ」(正)「神経発達障害の疑いをもつ児童の眼球運動と脳発育期へのアプローチ」日本カイロプラクティック徒手医学会今後の活動予定寄 稿第14回JACシンポジウム開催第5回臨床ゲノム医療学会開催 2015年11月3日(火祝)、東京大学伊藤謝恩ホールにて、一般社団法人臨床ゲノム医療学会(理事長 渥美和彦東京大学名誉教授)主催による、「第5回臨床ゲノム医療学会 mRNA発現解析検査による世界初の健康基準の創出」が開催され、医師を中心に約150名の医療関係者が参加した。 従来、遺伝子検査といえば、生まれつきもつ遺伝情報を調べる「DNA検査」が中心であったが、DNA検査結果は生涯変化することもなく、病気予防には生かしにくい。 しかし、実際の病気の発現には、生活環境などの要素も影響するため、近年、DNAから複製されるmRNAを使用した「RNA検査」が注目されている。RNAは環境や生活習慣により発現度が変わるため、検査結果に基づき、食生活・運動などの生活習慣指導を行うことにより、病気予防に生かすことができる。 学会は、大会長である水島洋博士(国立保健医療科学院上席主任研究官)、続いて渥美教授による開会の挨拶により開始した。水島大会長によるRNA検査の説明、名誉大会長である松原謙一教授(大阪大学名誉教授)による、世界の状況を踏まえた遺伝子検査の未来に関する講演などに加え、3部のシンポジウムで構成された。 第1部では産業界との連携についての報告、第2部ではRNA検査を臨床導入している愛知医科大学や湘南鎌倉総合病院からの発表、第3部ではスーパードクターとして名高い、心臓血管外科医外山雅章医師による、日米の医療についての考察や、医療問題に詳しい弁護士による医療法についてなどの発表が行われた。 各シンポジウムの後には演者によるディスカッションフォーラムも実施され、第3部では、RNA検査結果を生活指導や治療に生かすための、カウンセリング方法や人材育成についてなど実務的内容が議論された。遺伝子検査は DNAからmRNAへ 2015年11月1日(日)東京都江東区の清澄庭園内会場にて、一般社団法人国際予防医學推進協会主催の講演会「真の予防医学とは」が開催され、約60名が参加した。 同協会は、よりよく生きるための「予防医学」の推進を目的として、2015年5月に3名の女性歯科医師・医師により設立された。今回の講演会は、「ヘルスアンバサダー養成講座」の開講を記念したもので、3名の同協会理事が講演した。 一人目の演者として登壇した同協会代表理事の井手真理氏は、自身の出産経験や、歯科医師としての臨床経験を踏まえ、患者に寄り添い、よりよい生き方をサポートできる医療が必要と訴えた。 続いて、同協会理事の歯科医師・ファストロ滋子氏、同理事内科医師・高松佐和子氏もそれぞれの立場から予防医学のあり方を提案した。 ヘルスアンバサダー養成講座は2日間計10時間のコースで、身体の仕組み、栄養学、精神などについて学び、試験合格者には、修了証が発行される。国際予防医學推進協会講演会「ヘルスアンバサダー養成講座」開講記念会(JAC)は、2015年11月1日(日)〜2日(月)、ウインクあいち(愛知県名古屋市)にて第14回シンポジウムを開催した。 講師を務めた、マドリッドカレッジ・オブ・カイロプラクティック学科長のリカルド・フジカワMD・DCおよび愛知医科大学病院の福澤嘉孝教授は、それぞれの視点から、テーマである「統合医療を科学する〜カイロプラクティックの見方・医学の見方 米国ガンステッドカイロプラクティックオブジャパン(代表 松久正MD・DC)は、本年度のセミナーの休止を発表した。参加資格と内容の見直しを行い、2017年に再開の予定。 日本カイロプラクターズ協 世界カイロプラクティック連合(WFC)は、最近実施した地域役員の改選投票結果を発表し、アジア代表には、テレンス・ヤップDC(シンガポール)に代わり、竹谷内啓介JAC会長が選出され〜」について講演した。 また、2016年2月10日(水)〜11日(木祝)には西日本ブロックが兵庫県にてカンファレンスを実施する。た。任期は2019年まで。 日本カイロプラクティック登録機構(JCR)は、2016年2月7日(日)、第6回カイロプラクター登録試験を実施する。 日本整顎協会(代表 藤原邦康DC)は、同協会の一般社団法人化を記念して、2016年2月21日(日)、帝国ホテル(東京都千代田区)にて創立式典を開催する。日本整顎協会創立記念式典開催ガンステッドセミナー2016年は休止

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