カイロタイムズ103号
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(8)2015年11月16日発行 カイロタイムズ 103号1面の中垣DCの報告にあるように、カイロプラクティックは法制化に向け、ようやく第一歩を踏み出しました。法制化にあたっての教育基準は、2006年発行「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」記載カテゴリーⅠ(A)で統一される方向だそうです。3面のフィリップ・サンティアゴFICS事務局長、5面のマイケル・ショブルックCCEA会長も国際基準教育の必要性についてインタビューの中で語っています。是非、これらの記事をお読み頂くとともに、WHOガイドラインをご確認ください。編集後記カイロタイムズでは、皆様からの寄稿や情報提供を募集しております。〒160-0023東京都新宿区西新宿3-1-5新宿嘉泉ビル8FTEL0120-223-505 FAX0120-223-509E-mail:info@chiro-times.co.jpURL:http://www.chiro-times.co.jp/日本医科学出販株式会社 カイロタイムズ編集部 2015年8月3日(月)〜4日(火)に開催された日本カイロプラクティック協同組合(JFCP)国際セミナーにて講義を担当した、米国ウエスタンステイツ大学(UWS)助教川口潤DCに聞いた。編集部 日本人学生対象のセミナー講師は初めてとのことですが、感想を教えてください。川口DC(以下川口) 米国の同様の卒後教育セミナーと異なり、皆さんの熱意や向上心、そして一体感がすごいですね。編集部 昨年来日されたUWSの副学長、エバンス博士が、JFCPとの提携を協議中とおっしゃっていましたが、その後進展はありましたか。川口 今年の10月から、インターナショナル・ディプロマ(姿勢科学)コースの提供を開始することになりました。今回のセミナーの受講も、ディプロマ授与要件の一つとなっています。編集部 川口先生も関わっていらっしゃるのですか。川口 はい、教材開発・翻訳と、講師を務めます。編集部 今回のセミナーはカイロプラクティックではなく「姿勢科学」だそうですが、どちらにしろ日本では資格や正規教育が存在しません。その現状の中、資格や教育の意味は何だと思われますか。川口 カイロも、手技だけだったら、学位を持っていなくても、DC並み、あるいはそれ以上というカイロプラクターはたくさん日本にいらっしゃると思います。でも、カイロプラクティックを人に対して行う、カイロプラクターとして働く権利を得るためには、資格や学位といったものが必要だと思うんです。編集部 おっしゃる通りですね。UWS本校ではどういった科目を担当していらっしゃるのですか。川口 UWSはカイロプラクティック学部、卒後・職業教育学部、学部の3部門で構成されています。私はATC(公認アスレティックトレーナー)の資格も持っており、卒後・職業教育学部のエクササイズ・スポーツサイエンス学科で教えています。現在は、永住権取得のために一時帰国しているので、日本でオンラインコースの講師をしています。編集部 外国人であり言葉も含めハンディキャップがある中、常勤講師として雇用されていることが快挙ですよね。カイロプラクターになろうと思われた理由等も含め、どういった経緯だったのですか。川口 高校時代、スポーツの怪我に悩まされたり、他にも色々とあったりで、競技者としては挫折しました。そんな時、ATCという職業について知り、本場である米国に留学することにしました。 まずはボストン郊外の大学で4年間ATCの勉強をしました。もともと手技に興味があったため、卒業直前に、さらに手技を学びたいと思い、カイロ、鍼灸、オステオパシーなどを比較した結果、せっかく本場にいることだし、カイロを学ぶことに決めました。 カイロ大学を比較した結果、NBCEの合格率も高かったUWSへの進学を決めました。卒業後、常勤講師として採用されたのは、よい上司や人との出会いに恵まれた結果だと思います。編集部 そうおっしゃいますが、かなり努力されたのではないですか。川口 「英語力のなさ」イコール「バカ」でないのに、米国人からはそうみなされることが悔しくて、ボストン時代は一生懸命勉強しました。UWSに入った頃には英語はそれなりにできるようになっていましたが、引き続き努力はしたつもりです。 「郷に入りては郷に従え」を心掛け、「留学生だから」と言われないようにと思っていました。よい成績を取ることが自分のアイデンティティのようになっていたかもしれません。今思い返せば、もう少し遊んで、世間や社会に接する時間をもっと持てばよかったかなとも思います。それは、働き始めてからやっとバランスが取れるようになってきました。編集部 遊びといえば、UW米国で教鞭をとる 若き日本人DC時代を創るカイロプラクター川口 潤 DC,ATCウエスタンステイツ大学 エクササイズ・スポーツサイエンス学科 助教2005年 マサチューセッツ州立ブリッジウォーター大学卒業 2008年 ウエスタンステイツ大学卒業2010年 同校常勤講師就任2014年 同校助教就任川口 潤(かわぐち じゅん)DC,ATC          プロフィールSの位置するポートランドは近年、「全米一住みたい街」にも選ばれ、注目されていますね。街や大学についても少し教えてください。川口 ポートランドは、西海岸にあり、買い物やおいしい食事が楽しめる都市機能を備える一方、車で少し郊外へ行くと自然が広がり、キャンプやスキーといったアウトドアも楽しめます。空気が乾燥していて気候もいいです。 UWSは、学生数が計700名程度の小規模な大学です。とはいえ、数年前、ブリムホールDCが学長に就任して以来、カイロ単科大学から総合大学に転換し、拡大を続けています。特にスポーツサイエンス修士プログラムは、この学位が取得できるカイロ大学は、UWSを含め、米国内で3校しかありませんから、全米から入学者が集まります。 また、数年前に建て替えた解剖実習施設は、メディカルスクールにもひけを取らない設備です。 とてもよい街であり、よい大学なので、多くの方に訪れて頂きたいです。※編集部注 インタビューは8月に実施し、所属・肩書等はインタビュー当時のものです。 アクティベータ器を使って、AMを本格的に取り入れると、臨床現場では、面白いように結果が出てきました。開業して2〜3年目位でしたが、患者さんの数も右肩上がりで増えました。そのような結果が出てくると同時に、軽い振動器具で治療効果が即効的に引き出されるアジャストメントの本質は何なのかという疑問も湧き上がってきました。 留学前から手による直接の矯正にこだわっていた私は、手による矯正とアクティベータ器による矯正と何が違うのだろうかという疑問や、矯正で何がどのように変化するのかという疑問を抱いていました。その疑問が解ける一つの糸口になったのが、アトラスオーソグナル(AO)という上部頸椎だけを器具で矯正するテクニックでした。パーマー大学留学中は様々なテクニックセミナーを受けていました。AOのカイロセミナーもその一つです。最初に参加したAO創始者のドクタースエットによる講演では、AOの矯正器具でアトラス(第一頸椎)がどのように変化するのかというビデオフロスコピーによる動画を見る機会に恵まれました。 その動画では、頸椎の前後面の映像で、アトラスがAOの器具で矯正された瞬間に、どのように動くのかが示されていました。瞬間的ではありましたが、スローモーションでアトラスは左右に揺らぎ、落ち着くところに落ち着いたという感じでした。その映像を見た後、「あ〜、なるほど」という感じで、その後のAMの臨床経験とその映像記憶とが結びついて、点と点がつながったようにアジャストの本質を整理することができました。 私なりにシンプルに要約すると、アジャストの本質は「振動刺激」であるといえます。振動刺激による波動が骨、関節に伝達され、周辺の神経受容器を刺激します。そして、複数の神経反射や神経経路を通じて、神経系がリセットされます。それに伴って、神経系によってコントロールされている筋肉系やその他の軟部組織も再学習され、正常な機能を取り戻して症状が改善されると私は理解しています。 アジャストの価値が、関節、骨、あるいはズレを正常な位置に戻すことにあるということは、私にとって過去の産物になりました。また、一般的にアジャストで強調されるキャビテーション(矯正音)は、サブラクセーションを改善したか否かの目安にはならないどころか、意味をなさなくなりました。(次号に続く)保井 志之 D.C.アジャストメントとは何か?(7)留学当時の保井D.C. 私と四肢テクニック教育の関わりは、カイロプラクティック大学入学直後に始まった。アイオワ州ダベンポートにあるパーマー・カイロプラクティック・カレッジでの最初の1学期を終えた後、他の多くの学生同様、私は授業料を稼ぐためのアルバイトを探していた。 学生課に行き、ペンキ塗り・芝生の手入れ・床の再仕上げ・簡単な機械の修理といった内容の仕事に申し込んだ。これは、フットレベラーズインソールの開発者であるモンテ・グリーンウォルトDCの屋敷の仕事だった。グリーンウォルトDCは仕事の出来に厳しく、派遣された多くの学生が脱落していたが、幸運にも私の仕事ぶりは気に入ってもらうことができた。これが、生涯にわたる彼との関係と友情の始まりだった。彼は、私の人生における大切な師匠となった。 1978年春、彼は私にフットレベラーズのインソールを作ってくれた。私は四肢、特に足のアジャストに興味を持つようになった。 私が「足はどうやってアジャストするんですか?」と尋ねたところ、彼は、やって見せる代わりに、大学図書館に行って解剖学テキストとあわせて足の模型を確認するよう言った。骨全部・関節面・靭帯付着部・足の筋動作を観察するよう指示された。学んだことを分析し、グリーンウォルトDCに足のアジャスト方法を報告することになった。これが、以後、私のキャリアを通じて、四肢のアジャストを追及するきっかけとなった。 私は、足・膝関節・股関節・手関節・肘関節・肩関節・TMJ・肋骨などのX線動画を観察しながら、カイロプラクティック院において一般的に見られる四肢のパターンに対するアジャスト方法を開発した。私は、素早く効果的なアジャストを教えるとともに、足を安定化させることの重要性を強調している。というのも、足を安定させて水平な土台を作ることによって、アジャストは四肢関節をより長く安定させることができるのだ。フットレベラーズ社との運命的な出会いマーク・シャレットDC

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