カイロタイムズ103号
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(3)2015年11月16日発行 カイロタイムズ 103号たす学生、つまり、カテゴリーI(A)のみにFICSがICCSPを授与することにしたのです。 明日最終試験が提供される予定でしたが、JFOCSがこの問題を解決するまで延期が決定しました。あとはJFCOS次第です。編集部 JCCSPを持っていると何ができますか。サンティアゴ 日本国内のスポーツ大会に参加できます。しかし、国外では、オリンピックなどの国際大会に参加することは認められません。編集部 カイロは日本では規制されていませんので、認定(証書)の有無にかかわらず、国内の大会に参加することは可能です。既に時間もお金も費やしてしまった今、その決定を告げられるのは、お気の毒ですね。サンティアゴ 残念なことであり、私たちも気の毒だと思います。FICSはJFOCSに何度も説明しましたので、JFOCSが誤解したのは明らかです。しかし、受講生は一生懸命学び、多くのことを身につけたと思いますよ。編集部 この件以外では、日本で提供されたプログラムについてどんな印象を持ちましたか。 サンティアゴ 世界有数の講師が来日し、すばらしい教育が提供されたと思います。編集部 ICCSPの第2期募集など、将来の計画を教えてください。サンティアゴ 第2期の提供もやぶさかではありませんが、次はもっと準備する必要がありますし、要件を満たさない人にはICCSPは与えられません。 FICSは、ICCSPの上級にあたる、3年のディプロマプログラムも提供しています。ICCSPは入り口と  国際スポーツカイロプラクティックプロフェッショナル認定(ICCSP)コースの講師として来日した、国際スポーツカイロプラクティック連盟(FICS)事務局長フィリップ・サンティアゴDCに、同コースやスポーツカイロプラクティックについて聞いた。編集部 FICSとICCSPについて簡単にご説明頂けますか。サンティアゴDC(以下サンティアゴ) FICSは国際スポーツカイロプラクティック連盟を意味し、世界のスポーツカイロ教育の基準を設定しています。37か国の加盟国から成り、各国組織には個人会員が所属しています。日本代表はJFOCSです。編集部 ICCSPとCCSPの違いは何ですか。サンティアゴ 私は、スポーツ業界からの要望と、スポーツカイロの標準化の必要性から1970年代にCCSPプログラムを開発しました。CCSPは資格化し、提供団体や体系におけるいくつかの変更の後、米国の団体がCCSPを商標登録し、取得者から資格維持費を徴収するようになりました。この団体は商標を管理するために米国外でこのプログラムを提供することを禁じました。 これは私が当初思い描いたこととは違いました。私は米国外でも教えていましたし、FICSの初代教育委員だったため、国際カイロプラクティックスポーツサイエンスディプロマ(ICSSD)という別の名前を使用して、このプログラムをFICSのもとで提供することにしました。 その後、FICSの事務局長になった時、スポーツカイロプラクティック資格には様々な名称があり、紛らわしかったため、ICSSDからICCSPに名称変更しました。スポーツ大会へのFICSからの派遣を希望する場合、ICCSPが必要です。ICSSD取得者は自動的にICCSPを付与されます。編集部 米国のカイロプラクターはどうなりますか。サンティアゴ CCSP取得者は約5000名いますが、毎年の更新料がネックとなり、その大半が更新はしていません。とはいえ、優秀なスポーツ専門家であることに変わりはありませんから、FICSでは、CCSPをICCSPに変換する1日講習を提供しています。 世界中に1000名以上、ICCSP取得者がいます。ICCSPの利点は、一度取得すれば、毎年継続教育を受けたり、更新料を払ったりする必要がないことです。しかし、実際に国際大会に参加するには、最新の知識や技術を持っている必要があります。編集部 JFOCSは当初、コースの終了時にはICCSPが取得できると謳い、受講生募集をしました。しかし、CSC修了者にはICCSPは授与されず、代わりにJCCSPが与えられることになったと聞きました。詳細や経緯を教えて頂けますか。サンティアゴ WHOガイドラインカテゴリーⅠ(A)に属する受講生は問題ありませんが、Ⅱ(B)の人はそもそもⅠCCSP受講資格がありません。したがって、ルールに従うと、CSC修了者は聴講はできても、認定は与えられないはずでしたが、今回、FICSは、日本の事情を考慮し、学位を持つCSCも認定するという日本だけの特別措置を提示しました。 しかし、JFOCSは、学位を持たないCSCにも認定を付与するようFICSに何度も要求しました。FICSは、世界中で同じ基準を維持する必要がありますから、この要求を受け入れることはできませんでした。 JFOCS・JACはこの問題についてWFCに仲裁を求めました。JFOCS・JACは、学位を持たないCSCを含む日本の受講生全員にICCSPを与えるよう、WFCがFICSを説得することを期待したのです。FICSとWFCは5月にアテネで話し合いを持ち、妥協案を生み出しました。現在プログラムを受講している日本の学生全員にJFOCSがJCCSPを、その内、本来要件を満して優れたプログラムですが、より高度な教育が必要だと思います。将来はこのディプロマを修士にしたいと思っています。 編集部 修士はどこが発行するのですか。サンティアゴ プログラム自体は大学が提供し、ちょうどNBCEのように、FICSは試験を提供する形が理想だと個人的には思っています。編集部 それはいいですね。初来日とのことですが、日本滞在はいかがですか。サンティアゴ 人々がとても親切ですし、日本が大好きになりました。受講者も大変熱心で、日本語が話せれば、皆さんに直接教えられるのにと思うほどです。編集部 ご自身のことについても少しお話し頂けますか。サンティアゴ 米国で臨床をしながら、世界中を飛び回って教えています。ニューヨーク・カイロプラクティック・カレッジで准教授もしています。 父がスポーツカイロプラクターで私は二代目ということになります。父だけでなく家族中がカイロプラクターなので、これまでの人生で、病院に行ったこともなければ、薬を飲んだこともありません。 5年間プロのサッカー選手として活動し、10年間大学チームでコーチをしました。サッカーでケガをした時も、父に治してもらいました。私はカイロを心から信じています。編集部 日本の読者に伝えたいことがありますか。サンティアゴ スポーツこそが日本のカイロの突破口となるかもしれません。というのは、まず、プロでないにしろ、誰もがスポーツはします。 次に、オリンピック開催決定、リトルリーグワールドシリーズでの優勝、女子サッカーFICS事務局長インタビュー世界のキーパーソンにインタビューサンティアゴDC 10月3日(土)〜11日(日)、台湾桃園市にて、The Power of Silenceをスローガンに2015年アジア太平洋ろう者競技大会が行われました。競技数は12種目、アジア・太平洋オセアニアから22カ国が参加しました。私も、鍼灸師、柔道整復師、整形外科医とともに、水泳日本代表選手のメディカルスタッフとして帯同しました。 チームは中学生から29歳の社会人までの選手達で構成されています。全日本選手権で上位に入る選手も含まれています。 私だけが、選手団・役員の中で初対面で、手話もできませんでした。監督、コーチもろう者の方々です。幸い、手話通訳が各種目のチームに1人いたので助かりました。私も、普段より口を大きく開けて話すようにし、身振り手振りを加え、知っている手話も使いました。 今回メディカルスタッフが各専門分野の先生で構成されていましたので、うまく仕事の分担ができました。日本出国前日に、陸上トレーニングで足首を捻挫したメダル確実の選手がいました。大会前5日間、練習時間がありましたので、メディカルスタッフで話し合った結果、最初の2日は足首の治療に専念することにしました。足首を鍼灸師の先生、それ以外の部位を私が担当しました。最初のアジャストと治療で足首の痛みが軽減し、体重をかけて歩いてもほとんど痛みを感じなくなりました。本人も他のスタッフも驚いていましたが、それがカイロプラクティックアジャストメントによるカラダの反応であり、身体を瞬時に適応させる神経のすごいところです。 初日の午前練習後は選手も私のことを知らないので、ケアを受けるのを躊躇っていましたが、鍼灸師、柔道整復師の先生から促され、全員のカラダのチェックを行いました。普段からどの患者にも行う検査プロトコルがありますので、上肢下肢、脊椎骨盤を含め、骨格、筋肉の特徴、可動域検査をしました。それが良かったのか、各選手は自分のカラダの状態が気になるようで、改善点、普段出来るトレーニング、ストレッチのアドバイスを求められました。 捻挫した選手も再度ケアに来て、足首を触らずアジャスト、治療をしたことで回復に繋がり、信頼も得ました。初日の午後練習後には他の選手達も順番に予約を入れてくれて、連日深夜までカラダのチェックにあたりました。 アジャストを受けるのは全員初めてで、最初は戸惑っている様子でした。しかしプールでの練習後、どの選手もカラダに変化があったようで、ストレッチ時に柔軟性が向上したとか、右肩を全力でかいても痛くないとか、首が回るのでブレスが楽とか、バタフライでカラダが伸びるとか、ストロークが6つも減らせたとか感想を教えてくれました。 アジャストするにあたって検査中、耳が全く聞こえない選手程、五感の聴覚以外の部分がすごく発達しているように感じました。(次号に続く)日本水泳選手と上村DC(左下)パーマー・カイロプラクティック・カレッジ卒Okai Chiropractic(米国)、Jリーグアルビレックス新潟、Sリーグアルビレックス新潟シンガポールを経て、現在、ウエムラカイロプラクティックオフィス院長上村 高史(うえむら たかし)DC           プロフィール寄 稿アジア太平洋ろう者  競技大会帯同報告(前編)上 村 高 史 DCチームのワールドカップ決勝進出、最近ではラグビーのワールドカップで常勝国南アフリカに勝利するなど、日本のスポーツは成長しています。 最後に、私は1992年、バルセロナオリンピックで、米国で初めてカイロプラクターとして米国医療チームの一員に選ばれました。色々大変でしたが、私はチームで一番忙しいドクターとなりました。選手はカイロを望んだのです。今や、医療チームのトップはカイロプラクターです。編集部 米国医療チームのメンバーだったのですね。FICSのメンバーとしての派遣との違いを教えてください。サンティアゴ 私は米国医療チームのメンバーとしてオリンピックに派遣されました。数回にわたり、オリンピックトレーニングセンターや国際スポーツ大会で査定され、全部に合格して初めてメンバーに選出されますが、治療できるのは、米国選手だけです。 一方FICSは、全ての国に対してカイロプラクターを供給します。医療チームを持たない国やチームの中にカイロプラクターがいない国がたくさんありますから、そういった国はFICSに依頼してきます。そしてFICSは世界で最も優れたカイロプラクターを派遣するのです。これが、東京オリンピックで実現したらすばらしいことだと思います。 私の父が臨床をしていた頃、NY州ではカイロは非合法でした。父は、同じく非合法だった鍼灸もニクソン大統領時代に日本・韓国・中国で学びました。今や、カイロも鍼灸も合法です。 物事は変わるし、真実というのは明らかになるのです。日本でもそうなることを期待しています。上 村 高 史 DC

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