カイロタイムズ102号
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(5)2015年8月17日発行 カイロタイムズ 102号 コンサルタントをやっているとよく相談を受ける「先延ばし」について今日はお話ししようと思う。 「9時になったらやろう」「このテレビを見終わったらやろう」「明日からがんばろう」など。でも結局できずにそのまま毎日が過ぎ去っていく。そんな経験はないだろうか。この「先延ばし癖」は危険だ。早目に改善しないと、未来の自分にどんどんつけが回ってくる。非常につらく苦しい人生になってしまう。 世の中には先延ばしにしてしまうものがたくさんある。例えば仕事、メールの返信、ブログの更新、メルマガの発行、ダイエット、請求書の支払いなど。どの先延ばしも、良いことは1つもないのだが、最もやめたほうが良いのが、「支払いの先延ばし」だ。請求書が届いても、期限ギリギリまで払わないとか、ひどくなれば期限過ぎても、督促が来るまで払わない、なんて人もいるかもしれない。セミナー受講代金や商品の仕入れ代金だけじゃない。他にも税金や保険料だったり、仲間内でのちょっとしたお金の貸し借りもそうだ。 支払いが遅れることで個人や法人の信用情報に傷がついてしまうかもしれないし、最悪の場合は人間としての信用を失ってしまうかもしれない。また、私たちはいわゆる「先生」と言われる立場なので、信用がなくなってしまっては、誰も身体と心を任せてくれなくなるかもしれない。 いろいろデメリットがあるのだが、私たちが経営者や事業者として最も考えなければならないのが「正しい経営判断ができなくなる」ということだ。支払わなければならないものがあって、先延ばしにしたとしてもその支払がなくなることはほとんどない。なくならない、ということは、どんどんと累積されていくのだ。すると、いつか多額をまとめて支払わなければならなくなる。そうなったときに一気に経費が増えることになる。キャッシュフローも断然悪くなる。それも何か月も前に発生しているはずのものを一気に支払うので、実際にその月にいくらの経費が発生しているのかが不明瞭になってしまう。 逆に、毎月きちんと当月発生した分を支払っていくことで、事業がどのように回っているのかが正しく分かってくる。収支バランスが合っているのかが分かる。だからこそ、どこに経費を掛けていいのかが分かるのだ。 これをしていなければ多く先延ばしvol.8vol.8の場合、過剰投資になる。過剰な経費を使っていても、そのことが分からなくなる。その結果、キャッシュが回らなくなり、どこかからお金を調達しなければならなくなる。そして調達できなければ倒産だ。 特に、数字が苦手な先生や、経営分析が嫌いな先生は注意が必要だ。支払や請求が発生したら期限が来ていなくても、なるべく早く支払をすることで解決できる。 今年ももう半分が過ぎた。残りの半年の一つの自分のルールにしてみてはいかがだろうか。 今日は私自身もこの15年実践していて、ここ数年日本でも増えてきた「栄養療法」に関わる話を1つ紹介します。 私の栄養カウンセリングには、健康管理、栄養摂取の相談を希望されるクライアントが来られますが、その70%ほどは、何らかのサプリメントを既に飲んでいる方です。さらに、その内の80%ほどは、栄養療法、分子栄養学、分子矯正栄養学などの知識とスキルを持った医師や歯科医、栄養士、サプリメントスぺシャリストが在籍する施設を受診し、血液、尿、毛髪等の検査結果をもとに指導されたサプリメントを飲んでいる方たちです。 私はその方たちに次の質問をします。「なぜこのサプリメントを飲んでいるのですか」と。すると、全員が異口同音に「この栄養素が不足しているから、サプリメントで補ってくださいと先生に言われました」と答えます。サプリメントを指導している栄養療法クリニックでは日常的に行われている光景ですが、私にとっては不思議この上ない光景の1つでもあります。 そのクライアントに私はこう質問します。「朝昼夕の食事は全く食べていないのですか」多くのクライアントが「いえ、ちゃんと3食しっかり食べています」中には「食材には気も遣っていますが、お金も使っていますよ」と答える人もいます。次に「サプリメントを飲むように指導された先生は、3度の食事を食べているのに、なぜその栄養素が不足しているのかを説明してくれましたか」と質問します。ほとんどのクライアントは、「いいえ」と答え、勘のいい人は「そうですよね、私は3度ともしっかり食事しているのに、おまけにオーガニック野菜しか食べていないのに、食材に含まれている栄養素がどうして不足するのかしら」と気付きます。 私がアメリカで栄養療法を学んだ際、TAHOMA CLINICのライト博士から徹底的に教えられたのは、食材に有り余るほど含まれている栄養素がなぜ不足するのか背景を探ることが、クライアントの持つ症状、特に慢性化した症状の原因探索には欠かせないということでした。そして、その原因となる可能性が最も高い「食材の消化分解能力と吸収機能の確認」を徹底的に教えられました。この教えは、今の私の栄養療法の根底にあります。 不足している可能性のある栄養素を指摘され、その不足をサプリメントで補いましょうと言われても、不足している原因がどこにあるのかを理解・納得できません。そして、症状の改善に必要な、食事の仕方、消化分解能力の有無にサプリメントを飲む前に理解しておくべきことは気を遣うことなくサプリメントを飲み始めても、実感できるような状態を迎えることは難しいと思います。 鉄が不足している貧血の女性に、吸収がいいからとヘム鉄を飲むように指導し、1カ月後の血液検査の結果で鉄もフェリチンも上昇していなければ、「今日からヘム鉄を倍量飲んでください」ではなく、なぜ吸収できていないのかの原因背景を探るべきで、多くの場合、それは食材からの鉄の吸収不良に関わっています。 サプリメントを飲む消費者側も、「消化分解・吸収」のプロセスを理解して「空腹を満たすための食事」ではなく「栄養素を吸収するための食事」を意識して、サプリメントを上手に使うことも必要だと思います。 アメリカ合衆国運輸省が管理運営する「商業ドライバーメディカル検査官」という国家資格があるのですが、今回私はその資格を取得することにしました。先日出席したセミナーでドクターなら2〜3日勉強すれば受かるという言葉を信じてのことでしたが…。 アメリカはこの莫大な地に無料のハイウェーが巡らされており、長距離トラックやバスが非常に多く走っています。そのため彼らが事故を起こすと大惨事になりかねないため、7年前から厳しい基準を設け、検査に合格しないと運転できないようになりました。この試験官にMD、DC、オステパシーだけがなれるというわけです。 勉強を始めたら2〜3日なんてとんでもない、この処方箋の薬を飲んだら何カ月検査を受けられない、この手術を受けていたりこの病気を持っていたら1年運転できない等、普段私達の臨床には関係ない質問が沢山あり、薬や手術の名前などを覚えたりと毎日格闘中です。 ドライバーが受験する実際の検査は、視力、血圧、聴力、尿検査で健康体の人なら10分で合格です。しかし相手は1日中運転するのが仕事の運転手、多くは体重過多で数々の医学的問題を抱えている可能性があるため、過去の病歴、手術歴、処方箋薬の確認をして合否を決めていきます。 ただこれはカイロプラクティックにとって素晴らしい機会だと思いました。全米のトラックやバス運転手全員がこの検査を2年に1度受けなければならないのですから、毎年何十万と言うドライバーがカイロプラクティックオフィスを訪れる可能性があるのです。検査をしながらもカイロプラクティックに関する話はできます。また、カイロプラクティックを知らなかった運転手でも、合否を与える資格を持っている検査官がカイロプラクターということが分かれば、私達がドクターであるという認識を正しく持ってもらえる良い機会になるはずです。これからもいろいろな形でカイロプラクティックの素晴らしさを伝えていけたらと思います。カイロプラクティックの新しい可能性中島 一光DC 今回のテーマですが、小児カイロに関して、カイロプラクターからの良くある質問の中から、赤ちゃんや子供たちのとても小さな椎骨から、どのように触診および検査してサブラクセーションを見つけるのか、そしてアジャストメントの頻度やケアプランはどのように立てるのかといったことについてお話ししたいと思います。 まずは小児カイロにおけるサブラクセーションの分析や触知について、それぞれのテクニックによっても異なるかと思いますが、特に新生児や乳児では、そのテクニックにおける一般的な方法でのサブラクセーションの発見は、困難を伴う場合も多くあると感じます。そのため小児カイロ分野では、特に「視診」と「観察」が重要となります。 例えば、首もすわり、運動能力も発達中の、生後11カ月の赤ちゃんのサブラクセーションを分析する場合。 前方からの視診では、頭部(頭蓋骨)や顔、内眼角(Medial Canthus)の左右対称性をチェックし、頭蓋骨および頭蓋内圧の問題が示唆されるか否かを調べます。さらに、眉間や鼻、下顎骨、胸骨周辺部までの正中線上での整列を確認し、頭部の傾き(Head Tilt)では、頭部が左右どちらかに、顕著に傾いているか、耳や乳様突起の位置は対称であるか、などの項目をチェックすることで、後頭骨および上部頸椎におけるサブラクセーションの可能性を探ります。加えて、側方からの視診では、頭部の前方または後方への明らかな移動や、耳や肩の位置、頭部や頸部の屈曲や伸展のようすなどから、後頭骨と上部頸椎や、下部頸椎から上部胸椎までをチェックします。 さらに、生後11カ月の赤ちゃんですので、寝返りやお座り、ハイハイやつかまり立ちの様子も注意深く観察すると、とても重要な所見につながることが多くあります。 例を挙げると、向き癖や四肢における緊張のチェックなど、仰向け姿勢での左右対称性や、顕著に片側の寝がえりが不得意かどうか。うつ伏せ姿勢で頭を持ち上げるのが苦手かどうか。またハイハイの様子からは、真っ直ぐに進むか、または片方に曲がる傾向があるか、もしくはハイハイそのものを嫌がるか、などもチェックします。このような場合には、後頭骨や上部頸椎、加えて仙骨を中心とした骨盤部のサブラクセーション、または脊柱全体を包む硬膜のねじれの可能性が示唆されます。(次号に続く)小児カイロの臨床的考察vol.6

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