カイロタイムズ101号
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(8)2015年5月11日発行 カイロタイムズ 101号この度、弊紙にて、世界中のカイロプラクティッククリニックで使用されている「バックトーク社」(米国)の患者教育ツール取扱を開始することとなりました。アドバイス頂いた大陰DCおよび、ご協力頂いたWFC前会長リチャーズDCとJAC様にお礼申し上げます。また、患者教育の重要性に関する大陰DCの寄稿(3面)もご参照ください。なお、取扱商品の詳細は本紙1面に掲載しており、販売は弊紙ホームページにて行っています。今後は、情報提供だけでなく、価値ある商品の提供も含め、読者の皆様のお役に立てるよう、ますます精進して参りたいと思います。編集後記カイロタイムズでは、皆様からの寄稿や情報提供を募集しております。〒160-0023東京都新宿区西新宿3-1-5新宿嘉泉ビル8FTEL0120-223-505 FAX0120-223-509E-mail:info@chiro-times.co.jpURL:http://www.chiro-times.co.jp/日本医科学出販株式会社 カイロタイムズ編集部第48回ダイレクトテクニック仲井康二DC, CCSP 結腸は上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸、そして直腸も入れても構わないと思う。右下腹部の盲腸から上方へ上行結腸としてのぼる。この部分で多くの水分が吸収される。そして胆嚢の右側から右季肋部を通り、右結腸曲で左側に急に曲がる。横行結腸は軽く下がりながら臍部を横切り、左季肋部へ上行する。脾臓の下方が左結腸曲となり、下行結腸に続く。S状結腸は骨盤上口から仙骨の前面を横切り、第3仙骨の高さで正中に向かって曲がり、最終的に直腸に続く。 上行結腸と下行結腸は、後腹壁に半ば埋まるように固定されているが、横行結腸とS状結腸は、それぞれ横行結腸間膜とS状結腸間膜に吊るされている状態なので、多少は動くことができる。 結腸には縦走筋から成る幅約8㎜の縦のスジ(大腸ひも)が3本、ほぼ等間隔でついており、縦の方向に緩やかな蛇腹状を形成している(図1)。 大腸は小腸から送られてきた“び粥”から水分と電解質を吸収して、固形の老廃物として便を形成して排泄する。吸収の大部分は近位半分の結腸で行われると考えられ(吸収結腸)、遠位の結腸は主に貯蔵の働きを担うと考えられている。 盲腸と上行結腸における輪状筋と縦走筋の平滑筋が同時に収縮して行う隆起の動きをハウストレーションと呼び、糞便を移動させる総蠕動をマスムーブメントと呼ぶ。以上が大腸における基本的な解剖学的知識になると思う。 今、大腸は色々な面で注目されている。 まず水分の吸収は大腸で行われることは認識されているが、飲みこんだ水分が1分足らずで脳や膀胱にまで到達することが証明されている。これはどう考えても大腸からの吸収だとは考え難い。何故なら口腔内から食道~胃~小腸~大腸まで5m以上はあるので、全ての水分が上行結腸で吸収されるとしたら、細部に1分以内に到達するとは考え難い。胃や小腸からも水分が吸収されると考えられるが、水分が、如何に吸収されるのだろうか。単にH2Oとしてではなく、更なる考察が必要となるのであろう。 次に大腸菌が注目されている。一般に言われる善玉菌と悪玉菌で、小腸にも菌が存在していることが判明している。一昔前は善玉菌を増やしましょうと、乳酸菌飲料やヨーグルトが注目された。ヨーグルトを一生懸命に摂取している人達も多い。しかし善玉菌は胃酸で壊され、大腸まで届かないことが証明されている。またヨーグルトに含まれる動物性善玉菌より、納豆・味噌・しょう油・漬物などの植物性の発酵食品に含まれる善玉菌の方が、身体に良いとする研究もある。昔の日本人は多くの発酵した食べ物を摂取することで、身体の細菌バランスを整えていた事実を知り、日本食の大切さを再認識すべき時であるとも思う。 最先端の科学者による多くの大腸菌を使ったさまざまな研究が行われている。それは大腸菌の構造が他の生き物よりも単純で、遺伝子が少なくて使いやすいという理由がある。だがその最も単純な構造をしている大腸菌を、人間はいまだに創り出すこともできない。善玉大腸菌はビタミンKをはじめ、多くのビタミンB群を作り出していることも分かっているし、私たちの身体は、多くのバクテリアと共存して初めて生きていけることも証明されている。無菌状態の生き物と、そうでない生き物との生存率を求めた研究もされているが、まだはっきりとした結果は得られていない。 バクテリアは大腸だけではなく、身体中に存在する。全身のバクテリアを全部を集めると、肝臓と同じくらいの量になると言われている。人間はバクテリアと共存していると表現しても過言ではない。しかし抗生物質は、そのバクテリアも殺してしまう。身体が必要としない菌を除くために投薬される抗生物質ではあるが、身体に必要、または助けてくれているバクテリアまでも殺菌してしまう。当然ながら、ビタミンKやB群も作れなくなる。日本のような長期にわたる抗生物質の投与は、他の国では有り得ない。 また10年程前までは、「宿便を取り除こう」と唄っていた健康食品が氾濫していたように思う。しかし内視鏡検査により、下剤で洗浄した大腸からは宿便が認められず、“宿便”の話題が下火になったように思える。  大腸に対するカイロプラクティック的な考えはどうだろう。ガンステッドは第4腰椎の横突起の圧痛、鎖骨の外側下縁部の疼痛、頭頂骨痛、第12肋骨痛などを挙げ、痙攣性の大腸炎に対しては、副交感神経へのアジャスト、便秘は胆汁の生産減少が原因だとしている。また慢性的な便秘には交感神経と副交感神経へのアジャストを勧めている。また不規則な便の時は、食事中の水分摂取を控えさせ、第11~12胸椎へのアジャストを勧めている。 AK(アプライド・キネシオロジー)では、大腸の機能不全は、精製された砂糖や炭水化物の大量摂取と、食物繊維の摂取量の低下を原因としている。また大腸の関連筋は大腿筋膜張筋が挙げられる。 また排便反射として臍とASISを三等分した、下1/3の部分を反射点として用いることが出来る。この部分には自律神経が集中しているので、自律神経の反射点として使うことも可能となる。ちなみに排便を促すのが副交感神経であり、阻止するのが交感神経となる。つまり便秘の因子として、交感神経優位を考慮する必要がある。第4腰椎結 腸(図1)右結腸(肝)曲上行結腸大腸ヒモ回盲弁盲腸大腸ヒモ横行結腸自由ヒモ半月ヒダ虫垂直腸外肛門括約筋肛門挙筋S状結腸自由ヒモ下行結腸左結腸(脾)曲間膜ヒモ カイロ教育のあり方を決める重要な要素は何だろうか。教育の観点から「カイロとは」の因数分解を試みると、(脊椎に対する手技の実践)×(手技を正当化できるコンセプト)と表すことができよう。かつてD.D.パーマーもこの因数分解を自分なりにアレンジして、まずは「一人称」としてカイロを創始した。教え子のあなたや患者のあなたに応用されて「二人称」となったカイロは、次々と設立されたスクールとその卒業生によって米国をはじめ世界に浸透していった。まもなくカイロが米国医学界から強い反発を受けるに至り、早々に「三人称」へと昇格した。 カイロにおける脊椎に対する手技の教育とそれを正当化できるコンセプトの教育は、草創期から今日まで一貫して「三人称」性が意識されて行われてきた。だからといって、昔と今とでその中身がすっかり同じかと言えばそうではない。同じ「三人称」でも現代社会におけるそれは、関わる人の数や情報量の多さにおいて昔とは桁が違うのだ。 脊椎に対する手技の、今という時代背景における「三人称」たる側面は何か。これについては次回の主題とさせていただきたい。ではもう一方の、手技を正当化できるコンセプトについてはどうか。これが世界レベルの難題であることは周知の事実である。現時点までの私見の一部は拙著*に示したので参照されたい。とはいえ、本稿で全く触れないわけにはいくまい。 虎穴に踏み入る覚悟で少しだけ触れておこう。錦の御旗よろしく、哲学と称する草創期の特定の考えに正統やら伝統という価値を見出し、それを社会への正当化に利用する方法がある。考える苦労のないこの方法は便利で楽チンだ。しかし、哲学の本質は「哲学する」ことにあるのであって、「哲学」を守ることにはない。考えるプロセスを含まないのであればいっそ哲学と呼ばず、神話や物語、宗旨、教義などのように改称したらよろしい。 カイロを物語で説明するのは最小限にとどめ、誰もが「なるほどそうだ」と納得できるような原理を提示すること、これに筆者はこだわっている。やむを得ず物語を使うにしても、リアリティのあるフィクションでなければならない。ファンタジーにリアリティがあった時代はもはや過去、時代錯誤にならないよう気をつけたい。*『ヘルシー・エイジングに役立つカイロプラクティック』(医学と看護社)2014カイロ教育を 考えるヒント③Vol.4、 、、 、 JACは全国5つの地域ブロックに分かれ、それぞれ会員対象のセミナーや意見交換、地域活動などが行われています。地域ブロックは北海道ブロック、東北ブロック、関東甲信越ブロック、西日本ブロック、九州ブロックと分かれており、全会員はいずれかのブロックに所属しています。 私は2012年より北海道ブロック長を務め、ブロック総会やセミナーを企画しております。その他には地域のスポーツ大会がある際にはボランティアの会員を派遣したりしています。現在は2014年に独立行政法人国民生活センターの要請で開講したJACによる「安全教育プログラム」受講希望者に対して説明会を定期的に行っています。北海道でもカイロプラクティックのセミナーを受講したいという希望者は多いのですが、JACはWFC政策宣言を遵守しており、WHO基準カイロプラクター以外へのセミナーを行うことはできません。WHO基準のカイロプラクティック教育を受ける機会のなかった施術者の先生方には、利用者の安全性の確保、ならびに将来的にセミナーを受けられるというメリットも含めてぜひ安全教育プログラムを受講していただきたいと思います。 北海道では、櫻庭豊氏、北海道治療師会理事長であった吉橋績氏、そのご子息でRMIT大学カイロプラクティック学科日本校(現東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック)の立ち上げに貢献された吉橋昌厚氏など先人たちの活躍によりカイロ業界が今日まで続いています。 北海道は広いエリアに会員が分布し、冬は悪天候などで会員が頻繁に集まることはなかなか難しい状況です。しかしながら我々は地道にWHO基準のカイロプラクティックが正しく普及するよう引き続き活動を行ってまいりたいと思います。カイロプラクティックかまた治療院院長1986年 日本カイロプラクティック総連盟(JCA)認定1990年 柔道整復師免許証取得1999年 RMIT大学日本校CSCプログラム卒2012年 日本カイロプラクターズ協会(JAC)北海道ブロック長就任鎌田 とおる(かまた とおる)        プロフィール JAC北海道ブロック長 鎌 田 とおるJAC北海道ブロックの活動鎌田 とおる氏vol.7

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