カイロタイムズ100号
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(2)2015年2月1日発行 カイロタイムズ 100号業界動向業界動向業界動向 私の最初の留学先はサンフランシスコでした。半年ほど語学学校に通い、そこからアイオワ州のコミュニティーカレッジに入学して、英語と、パーマー大学の入学に必要な化学や物理などの必須科目を取りました。 初めてアメリカの大学生に交じって日本人一人で無機化学の講義を受けた時のことは今でも忘れられません。大学講師が話している内容がほとんど聞き取れません。講義を録音して繰り返し聞きました。それでもよく理解できないので、「この先、大丈夫だろうか?」という不安な毎日が続きました。唯一の頼りになったのが書き写した講義ノートと教科書でした。辞書を引きながら、内容を解読するかのように勉強をすすめて、なんとか単位を修得することができました。 そのような英語力のハンディーを抱えながら、パーマー大学入学に必要な自然科学系の基礎科目の単位修得とTOFELの英語試験をパスして、1991年にパーマー大学に入学しました。そして、そこからさらに大変な留学生活が始まりました。最初の1〜2年の基礎医学の履修が最も過酷な期間でした。学期中は毎週のように試験があり、朝から晩まで、いかにして睡眠時間を削って、勉強時間を確保するかを工夫していました。 そんな過酷なカリキュラムを乗り切ることができたのもクラスメートのお蔭で、支えてくれた友人には心から感謝しています。手技療法にこだわっての留学でしたが、ここでみっちり基礎医学教育を受けたことは、知識というよりも、厳しいカリキュラムを乗り越えてきたという意味で、後々の集中力や計画力において役立っているように思います。 当時、パーマー大学では7学期(3年4カ月)の内、最初の3学期がとても大変で、4学期頃より臨床的な手法を学び始めます。最初の留学の動機が手技療法へのこだわりでしたので、大学内でのテクニッククラブや学外でのテクニック・セミナーにも興味を注いでいました。ハードルを乗り越えるごとに私の英語力も徐々に上がってきていましたので、少しずつではありましたが、テクニックに関しての議論も友人と交わすことができるようになっていました。(次号に続く)保井 志之 D.C.留学当時の保井D.C.英語のハンディーを抱えながらの留学生活(4) 世界保健機関(WHO)により2005年に発行された文書「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」の完成については、個人的に特に満足している。WHOは国連システムにおける政府間組織であり、現在194カ国が加盟している。WHOの長期目標は、人類最大限の健康の実現である。 WHOでの私の役割は、原稿作成、事実や意見の検証、全体の最終合意を得ることであった。私の任命は、世界カイロプラクティック連合(WFC)を通じての、長年のWHOへの協力を評価されてのことだったが、任命の条件は、どの団体にも属していないこと、WHOの目的を理解していること、専門家としての意見を提供できることであった。同時に、厳格なガイドラインの枠組みに従いつつも、可能な限り、全カイロプラクターの意見を集約することが要求された。私からは、できるだけ匿名性を維持すること、草稿変更の際には必ず相談してもらうこと、内容に関する討議には全て参加することという条件を出した。初稿は2004年3月に完成し、同年7月に全世界に配布され、コメントや意見が募集された。180以上の反応があり、提出された提案を同年いっぱいかけて検討した。改訂稿が作成され、同年12月にイタリア・ミラノにて公開討論会が開催された。2005年2月に最終稿が完成し、11月に発行された。 初稿から大きく変更となった事項もあった。例えば、タイトルは、当初は「カイロプラクティックの教育と訓練に関するWHOガイドライン」だった。総ページ数は56ページから44ページに、参考文献数も126から62に削減された。「ヘルスケアにおけるカイロプラクターの役割と立場」を述べた段落や、「カイロプラクティックに関する研究」全章も削除された。また、国際カイロプラクティック教育評議会(CCEI)モデルの基準に関する記述や、「カイロプラクティックの領域」、「訓練基準」に関する記述も削除された。(次号に続く)WHOガイドライン①(4)元WFC会長 ジョン・スウィニーDCれた。 また、同団体は、20152月1日(日)に実施予定の第5回JCR登録試験申込を同年1月9日(金)で締め切った。 日本カイロプロクティック登録機構(JCR)は、2014年10月16日(木)、厚生労働省を訪問し、医政局医事課長にJCR登録カイロプラクター名簿を提出し、受理さJCR厚生労働省に登録名簿提出 2014年10月29日(水)〜11月1日(土)、米国フロリダ州マイアミにおいて、世界カイロプラクティック連合(WFC)と米国カイロプラクティック大学協会(ACC)の共同開催による教育会議が開催され、17カ国約140名が参加した。 WFC教育会議は、隔年開催である世界大会のない年に実施される。WFC―ACC教育会議開催 2015年5月13日(水)〜16日(土)、ギリシャアテ2015年WFC世界大会詳細発表ネにおいて開催されるWFC世界大会のプログラム等詳細が、WFCホームページ上で公開され、オンライン参加登録も開始された。 会場はアテネヒルトンホテル。様々な技術・理論セミナーやワークショップに加え、事前に募集され、審査を通過した論文の発表などが実施される。また、観光ツアー、夕食会などのイベントも開催される。ビューティーワールドウエスト開催 2014年10月20日(月)〜22日(水)、インテックス大阪にて「ビューティーワールドウエストジャパン」が開催された。来場者数は3日間のべ16,576名(主催者発表)。 同イベントは毎年、東京、大阪、福岡で開催される日本最大の国際総合ビューティー見本市であり、2014年で17回目の開催。大阪での開催は今回で9回目。サロンビジネスエリア、リテールビジネスエリアに分かれた会場内では、海外20社を含む217社がブースを出展、来場者は商品やサービスを体験し、情報収集を行った。第5回ICoC開催  2014年11月16日(日)、韓国・ソウル市にてカイロプラクティック国際会議(ICoC)が開催された。「アジアのカイロプラクティック教育の新時代」をテーマに掲げた第5回会議には、日韓両国から約50名が参加した。(1面に関連記事) 私は東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(TCC)で講師をしておりますので、今回は私が担当する講義の一つである「神経学検査」で使用している書籍をご紹介します。 病巣判断の手段というだけでなく、施術上のリスクマネジメントという観点からも、カイロプラクターには、正確な神経学検査技術の習得が必要であると考えています。この神経学領域の古典書である『整形外科医のための神経学図説(南山堂)』や『ベッドサイドの神経の診かた(南山堂)』は、お世話になった先生も多いのではないかと思います。もちろん私もその一人です。しかし、診断学としての内容と比較すると検査手技に関する記述が少ないため、実際に検査手技を学ぶ講義の参考書としてはあまり向いていないとも感じていました。 今回ご紹介する『神経診察クローズアップ(メジカルビュー社)』は、診断学としての内容もさることながら、検査手技の流れや正常所見と異常所見の差が、要点とともにカラーイラストで描かれている点がすばらしいと思います。 例えば、内耳神経の検査であるリンネ試験では、「音が聞こえなくなったら言ってください」という声掛けをすることや、「音叉の柄の先が乳様突起にきちんと当たっているかを確認すること」といった要点が、検査の一連の流れのイラストに付記されています。これにより、私のように文字を読むのが苦手な人でも検査手技が理解しやすくなっています。 普段は医学書コーナーで本を探していても、内容と価格を秤にかけてしまいがちなのですが、この本は「なんて分かりやすく検査方法が描かれているのだろう」と購入を即決した記憶があります。 適切な所見を出せないまま施術をして症状が悪化すれば、カイロプラクターとしての信用を失いかねません。そういった観点からも、検査手技の向上は重要であり、本書が役に立つのではないかと思います。書籍情報『神経診察クローズアップ』鈴木則宏編集 メジカルビュー社(改訂第2版1月末発売。下部広告参照)三輪 健彦 氏東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(TCC)講師・外来部長日本カイロプラクターズ協会(JAC)教育委員会委員日本カイロプラクティック登録機構(JCR)試験問題作成委員会委員1994年 横浜国立大学卒2006年 RMIT大学カイロプラクティック学科日本校(現TCC)卒業三輪 健彦(みわ たけひこ) プロフィール三輪 健彦 氏

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